日本との時差がほぼ1日遅れのアメリカ。昨日の日曜日は母の日でした。エゲレスの母の日は変動カレンダーのイースターに基づいているので毎年変りますが、アメリカは日本と同じ日。スーパーの店頭には、“お母さん有難う!”のお花やスイートが山積みでした。


今年はエゲレスの母の日をすっかり忘れて逃してしまった私。(汗)土曜日に母の日向けの花束を買い、義母の写真に供えしました。実家の母には花と、母が昔から大好きな求肥の和菓子をプレゼント。


今年は母の日と父の誕生日が近いので、本当はこの時期に帰国したかった!でも諸事情でそれが叶わなかったので、昨日は遠く離れた異国から本邦の母を想い、そして感謝しながら、懐かしいおふくろの味がする和食を晩ご飯の献立にしました。


とんかつと母の味の春雨サラダ

和・美・Savvy Cooking

5月初め、いとこが兄と一緒に出かけるのに、私の実家を待ち合わせ場所にしてやって来たそうです。最近では殆ど料理をしなくなっただけじゃなく、作り方まですっかり忘れてしまった母は、久しぶりに会う甥に何を食べさせて上げるかでずいぶん悩んでいました。


兄と私は13も歳が離れているので、子供の頃、“お兄ちゃんと遊んだ”と言う思い出がありません。私にとって思い出の中のお兄ちゃんは、年齢は1つ学年は2つ上のこのいとこでした。私ら二人は兄妹同然に大きくなり今でも大の仲良し。


なもんで、多少は彼の食べものの好みも知っている私は、母に、これとあれとと2、3品いとこが喜びそうな料理を提案しました。その1つが春雨サラダ。以前いとこが、春雨サラダが大好きだって言ってたのを覚えていたのです。


私も春雨サラダは大好き!


今でこそ、自分の作った料理をブログを通じよそ様に見ていただいたりしていますが、若い頃の私は料理には全く関心がなく、その為、母の横について手順や料理の豆知識を学んだことがなかったのです。ご飯の炊き方も知りませんでした。(汗)


そんな私が30年近く前イギリスに1年留学し、フラットで一人暮らしを始めたら、否応なく自炊をしないといけなくなった。


そりゃあ酷いもんでした。なんも出来ない子が突然鍋でご飯を炊かないといけなくなったでしょう。焦げたこともあれば、お粥に化けたこともある。(爆)ボンカレーなんてのは当時あまりにもしょっちゅう食い過ぎて、未だに名前も聞きとうはありまへん!ドクロ


そんな私に届く両親からの定期便に、ある時春雨が入っていました。それを見ると、急に母の春雨サラダが食べたくなって、作ったこともないのに、確か母ちゃんはこんな風に作っていたように思う...と、かすかな記憶だけを頼りに作りました。したら...


白いスープの冷たいラーメンが出来た!(爆)


母にそれを言ったら、春雨は茹でたらざるに取り、流水で綺麗に洗って水切りをし...

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キッチンペーパーの上に取り出して軽く水分を拭くようにしてから...

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食べやすい長さになる様に数箇所に包丁を入れて、それから他の具を加えマヨネーズで和えるのだと、教えてくれました。

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パッケージに書いてある通りに茹でてざるに取り、流水で洗ったまでは良いのだけど、しっかり水切りも、包丁も入れずにサラダにしたので、時間と共にその水分とマヨネーズが混ざりあい、白いスープの冷たいラーメンになってしまったのですなぁ。(爆)


母の春雨サラダが私の好物であることを知っている母は、エゲレスに住んでいた頃も今も、私が帰国するって日には、必ず作って待っていてくれます。


ところが、その母の作る美味しかった春雨サラダが、10年ほど前から、帰国の度、どんどん不味くなって行くのです。億劫で料理をしなくなったからか、それとも歳のせいか、30年前私に教えてくれた作り方をすっかり忘れてしまっているのが、不味くなった原因です。


そのどんどん不味くなってゆく母の春雨サラダを食べる度、母がまた少し老けてしまったことを私に実感させ、悲しくてたまらなくなります。


母自身も、若い頃に作っていた春雨サラダに比べ、味が数段落ちてしまったことを分かっているのです。なもんで、いとこの為に作るのに、どうやって作ったら美味しく出来るかって、私に聞いてきました。


