昨日の晩御飯もまた、外人と結婚した日本人妻の一人の時にしか作れない献立を準備。一人淋しい食卓も、その味に満足しニヤニヤほくそ笑みながら食べたのでした。(笑)


昨日は結婚記念日だったこともあって、もう何年もの間、一度作って食べよう、食べようと思い続けながら、なかなか作る機会に恵まれなかった、私にとってはとっておきのご馳走を準備したのでした。


ミートオムレツ

和・美・Savvy Cooking

料理は一人分だけ作るってのは難しい。極力少なめにフィリングを作ったつもりなのに、やっぱり多すぎ真ん中あたりはパンクし中が見えそう...(滝汗)


以前旦那にミートオムレツを晩御飯に作ってもいい?って聞いたら、ちょっと不思議そうな顔をされました。醤油をかけた目玉焼きでご飯を食べるのと同じで、旦那にとってオムレツとは、基本、朝食の献立であり、それをおかずにご飯を食べるのが解せなかったみたい。


同じくボリュームがあり、晩御飯の献立にしても可笑しくないスペインオムレツやフリッタータとは違い、初めて耳にするミートオムレツとは、旦那にとっては何じゃい?という疑問もあったのでしょう。


その時結局ミートオムレツは作りませんでした。喜んで食べてもらえるかどうか分からないものを作るより、同じひき肉を使うものでも、旦那が好きなものを作った方が手っ取り早かったし。そしてそれっきり、彼には作ってあげたことがありません。


このオムレツが子供の頃から私はオムライスよりも好きで、なもんだから、母はよく作ってくれました。


一度、私一人で実家に帰省するとなった時、前日に母が、帰って来る時何を作って待ってようかって聞いてくれたので、ミートオムレツを注文しました。母の作るオムレツはコンソメの香りがしとっても美味しいんです。


でも、その時母が作ってくれたオムレツってのは、コンソメの香りはまったくしないし、お世辞にも美味しいとは言えませんでした。どうやって作ったん?と聞くと、“中華の練りだし”を使ったと言うではないですか!(汗)そりゃあコンソメの香りもしなければ不味くても当然。


いつもコンソメを使って作ってたやんかぁ...と私が指摘すると、年寄り二人で暮らし、こんなものを作ることは皆無になってしまったから、昔の作り方を忘れてしまったのだと母は答えました。


それを聞いてジーんと来た私。年老いた両親二人を日本に残し、遠く離れたところに住んでいることに対しての罪悪感を抱きました。申し訳ないなと思い、ちょっと苦手な中華の練りだし風味の不味いオムレツを完食したのでした。(笑)


母は35歳の時に私を産みました。兄を産んで13年後のこと。仮に初産が35歳でも、今なら全然可笑しくない歳ですが、なにせ50年ほど前のことですから、当時はかなりの高齢出産で恥ずかしかったみたいです。


高齢で私を儲けた母は苦労したと思います。同級生のお母さんの殆どが母より一回りは若い。その若いお母さん達が作るハイカラな洋食を私にリクエストされる度、昭和一桁の和食専門の母は、本やテレビの料理番組を見て、曲がりながりにも作ってくれていたのだから。


私が今母と同じような立場に置かれ、若いママ達が作るようなキャラ弁を、子供から“母ちゃん、作ってくれよぉ~!”とかせがまれでもしたら、“他所の子になってきぃ!”と、きっぱり吐き捨てて無視すると思います。(爆)


母が昔作ってくれていたミートオムレツの美味しい秘訣は2つ。1つは味の素のコンソメを使い、もう1つは生椎茸やマッシュルームではなく、砂糖を少々加えた湯で柔らかく戻した干ししいたけを使って作っていたことです。


塩こしょうは控え目にコンソメメインで味付けをし、フィリングの出来上がり寸前に、薄い甘味のついた干ししいたけの戻し汁で片栗粉かコーンスターチを溶き、具に軽くとろみをつけます。あとはふんわり焼いた卵で包むだけ。

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母は合挽きを使っていたのかも知れないけれど、基本私は合挽きが嫌いなので牛100%のミンチを使いました。その他の具は、たまねぎ、にんにく、セロリ、人参、それに干ししいたけです。


ずいぶん長い間、食べたい、食べたいと思っていた昔懐かしいミートムレツ。ちょこっとパンクしながらも、まぁなんとか焼きあがりました。ケチャップをたっぷりかけ、食べる時にウスターソースもちょこっとかけるのが美味しい食べ方!

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生野菜のドレッシングも私一人だと、マヨネーズと醤油を和えて白ごまを加えたもの。ご飯の上には、Luckyusagiさんが日本から差し入れてくれた干しえび入りのちりめんじゃこを載せました。


そして、白にはうるさいけれど、赤はアルコールさえ入っていたら大概のワインは文句を言わず飲む私が(笑)、昨日はこだわり、ブルゴーニュのピノノワールを探し買って来て開け、このミートオムレツな晩御飯と共に飲みました。


ブルゴーニュのピノノワールは、私達の結婚式の後のブレックファストで食事と一緒に出したワイン。思い出のワインってことです。年に一度くらいは、50目の前のオバハンでも、ロマンチックな気分を味わいたいんよ。(笑)

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オムレツの中はこんな感じ。しこたま具を突っ込んだので、ボリュームたっぷりでとっても美味しかったですよ。何よりも、あの昔懐かしいコンソメの香りがプーンとして、独りぼっちの記念日の夕飯とは言え、幸せな気分にしてもらいました。


そして、この歳になってやっと、高齢出産で私を産んだ母の苦労を理解し、感謝と詫びる気持ちで一杯になった夜でもありました。

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