来年の話をすると鬼が笑うって言いますが、じゃぁ、今からクリスマスの食べ物を作っちゃった私は、その鬼征伐をした桃太郎に笑われちゃうかしらん...?(笑)


日本のような生クリームのクリスマスケーキを食べる習慣がないエゲレスでは、クリスマスには、伝統的にクリスマスプディングと呼ぶ、ドライフルーツやスエット(ケンネ脂)を材料にした蒸しケーキを、11月ごろから作って1ヶ月熟成させて食べます。


それにしても、まだ10月だもんねぇ!やっぱ、今からクリスマスもんを準備した私は、桃太郎にも鬼にも馬鹿にされっかなぁ?(笑)


今回はクリスマスとは別に、パイを作ろうと思いまして、こげなクリスマスィーなものを作ってしまいました。また、例年とは違いスエットの代わりに、どこででも簡単に手に入れることが出来る、バター代用で作ってみました。


ミンスミート

和・美・Savvy Cooking

ドライフルーツの代表・レーズンが、嫌いって言う人は結構多い。私もその一人。


生の葡萄でも、巨砲やピオーネは大好きですが、あの粒の小さい種無し葡萄が、どうにも好きになれない私は、それを乾燥して100倍甘くしたレーズンは、ゴメン蒙りたい!


子供の頃、母がポテトサラダを作ると、必ずレーズンを入れてました。しかしそれもいつしか家族全員に嫌われて、ポテトサラダの具から抹消されてしまいました。(笑)


そんな大嫌いなレーズンや、レーズンに似たサルタナ、カランツが腐るほど詰まったミンスミート。どないに甘いねん!食えたもんやないやろう!と、思うでしょう?


ところが、この私の作るミンスミートを詰めて焼く、英国のクリスマスには欠かせないミンスパイは、私でさえ、甘さを気にせず心底旨いと思って口にでできます。一口サイズのこのパイを、クリスマスから12日間毎日1個食べるのがエゲレスの伝統的習慣。

和・美・Savvy Cooking
ちなみに旨すぎで、作ったら12個くらい即
完食してしまう我が家!(爆)

毎年私はこのミンスミートを12月に入ったらすぐ作ります。そして瓶詰めにして1週間以上休ませ、さらに深い風味にしてから、ミンスパイのフィリングにします。


そう言えば、エゲレスに限らずヨーロッパのクリスマススイーツには、ドライフルーツやナッツなどがたっぷり使われますよね。


以前聞いた話では、はっきり覚えていないけれど、確か、その年に収穫しドライフルーツにした果物や、同じくその年に収穫したナッツを使ったスイートを、宗教的イベントデーに作って食べるのが、翌年の豊作を祈願す迷信なのだとか...。


そしてしょっぱいものや辛いものなどは不幸を意味するのに対し、甘いものは幸福を意味する。ハッピークリスマスにも、ハッピーイースターにも、だから甘いドライフルーツが登場するんだったと記憶しています。(笑)


ミンスミートはその昔、ドライフルーツと一緒に細かく刻んだ肉を加えていたらしいけれど、現在ではスエット(日本ではケンネ脂)と呼ぶ、牛や羊の腎臓を保護している分厚脂を加えるのが一般的なレシピです。


しかし、英国製の使いやすいドライスエットを、アメリカでは目にしたことがありません。売っていても植物性のスエット。この国、形を変えてエキスにしても、肉っつう肉は絶対に輸入させてくれないんです。だからエゲレスから買ってくることも出来ん。(苦笑)


幸い、私の住む近所に英国パブがあり、そこで毎年(高い金払って)スエットを譲ってもらうのですが、パブの自家製と言うそのスエットが、どうにも“焼肉のにおい”がプーンとするのが気になる。(笑)


そこで今回はバターを代用してミンスミートを作ってみました。


日本でも手に入るものばかり(手に入らないものは代替の材料を記しています!)でレシピを書きますので、是非是非今年のクリスマス、手作りのミンスミートでミンスパイを作り、12日間、1日1個食べて、来年、もっともっと幸せになってちょーよぉ!(笑)