いとこが来る前日と当日、私は料理中の母に電話をかけ、30年前母が電話口で私に教えてくれた手順を、一から、何度も何度も同じことを繰り返しながら教えて上げました。繰り返して上げないと、たまに5分前に聞いたことも忘れるほど、私の母は老いてしまっているのです。(涙)


でもね、そうやって私に同じことを何度も何度も繰り返し教えてもらいながら、頑張って作ったおかげで、春雨サラダは上出来だったらしい。たくさん作ったのにいとこが何度もおかわりしてくれたそうで、殆ど完食だったと母はお喜びでした。


いとこもフェイスブックの私の投稿に、“全然関係のない話で申し訳ないが、春雨サラダが好きなことを覚えていてくれて有難う。美味しかった!”と、コメントを残してくれていました。


本当はいとこが春雨サラダにりんごを加えると、更に好きだってのを知っていたのだけれど、母は昔から春雨サラダにはりんごを入れたことがないので、慣れない具を追加し、混乱させたら可哀想だと思って言わなかったんだ。


母の味の春雨サラダ。昨日も私は30年前に母から教えてもらった手順で春雨を準備し、塩でしんなりさせ洗って固く絞ったきゅうり、錦糸卵、それにハムを加え、マヨネーズと米酢小さじ2杯で和え、味の素で味を調えて作りました。

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母の日に母を想いながら作ったからなのか...昨日の春雨サラダはとりわけ美味しく出来、春雨サラダが大好きな旦那も大喜びでした。醤油を数滴落として食べるのが私流の食べ方。和食の食べ方は私が見本の旦那も、やっぱりそうやって食べます。(笑)

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メインのとんかつと春雨サラダの他には、先週、煮込み料理をするつもりで買ったマッシュルームが、結局作らず仕舞いでだんだん色が黒くなりだした為、めんつゆを使って簡単佃煮にして一品に加えました。

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2倍濃縮のめんつゆを3倍に薄め、ほんの少し砂糖を加え、煮汁が殆どなくなるところまでマッシュルームを煮詰めてから、鰹節を加えてまぜまぜするだけの簡単佃煮。これが結構美味しい!

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汁物はお味噌汁ではなく、残り野菜(たまねぎ、セロリ、人参、スイートコーン、パセリ)をチキンストックで煮、片栗粉の代わりに、精白麦を加えてとろみをつけたスープです。

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前日にお好み焼きを作ったら、キャベツの残りはもう殆どなかったので、シラントロでかさましの千切りにしました。(笑)でも、これがさわやかですごく美味しいんだ!

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とんかつソースはコーンシロップフリーのイカリソース。ブドウ糖果糖液糖を含むソースと違い、甘みに上品さがある。美味しい!肉は大分前に買って衣をつけ冷凍してあったもの。解凍して揚げ焼きするだけだったから、手間要らずですぐに作れました。


父がアンチ外食派なのは、外で食べるものに、母が作るものより美味しいものはないと信じているのが理由。母はそれくらい料理が上手な女性でした。それが歳とともに、料理が億劫になり、且つ、味覚も老化してしまったのか、何を作っても母らしくないものばかり。


そんな母に私は厳しく渇を入れました!これ以上母に老け込んで欲しくないと思ったら、父も兄も眼を向けようとしない母の老いに、私が嫌われ者になってでも言うしかないでしょう。


私に厳しいこと言われ、母は何度も泣きました。でも、自分でもこれではいかんと最近思い出してくれたみたいで、また料理に関心を持つようになりました。近所のお友達とレシピを交換したり、テレビの料理番組を見たりしているそうです。


そんな母の前向きな姿勢が嬉くて、私は自分の持っている料理本と同じものをアマゾンで買って送って上げました。週に2回、多い時は3回電話し、お互いに同じ本の同じページを見ながら、私は作り方の補足をして上げています。


母の横に立って、一から十まで教わったことがないけれど、今、昔母が作ってくれていた美味しいものに少しは近づいたかなぁ...と思える料理が作れるようになったのも、子供の頃から美味しいものを作って食べさせてくれ、私の味蕾を鍛えてくれたからです。


1日遅れですが、そんな母に心からの感謝を伝えると共に、いつまでも、いつまでも、たとえ老いぼれになってしまっても、私のために元気でいて欲しいと願います。