日本では“ポテトグラタン”の名で親しまれている“シェパーズパイ”、または“コッテージパイ”。この2つの名前の違いは、雨人さんの多くも知らないみたいで、雨人さんのシェフが切り盛りする当地の英国パブでは、2つの名前を完全ごっちゃにしています。(笑)


ラム肉で作るのがシェパーズパイ、牛肉で作るのがコッテージパイです。この違いだけで、後は作り方など全く同じ料理です。昨日の我家はこの2つの内、コッテージパイの方を作りました。


でもね、昨日私が作ったコッテージパイは、恐らく現地エゲレスでも味わえないであろう、手間隙かけて作った最高に贅沢なコッテージパイです。だから、こうネーミングします。


究極のコッテージパイ

和・美・Savvy Cooking

とは言え、この究極のコッテージパイは、シーちゃんとベイ坊のご飯を作りながらヒントを得た料理なのです。そう、“犬の餌”からヒントを得た料理です!(爆)


そう聞くと、多くの人が本日のブログはここから先読みとうないわい!で、ドンビキして立ち去っちゃうかも知れませんが(汗)、兎に角、読むだけ読んでいってください。最後まで読んでも、絶対に損はしない最高に美味しいコッテージパイだからです!


一昨日の夜、2週間他所のお宅で私の帰りを待っていてくれたシーちゃんとベイ坊に、ご褒美にビーフシン(牛の骨付きすね肉)を買って調理し食べさせました。


仕事が終わって帰宅した旦那は、ビーフシンを調理中の私に、“旨そうな匂いがしてるなぁ...今晩は何を食べさせてくれるの?”って聞きました。


悪いけど、これはシーちゃんとベイ坊のお肉で、私らはその茹で汁で、コロッケの付け合せの汁物を作るだけよんって答えると、“何?犬が肉で、人間はその茹で汁?そんな家庭がどこにあるねん!”とえらく憤慨。(汗)


まぁそう言っている旦那も、私同様にシーちゃんとベイ坊が可愛いくてしかたないみたいで、冗談で怒っているだけのことなのだけれど、旦那の言う通り、お犬様様の晩御飯であったのは確かなことです。(笑)


人肌に冷めた犬用の肉を割きながら、よっしゃわかった!明日もういっぺん買いなおして来て、今度はあんたに肉の方を食わしたる、食わしたる!と宥めた私。ふと、この柔らかくボイルした肉で、コッテージパイを作ったら旨いのではないだろうかと考えたのです。


同じコッテージパイでも、フィリングの肉の汁気を抜いて、その抜いた煮汁で作ったグーれービーを、食べる時に上からかけるスタイルのものにしたら、ビーフシンをボイルしたストックはグレービー作りに使え、更に美味しいコッテージパイとなる。


と言うことで、コッテージパイと言えば、通常はシンプルにミンチ肉を炒めて作る料理ですが、全く違う作り方で作ってみることにしました。


ちなみに日本では骨付きの牛肉と言うとオックステールくらいしか手に入りません。そしてそのオックステールはかなり高価。と言うことで、もう少しお手ごろな値段で購入できる、牛すじ代用で作る作り方も記しておきます。


<材料 5~6人分>

牛骨付きすね肉...大きめのもの2枚(ボイル後の目方500g弱)
じゃがいも、皮を剥き大きく切り分け流水でぬめりを洗い流す...650~700g
バター...10g
牛乳または生クリーム...大さじ3~4
オリーブオイル...適宜
たまねぎ、みじん切り...大1個
にんにく、みじん切り...2かけ
人参、皮を剥き細かく刻む...細いもの1本
味の素固形コンソメ...2個(または固形ビーフストック’2~3個)
トマトピューレ...大さじ1
リー&ペリンウスターシャーソース...大さじ1
ホースラディッシュ...小さじ1
ホールナツメグ、削る...1/2個(パウダーであれば小さじ1/4~1/2)
塩ブラックペッパー...適宜
赤ワイン...大さじ3~4
パセリのみじん切り...大さじ2~3


<作り方>

1.焦げ付かない加工が施された鍋にすね肉を載せ、蓋をして中火にかける。5~6分、肉の表面にこんがり焦げ目がつくくらいまでしっかり焼き、上下を返し、もう一方も同様にしっかりと焼く。

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2.肉を一旦皿に取り出し、鍋底に溜まった“水”を処分する。そのまま鍋は洗わず、また焦げも拭き取らずに肉を戻し、たっぷりの水(1.5リットル以上)を注ぎ入れ、再び火にかける。

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3.2が煮立って来たら火を弱めて蓋をし、そのまま1時間半から2時間、肉が柔らかくなり、骨からスルッと抜けるようになるくらいまで根気よくボイルする。

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4.皿に肉を取り出し骨を処分する。(骨髄は捨てずに肉と共に調理に使いませう!)人肌に冷めたら細かく刻む。肉をボイルしたストックは、上質のキッチンペーパーかチーズクロスなどを使って漉し、余分な脂肪を取り除く。

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肉はみじん切りする必要はありませぬ!
1cm、またはそれ以上の大きさがあっても大丈夫。
粗く刻んで下さいませ。


