本日は昨日ご紹介したパンと一緒に食べた、北西イングランドの郷土料理のご紹介です。
先日スロークッカーを買い、これで何を作ろうかと考えた時、真っ先に頭に浮かんだのがこの料理でした。なぜならば、この料理こそ、古のエゲレス人が、現代の調理器具・スロークッカーと同様の調理法で作った料理だからです。
ランカシャーホットポット
ランカシャーはエゲレスの北西に位置する州です。その名の通り、このお料理はランカシャー州の郷土料理です。
英語のウィキペディアを見ると、ホットポットは中国の火鍋と説明しています。つまり、日本で卓上のコンロを食卓に置き、調理しながらみんなでつつく鍋料理が、ホットポットってことっすね。(笑)
でも、私の紹介するエゲレス版のホットポットは、それとはちょっと異なり、深鍋で煮込まれたシチュー、またはそれを煮込む深鍋を意味します。でもね共通点もあり、その深鍋は、日本の土鍋同様に本来は下の写真のような陶器の鍋なんす。エゲレス版土鍋!(笑)
どうしてこのランカシャーホットポットの調理法が、元祖スロークックかと言うと、その昔、煮込みの材料を鍋に投入して低温オーブンに入れ、日中、外で仕事をして居る間、長時間かけて煮込んだ料理だからです。
また、エゲレスの料理家・ディリアスミスによると、これは競馬のある日のランチだったそうで、外出前に煮込んだシチューを鍋ごと毛布ですっぽり包んで競馬場に持ち込み、観戦中も余熱でじわじわスロークックしながら、お昼に熱々のシチューを食べたのだそうです。
ランカシャーホットポットはラム肉(多分昔はマトン!?)のシチュー。地元ではラムのキドニー(腎臓)も加えたり、昔は更に牡蠣も加えていたそうです。牡蠣を入れるところなど、日本の鍋料理に似てます。
但し、ホルモンの世界で“マメ”と呼ばれる腎臓は、機能からしてちょっとおしっこ臭いのです。冷凍ものとか買って使ったりすると、尿の臭いが気になって食べれない...って事にもなりかねないので、キドニー抜きの方が日本人の口には合います。
そしてこのシチューのもう1つの特長は、じゃがいもを肉と一緒に煮ちゃわず、薄く輪切りにして、シチューの表面をパイのようにすっぱり被って煮込みます。
ラムのシチュー用肉が容易に手に入らなくても作れるように、今回は骨付きのラムチョップを使ったレシピをご紹介します。また、スロークッカーをお持ちじゃなくても、オーブンを使っても作れるレシピも記しておきます。
ラムが苦手って人、結構多いですよね。そんな方は、シチュー用の牛肉を代用して作って見てくださいませ。ラムまたは牛肉、いずれの場合も手順1~4に従って、しっかり脂抜きをしヘルシーな煮込み料理にされることをお勧めいたします。
<材料 4人分>
オリーブオイル適宜
ラムチョップ...8切れ(1人当たり2切れ)
シャロット、皮を剥き丸ごと使用...大8個(またはペコロス約12個かたまねぎの薄切り大1個分)
リーク、細かく刻んで綺麗に汚れを洗い流す...大1本(または葱2本)
セロリ、食べやすい大きさに切る...2本
人参、皮を剥き乱切り...大1本
マッシュルーム、石突の汚れを取り丸ごと使用...12個(私は大きかったので切り分けました。)
にんにく、スライスする...大2かけ(オプショナル。昔ながらの英国料理レシピにはにんにく不使用。)
ベジタブルストック、顆粒または固形...600~800mlのストックを作る分量
塩ブラックペッパー...適宜
リー&ペリンウスターシャーソース...大さじ1
ローレル...2葉
タイムの葉...2~3枝分
じゃがいも...900g前後
バター...適宜
<作り方>
1.鍋にオリーブオイルを少量熱し、ラムの両面に、蓋をして蒸し焼き状態でこんがり焼き目をつける。(鍋底が焦げ付かない加工のされたものであれば、オリーブオイルを使用せずに肉を焼きます。)
2.ラムの両面に焼き目が付いたら水1リットル程度を加える。煮立ったら火を弱めて蓋をし、15分程度ボイルする。
3.ラムを皿に取り出す。ラムをボイルした湯はキッチンペーパーで漉し、冷めたら冷蔵庫で一晩冷やし、煮込み用ストックとして使用する。
4.3のストックを再びキッチンペーパーで漉し、余分な脂分を完全に取り除く。鍋に入れて火にかけ、煮立ったら顆粒または固形のベジタブルストックを加える。
5.フライパンにオリーブオイルを熱し、シャロット、リーク、セロリ、人参を炒める。数分炒めて全体に油が回り、しんなりしてきたらマッシュルームとにんにくを加え、更に2、3分炒める。
6.5の半量をスロークッカーの鍋底に敷く。その上にラムを載せ、残りの野菜で肉をすっぽり被う。
オーブン調理の場合は、野菜を直接ルクルーゼなどで炒めるか、
もしくはフライパンで炒め、オーブン調理可能なパイレックスの容器などに野菜を移す。
肉は野菜と野菜にサンドイッチされるような状態で投入してくださいませ。
7.6に4を加え、塩ブラックペッパーで味を調える。ウスターシャーソースを加え、ローレルを中心に載せてタイムの葉を全体に散らす。
8.じゃがいもの皮を剥き、さっと表面を洗ったら、約4mmの幅に輪切りする。切り口のでんぷん分を洗い流さずに、ホットポットの表面に並べ中が見えないようにすっぽり被う。バターをところどころに載せ、蓋をして低温で6~7時間調理する。
ちなみに、スロークッカーもオーブンもなかったら、(じゃがいもが移動しない様に)グツグツ煮えない極々弱火の直火で、1時間半~2時間調理しても良いです。じゃがいもに焦げ目は付きませんが、スロークッカーで作ってもそれは同じこと。味には変りはありましぇん!