<材料 1クオート(946ml)メイソンジャー1分>

レーズン...200g
ゴールデンレーズン(サルタナ)...150g
カランツ...100g
ドライアプリコット、細かく刻む...50~60g
アーモンドダイス、もしくはスライバー(細切り)を細かく刻む...大さじ2
グラニースミスまたは紅玉など、皮を剥き芯を取り除き細かく刻む...1個
オレンジの皮の摩り下ろしたもの...1個分
レモンの皮の摩り下ろしたもの...1個分
オレンジ汁...1個分
レモン汁...1個分
ブラウンシュガー...170g
パンプキンパイスパイス...小さじ1.5
シナモン...小さじ1
無塩バター、1cm程度に角切り...110g(アメリカのバタースティック1本)
ブランディー...60ml

パンプキンパイスパイスとは...
なんでも合理的に済ませちゃうアメリカでは、自分で態々スパイスを組み合わせなくても、あらかじめスパイシーなパイ作り用に、一般的なスパイスを組み合わせたものが、パンプキンパイスパイスの名で出回っています。

中身は、シナモン、ジンジャー、ナツメグ、オールスパイスです。パンプキンスパイス小さじ1.5の代用には、シナモン小さじ1/2、ジンジャー小さじ1/4、ナツメグ小さじ1/4、オールスパイス小さじ1/4を使われたら良いと思います。

但し、もしオールスパイスをお持ちじゃなければ、態々買う必要はありません!

オールスパイスとはシナモン、ナツメグ、クローブの3つの香りを併せ持つという不思議なスパイス。なければ、オールスパイスの分量をナツメグに置き換えるか、もしくはクローブパウダー小さじ1/4を使われたら良いと思います。

またパンプキンスパイスの次にリストアップしている材料・シナモンパウダーは、パンプキンパイスパイス、もしくはそれの代用スパイスとは別に、必ず小さじ1を加えてくださいまし。シナモンの香りはミンスパイには欠かせません

最後に、イギリスにお住まいの方は、パンプキンパイスパイスと同量のミックススパイスをお使いくださいませ。



<作り方>

1.ブランディー以外の材料全てを、蓋のあるパイレックス容器(オーブン調理可能な器)に入れる。

和・美・Savvy Cooking

2.1をざっと混ぜ合わせて蓋をし、室温で一晩漬けおく。

和・美・Savvy Cooking

3.120度(華氏250度)で予熱を済ませたオーブンに、2を蓋をしたまま入れ2時間調理する。

4.2時間経ったらオーブンから取り出し粗熱を取る。ブランディーを加え、スプーンで満遍なく混ぜ合わせる。

和・美・Savvy Cooking

5.熱湯消毒したメイソンジャー(または同種の保存瓶)にミンスミートを詰め、室温で1週間程度風味を熟成させる。

和・美・Savvy Cooking

日本はイギリスや、私が今住んでいるシアトルとは全く気候の違う土地なので、せっかく作ったミンスミートを台無しにしないためにも、冷蔵庫で1週間熟成された方が良いかも知れません。(但し私は東京時代室温で保存してましたが...)


昨日作ったミンスミートが熟成された頃、パイを作ってまたブログでご紹介します。


イギリスではクリスマスにもウェディングにも、ハッピーな時はみなこの超甘いドライフルーツが登場します。でも、調理法さえ心得ていたら、驚くほどさっぱりと美味しいプディングやケーキ、パイが出来上がります。


桃太郎に笑われようが、鬼に馬鹿にされようが、11月になったらミンスミートを仕込み、今年のクリスマス、エゲレスな美味しいパイをお作り下さいませ。


和・美・Savvy Cooking
たくさんの方々が次々に投票してくださっています。皆様の応援に心より感謝申し上げます。
リンク先7つ目の、“★プロヴァンスの贈りもの賞”が私のお料理です。
ラジオボタンをティックし、ページ最下部“選んだレシピに投票!”ボタンを
教えていただけたら最高に嬉しいです!どうぞ宜しくお願いいたします。