5.じゃがいもを鍋に入れ、たっぷり水を張って火にかける。グツグツ煮立って来たら火を弱め、竹串がスーッと通るようになるまでボイルする。

6.5をざるに空け、じゃがいものみ鍋に戻し、弱火にかけて水分を飛ばす。火を止め、バターと牛乳を加えてクリーミーなマッシュポテトに仕上げる。(塩やブラックペッパーは入れません。)

7.大きめのフライパンにオリーブオイルを熱し、たまねぎをしんなりするまで4~5分炒める。にんにくと人参を加え、更に2~3分炒める。

8.6にペーパーで漉したストック600mlを加える。固形コンソメも加え煮たてる。

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残ったストックは昨日のブログでご紹介したように、後日、
千切りにした冷蔵庫に残っている野菜を加えて、
味の素のコンソメとブラックペッパーで味を調え、スープにすると良いです。


9.8が煮立ったら、トマトピューレ、リー&ペリンウスターシャーソース、ホースラディッシュ、ナツメグを加える。塩、ブラックペッパーで味を調え、4の肉を加える。煮汁に自然なとろみがつくまで、そのまま5~6分煮る。

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10.9に赤ワインを加え、更に5分程度煮る。

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ワインは無ければ省いても良いですが、
その場合は味の素でも加え味に深みをつけて下さいませ。


11.火を止め、パセリのみじん切りを加えて全体に混ぜ合わせる。

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12.穴の開いたおたまなどを利用し具を引き上げ、オーブン調理可能なキャセロールディッシュに移し、満遍なく広げる。煮汁は目の細かいざるなどで漉し小鍋に移す。

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13.12の具の上にマッシュポテトを万遍なく広げ、フォークなどで表面をどこぼこさせる。220度程度の比較的高温オーブンで30分、もしくは表面にこんがり焼き目がつくまで焼く。

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今回は削りチーズをまぶしていないので、
表面をでこぼこさせないと焦げ目はつき難いですよん。
ラティース(格子)にしたんだけど、あんまよくわからんよね。(笑)


14.コッテージパイをオーブンで焼いている間にグレービーを作る。小鍋に入れた煮汁を中火にかけ、蓋をしないでそのままグツグツと、量が半分以下に減り自然なとろみが増すまで煮詰める。

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ビーフシンの代わりに牛すじ(若しくは骨のないビーフシン)を利用する場合は、450~500g程度を準備し、5~6分煮こぼして血の気や汚れを流水で綺麗に洗い流してから、上の手順3同様に柔らかくなるまでボイルして下さいませ。


ストックの取り方などは上と全く同じです。


すじは国産のものは値段が高いので、アメリカやオーストラリア産のもので十分です。てか、私はすじに関しては、日本に住んでいる頃から雨産か豪産を選んで買っていました。今でも実家に帰ると、やはり輸入牛のすじを選んで買っています。


私の好みの問題ですが、雨や豪の肉は国産牛と違ってすじや脂肪が多い分、柔らかく煮たら風味がよく美味しいように思います。


ハイ、焼けました!色々考えてラティースな柄にしたのに、出来上がってみると、全然格子柄になってませんやん!(滝汗)でも、表面の柄なんかどうでもよろしい。めっさ旨そうで、はよ食いたい!(爆)

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この手のエゲレス料理には、我家のお決まり付け合せ・グリーンピースが登場いたします。(笑)しこたまボイルして、バターと刻んだパセリを加え、軽く塩、ブラックペッパーをふっとります。


お皿にとりわけ、グリーンピースも載っけ、ビーフシンの風味が効いたグレービーをたっぷりとかけます。さぁ、どげなお味でごわすか?

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旨めぇ~!めっさ旨めぇ~~!まさかこれが、犬の餌を作りながら思いついた料理だなんて、誰が思おうぞ!(爆)


コッテージパイって、コロッケの肉の部分とじゃがいもを混ぜ合わさずに調理したようなもんじゃない。この前私が作った 牛すじコロッケ が、ひき肉で作ったものとは比べ物にならない旨さだったのと同様に、もう、こくがいつものとは全然違うんですよ。


ほんま、旨い!旨すぎて涙がちょちょぎれるってくらい、旨い!


当地の雨人シェフが切り盛りする英国パブに、1000ドルくらいでレシピを売りたいくらいよん。(爆)買ってくれたパブは、1ヶ月もせん内に元が取れるの間違いなしの、絶品コッテージパイです!

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考えて見ると、エゲレスやアイルランドは昔は超貧しい国だったから、貧乏な庶民が牛や羊を口にすることは滅多になかったんだよね。仮に牛や羊が手に入っても、恐らく脂身やすじの多い安い肉だったんだと思う。


それを日曜日に焼き、1週間、ちびちびと家族で分け合って食べ、最後の最後は、残った肉をただみたいな値段のじゃがいもで嵩増しして焼いて食べたのが、コッテージパイやシェパーズパイだったのです。


なら、脂身の少ない赤身のミンチでちょこちょこっと作ったって、本来の味のコッテージパイは作れませんやん。


牛すじやすね肉で、おでんやカレー、シチューを作るのも良いですが、是非是非この究極のコッテージパイをお試し下さいませ。


ちなみに我家では6人前のコッテージパイは、いくら大食漢の夫婦とは言え、食べ切れませんでした。でも、ええんです!2、3日中にこのコッテージパイのリメイク料理をするつもりで多めに作ってんですから。


またそれは後日改めてブログでご紹介することにいたします。

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