そうして出来上がったのがこちらっす!私はじゃがいものつぶれたのって大嫌いで、芋ってもともと好きなほうじゃないのに、それがつぶれていたらもう全く食べる気をなくすんですが、低温で7時間調理しても、この通り、形が崩れておりましぇん!(嬉)
私は煮崩れしたじゃがいも同様に、じゃがいものでんぷん分ってのが大嫌いで、必ず綺麗に洗い流して料理に使います。でも、今回は小麦粉を使う代わりに、このぬめりを利用し、自然なとろみをつけて煮て見ました。
結果、それほどとろみは付かなかったけれど(苦笑)、たまらんくらい旨そうなラムシチューが出来上がりました!昨日ご紹介した、やはりランカシャー方面のパン・バームケーキに似せて作ったロールと共に、いただくことに致しました。
この手のエゲレス伝統料理を食べるといつも思うのが、“一体、誰がエゲレス料理には旨いもんがないって言うたんや!”です。
エゲレス料理って言うと、フィッシュ&チップスとかローストビーフを即連想しますが、冬が暗くて、寒くて、長い国の本当の味を知りたかったら、やっぱ、こういう煮込み料理を食べないと理解できません。これこそエゲレスな味です!!!
エゲレスのかあちゃんの家族への思いやりが一杯詰まった煮込み料理。体の芯から温まる、ほんのこつ旨い!旨くて、旨くて、涙がちょちょぎれる料理!
オックステールスープ同様、イングリッシュマスタードをつけて食うと、更に、更に、旨い`ので、是非是非お試し下さいまし。
先日スロークッカーを買い、これで何を作ろうかと考えた時、真っ先に頭に浮かんだのがこの料理でした。なぜならば、この料理こそ、古のエゲレス人が、現代の調理器具・スロークッカーと同様の調理法で作った料理だからです。
ランカシャーホットポット
ランカシャーはエゲレスの北西に位置する州です。その名の通り、このお料理はランカシャー州の郷土料理です。
英語のウィキペディアを見ると、ホットポットは中国の火鍋と説明しています。つまり、日本で卓上のコンロを食卓に置き、調理しながらみんなでつつく鍋料理が、ホットポットってことっすね。(笑)
でも、私の紹介するエゲレス版のホットポットは、それとはちょっと異なり、深鍋で煮込まれたシチュー、またはそれを煮込む深鍋を意味します。でもね共通点もあり、その深鍋は、日本の土鍋同様に本来は下の写真のような陶器の鍋なんす。エゲレス版土鍋!(笑)
どうしてこのランカシャーホットポットの調理法が、元祖スロークックかと言うと、その昔、煮込みの材料を鍋に投入して低温オーブンに入れ、日中、外で仕事をして居る間、長時間かけて煮込んだ料理だからです。
また、エゲレスの料理家・ディリアスミスによると、これは競馬のある日のランチだったそうで、外出前に煮込んだシチューを鍋ごと毛布ですっぽり包んで競馬場に持ち込み、観戦中も余熱でじわじわスロークックしながら、お昼に熱々のシチューを食べたのだそうです。
ランカシャーホットポットはラム肉(多分昔はマトン!?)のシチュー。地元ではラムのキドニー(腎臓)も加えたり、昔は更に牡蠣も加えていたそうです。牡蠣を入れるところなど、日本の鍋料理に似てます。
但し、ホルモンの世界で“マメ”と呼ばれる腎臓は、機能からしてちょっとおしっこ臭いのです。冷凍ものとか買って使ったりすると、尿の臭いが気になって食べれない...って事にもなりかねないので、キドニー抜きの方が日本人の口には合います。
そしてこのシチューのもう1つの特長は、じゃがいもを肉と一緒に煮ちゃわず、薄く輪切りにして、シチューの表面をパイのようにすっぱり被って煮込みます。
ラムのシチュー用肉が容易に手に入らなくても作れるように、今回は骨付きのラムチョップを使ったレシピをご紹介します。また、スロークッカーをお持ちじゃなくても、オーブンを使っても作れるレシピも記しておきます。
ラムが苦手って人、結構多いですよね。そんな方は、シチュー用の牛肉を代用して作って見てくださいませ。ラムまたは牛肉、いずれの場合も手順1~4に従って、しっかり脂抜きをしヘルシーな煮込み料理にされることをお勧めいたします。
<材料 4人分>
オリーブオイル適宜
ラムチョップ...8切れ(1人当たり2切れ)
