ウィキペディア によると、コッテージパイは、じゃがいもが食用の穀物として広まった1700年代に、すでに作られていたのだそう。肉の種類に関わらず貧民達の間では、残った肉のリサイクル料理として、安価なじゃがいもを用いこのパイを作ったのだそうです。


文献によると、シェパーズパイが登場するのはそれから約100年後のこと。この100年の間に、羊の肉をメインの具にして作るコッテージパイは、別途シェパーズ(羊飼いの意)と呼ばれるようになったようです。


本日私がご紹介するお料理は、この内のシェパーズパイ。古の英愛人を真似、ローストラムの残った肉のリユーズで作ったのですが、当時のオリジナルのシェパーズパイとはかなり形が変わったものになりました。でも、味は最高に美味しい!!!


シェパーズパイなジャケットポテト

和・美・Savvy Cooking

肉をローストする機会が多いイギリスでは、顆粒状の湯で溶けば出来上がりの、簡単グレービーの素が売っています。エゲレスに住みだした頃、グレービーの意味も知らなかった私も、この素を愛用しておりました。


今その素で作ったグレービーを食べると、よくもまぁこんな不味いもんを、毎週肉にかけて食べていたものやと呆れますが(笑)、実はエゲレス人でも案外グレービーの作り方を知らず、あるいは知っていても楽して、このグレービーの素を使う人が結構多いのです。


以前、そのグレービーの素をコッテージパイにかけて食べると、誰かから聞いたことがあります。その話をふと思い出し、ローストラムの残りで作るシェパーズパイに、グレービーをかけてみることにしました。私のグレービーは素じゃない手作りだけどね。(笑)


ところで、私は目的無しに野菜のため買いをするのが嫌い!っつか、苦手なのです!


近所の人に、オーガニックファームから週1回の野菜デリパリーを勧められ、旦那はすごく興味を示していたけれど、私は断りました。材料を与えられてから料理を考えることが、不器用な私には出来ないのです!


そんな私もたまねぎとじゃがいもは常備してますよ。しかし、運が悪いと言うのか、ここ最近数回、大袋に入ったじゃがいもを買って、数日後腐って悪臭を放つ目に遭いがっかりしました。


そこでじゃがいもの買い方を変えてみたのね。大袋のは買わず、1個ずつ手にとって納得いくものを買うのに、ばら売りの“ラセット”と言う、ジャケットポテトにしたらピッタリ風の超デカイ芋を買い、常時切らさず5、6個保存するようになりました。


今のところ買い方を変えてから悪臭に直撃されてはないのだけど、1つだけ問題があります。この芋が超デカイため、1個では足りないし、2個使うとちょっと多すぎるのです。(苦笑)


昨日もこのラセットポテトでシェパーズパイを作ることにしたのですが、ちょうど良い量のマッシュポテトが作れる大きさの芋を探したけど、どれもこれも帯にも襷にも長すぎるってのか、デカ過ぎた!(爆)


そこでふと考えたのが、いっそデカイ芋はそのデカイなりの姿のまま使い、芋の皮を器にし、シェパーズパイのフィリングを詰めちゃったらどうか...?つまり、シェパーズパイな味の“変りジャケットポテト”です。


初めての試みなんだけど、じゃがいもがあんまり好きじゃない私でも、想像しただけでも美味しそうな一品!どんな風に出来るのか、楽しみ!


<材料 3~4人分>

じゃがいも、ジャケットポテトに適したジャンボサイズ...3個(または普通サイズのじゃがいも6個)
バター...10~15g
低脂肪牛乳...適宜

(フィリング)
ローストラム、またはローストビーフの残り...250~270g
オリーブオイル...適宜
たまねぎ、粗みじん切り...大1/2個
人参、皮を剥き細かく刻む...細いもの1/2本
OXOキューブ、600mlの湯で溶く...3個(または味の素固形コンソメなら同量の湯で2個を溶く)
トマトペースト...大さじ1
リー&ペリンウスターシャーソース...大さじ1
ナツメグの削ったもの...1/2個分(もしくはナツメグパウダー小さじ1)
塩ブラックペッパー...適宜
パセリのみじん切り...1/2カップ