シャロット、皮を剥き丸ごと使用...大8個(またはペコロス約12個かたまねぎの薄切り大1個分)
リーク、細かく刻んで綺麗に汚れを洗い流す...大1本(または葱2本)
セロリ、食べやすい大きさに切る...2本
人参、皮を剥き乱切り...大1本
マッシュルーム、石突の汚れを取り丸ごと使用...12個(私は大きかったので切り分けました。)
にんにく、スライスする...大2かけ(オプショナル。昔ながらの英国料理レシピにはにんにく不使用。)
ベジタブルストック、顆粒または固形...600~800mlのストックを作る分量
塩ブラックペッパー...適宜
リー&ペリンウスターシャーソース...大さじ1
ローレル...2葉
タイムの葉...2~3枝分
じゃがいも...900g前後
バター...適宜
<作り方>
1.鍋にオリーブオイルを少量熱し、ラムの両面に、蓋をして蒸し焼き状態でこんがり焼き目をつける。(鍋底が焦げ付かない加工のされたものであれば、オリーブオイルを使用せずに肉を焼きます。)
2.ラムの両面に焼き目が付いたら水1リットル程度を加える。煮立ったら火を弱めて蓋をし、15分程度ボイルする。
3.ラムを皿に取り出す。ラムをボイルした湯はキッチンペーパーで漉し、冷めたら冷蔵庫で一晩冷やし、煮込み用ストックとして使用する。
4.3のストックを再びキッチンペーパーで漉し、余分な脂分を完全に取り除く。鍋に入れて火にかけ、煮立ったら顆粒または固形のベジタブルストックを加える。
5.フライパンにオリーブオイルを熱し、シャロット、リーク、セロリ、人参を炒める。数分炒めて全体に油が回り、しんなりしてきたらマッシュルームとにんにくを加え、更に2、3分炒める。
6.5の半量をスロークッカーの鍋底に敷く。その上にラムを載せ、残りの野菜で肉をすっぽり被う。
オーブン調理の場合は、野菜を直接ルクルーゼなどで炒めるか、
もしくはフライパンで炒め、オーブン調理可能なパイレックスの容器などに野菜を移す。
肉は野菜と野菜にサンドイッチされるような状態で投入してくださいませ。
7.6に4を加え、塩ブラックペッパーで味を調える。ウスターシャーソースを加え、ローレルを中心に載せてタイムの葉を全体に散らす。
8.じゃがいもの皮を剥き、さっと表面を洗ったら、約4mmの幅に輪切りする。切り口のでんぷん分を洗い流さずに、ホットポットの表面に並べ中が見えないようにすっぽり被う。バターをところどころに載せ、蓋をして低温で6~7時間調理する。
ちなみに、スロークッカーもオーブンもなかったら、(じゃがいもが移動しない様に)グツグツ煮えない極々弱火の直火で、1時間半~2時間調理しても良いです。じゃがいもに焦げ目は付きませんが、スロークッカーで作ってもそれは同じこと。味には変りはありましぇん!
そうして出来上がったのがこちらっす!私はじゃがいものつぶれたのって大嫌いで、芋ってもともと好きなほうじゃないのに、それがつぶれていたらもう全く食べる気をなくすんですが、低温で7時間調理しても、この通り、形が崩れておりましぇん!(嬉)
私は煮崩れしたじゃがいも同様に、じゃがいものでんぷん分ってのが大嫌いで、必ず綺麗に洗い流して料理に使います。でも、今回は小麦粉を使う代わりに、このぬめりを利用し、自然なとろみをつけて煮て見ました。
結果、それほどとろみは付かなかったけれど(苦笑)、たまらんくらい旨そうなラムシチューが出来上がりました!昨日ご紹介した、やはりランカシャー方面のパン・バームケーキに似せて作ったロールと共に、いただくことに致しました。
この手のエゲレス伝統料理を食べるといつも思うのが、“一体、誰がエゲレス料理には旨いもんがないって言うたんや!”です。
エゲレス料理って言うと、フィッシュ&チップスとかローストビーフを即連想しますが、冬が暗くて、寒くて、長い国の本当の味を知りたかったら、やっぱ、こういう煮込み料理を食べないと理解できません。これこそエゲレスな味です!!!
エゲレスのかあちゃんの家族への思いやりが一杯詰まった煮込み料理。体の芯から温まる、ほんのこつ旨い!旨くて、旨くて、涙がちょちょぎれる料理!
オックステールスープ同様、イングリッシュマスタードをつけて食うと、更に、更に、旨い`ので、是非是非お試し下さいまし。