(その他)
チェダーチーズもしくはピザ用細切りチーズ...適宜
水溶き小麦粉...少々

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<作り方>

1.じゃがいもは皮ごと食べれるようにたわしで綺麗に洗って汚れを落とす。ペーパーでパットドライ程度に軽く水分を取り、キッチンペーパーに包んで1000Wの電子レンジで約10分加熱する。

2.レンジで底になっていた面が上になるようにオーブントレーにじゃがいもを並べ、200度で予熱を済ませたオーブンで25~30分、または竹串がすっと通るようになるまで焼く。

3.じゃがいもを焼いている間にフィリングの準備をする。ローストラム(もしくはビーフ)の残りを細かく刻む。(ローズマリーやにんにくを詰めて焼いたローストラムの場合は、それもいっしょに刻んでしまいます。)

4.フライパンにオリーブオイルを熱したまねぎを炒める。しんなりしてきたら人参、ラムの順に加え、更に数分炒める。

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5.4に熱湯で溶いたスープキューブを加える。煮立ってきたらトマトペースト、ウスターシャーソース、ナツメグを加え、塩、ブラックペッパーで味を調える。そのまま7~8分、スープの量が少し減るまで煮詰める。

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6.5にパセリを加え全体に混ぜ合わせたら火からおろす。

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7.ボウルにざるを載せ、6を具と煮汁を分ける。

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8.じゃがいもが焼きあがったら、やけどをしないように注意しながら、熱い内に横半分に切り分け身をくり抜く。くりぬいた身には熱い内にバターを加えて溶かし、牛乳を適宜加えながらクリーミーなマッシュポテトに仕上げる。

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じゃがいもの皮を破らないように要注意っす!

9.7の具を器に移しスプーンで軽く掻き混ぜて全体にしっとりさせ、8のじゃがいもの皮に6等分する。

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10.9の表面をたっぷりのマッシュポテトで被い、チーズを適宜まぶす。200度で予熱を済ませたオーブンで20~25分、または表面がこんがり色づくまで焼く。

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11.グレービーを作る。7の煮汁を火にかけ、煮立ったら水溶き小麦粉で好みの濃度にとろみをつける。(目安は、デミグラスソースよりは薄い!)


出来上がりました、私の考えたシェパーズパイなジャケットポテト。これに濃厚なグレービーをたっぷりかけて食べませう!

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グレービーをかけていただく料理の付け合せ野菜とは?そうです!おなじみのグリーンピースです。(爆)笑われそうだけど、こうやって一緒に食べると、本当、美味しいのよ!

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ジャケットポテト、またの名をベイクトポテトの皮を食べない人が多いけれど、それは間違い!私みたいに芋嫌いなものでも、この皮が美味しいんだから絶対に無駄にせず食べます!そのためにも、調理前に綺麗に洗いませう。

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ナイフで切ってみると、中はこんな感じよん。もう最高に美味しい!グレービーも昔愛用したBistoの顆粒ものとは違い、ラムや野菜の旨味の効いた、実に美味しいものに仕上がりました。


日本ではクリスマス・イヴに盛り上がるけれど、海外では大概の国では25日を祝います。そしてイギリスではその翌日・26日は、ボクシングデーと言う祝日です。


あっ、ボクシングデーと言っても、キックボクシングの記念日ではないんよ。(爆)実は私も、昔はキックボクシングの日と思っていたのです。(滝汗)でも、学生時代に先生から、そうではない話を聞きました。


昔、裕福なエゲレス人に仕える召使達は、クリスマスの日には主人とその家族のために働かなくてはならなかった。その代わりその翌日、里帰りを許された召使達は、主人から箱に詰まったご褒美をもらったから、ボクシングデーと言うらしいです。


つまり、早い話がボクシングのボックスは、“箱”です!(笑)


クリスマスにはローストラムやローストビーフを食べ、その翌日のボクシングデーには、焼いた肉の残りで、一風変わったシェパーズパイ、またはコッテージパイなジャケットポテトを作ってはいかがでしょうか?


ちなみにもち、生のミンチ肉や安い輸入ステーキ肉などを使っても作れます。その場合は300g強の肉を先に炒めて余分な脂を取り除き、以下同様にしてフィリングをお作り下さいませ。