年末日本に帰省した時はシアトルより大阪の方がずっと寒かったんですが、こちらに戻って来ると、やっぱシアトルは大阪より寒い土地ってのを実感。寒さには強く、マフラーや手袋を身につけることが殆どない私でも、昨日は完全防寒で外出しました。


寒い夜はシチューが恋しい!私の恋しいシチューってのは、いっぺん聞いただけでは絶対その名前が覚えられない舶来もののキャセロールディッシュではなく、子供の頃から食べ慣れたハウスシチューの素で作ったクリームシチューなんです。


しかし、そのシチューの素が手元にないし、仕方なく似たような味をルーから作り、ついでにちょっと姿も変えて、こんなシチューを昨日は晩御飯の献立にしました。


クリームシチューコブラー

クッキングリッシュの会
何でも入れすぎる傾向にある私。器からシチューが吹き零れ見苦しい姿になりました。(汗)
ごめんやして、こぼれやして、ごめんやっしゃぁ~~

コブラーという名のデザートがアメリカにあることを、私はここに来て初めて知りました。ところがそのコブラー、レシピによって見た目が全然違うものになるんです。


イギリスでクランブルと呼ぶ様なタルト生地をそぼろ状のままフルーツに載せ焼いたものもあれば、スコーンともダンプリングとも定かでない団子をフルーツの上に載せて焼いたものなど、実に様々。


見た目がさまざまな訳は、きっと広いアメリカの各地に似たようなスイートがあるのを、総してコブラーと呼ぶからなのではないのかと、私は勝手に想像しています。実際には地方地方のバージョンには、ちゃんと別の名前がついているのかもしれません。


そのコブラー、実は、イギリスにもあるんです!ところがそのイギリス風コブラーは、またアメリカものとは別バージョンのコブラーなのです!


イギリスのコブラーは、じゃがいもと粉を混ぜ合わせたニョッキの生地のようなお団子を、シチューの上に載せてオーブンで焼いたセイボリーなコブラーなのです。


私はイギリス時代にこの料理をコブラーだと教えられ食べたことで、アメリカに同じ名前の、しかもクランブルとどこが違うのかその違いがさっぱり分からんスイートが存在するとは、ここに来るまで全く知りませんでした。


アメリカでも、市販のビスケット生地(イギリスでスコーンと呼ぶもの)をシチューに載せてオーブンで焼いた、イギリス風のコブラーに似たような料理を、当地の雑誌などで何度か目にしたことがあります。


その料理にコブラーと言う名がついていたかどうかは今思い出せませんが、そのことからしても、もしかしたらコブラーの原点を辿ると、行き着くところはこのイギリスのセイボリーバージョンのコブラーなのかも知れません。


イギリス、スコットランド、アイルランドからアメリカにやって来た人達が、国を懐かしんで作っていたコブラーが、いつの間にか現在のスイートのコブラに形が変わって言ったと考えられないでもないし...


いずれにせよ、私が今日紹介するのはイギリスバージョンのコブラーです。シチューにじゃがいもを入れる代わりに、じゃがいもと粉で団子(ポテトスコーン)を作り、それをパイ生地代わりにしてシチューを包み、オーブンで焼いたウインターディッシュです。


英国人と結婚していながら、じゃがいもが大嫌いで、子供の頃からシチューやカレーのじゃがいもを食べずに全部横にどける私には、この食べ方はもってこい。(笑)


ダンプリングを投入したシチューとはまた別の味です。ダンプリングは日本的に言うと水団ですが、実際の味は汁に浮かべたマフィン。どちらかと言うと、このイギリス風コブラーの方が、日本の山芋団子汁を思わせる味です。


こうしてシチューをオーブンで焼くと、いつもの倍のアツアツで体の芯から温まります。大量に作った前夜のシチューのリメイクにもお勧めです。


<材料 2人分>

出来上がったシチュー、クリームでもビーフでも...二人分
じゃがいも...大1個(皮を剥いた目方が200~210g程度)
小麦粉...60g+打ち粉用
ベーキングパウダー...小さじ1/2
バター...15g
パセリの葉のみじん切り...大さじ1
塩こしょう...適宜
卵黄...1個
牛乳...大さじ1


<作り方>

1.じゃがいもは柔らかくなるまで茹でて水気を切りマッシュする。完全に冷ましておく。

2.小麦粉とベーキングパウダーを合わせふるいにかける。バターを加え、そぼろ状になるまで指でしっかりと粉に擦りこむ。

3.1に2とパセリ、塩こしょうを加えて、手で混ぜ合わせ生地を一まとめにする。

クッキングリッシュの会

4.しっかり粉を打った台の上で、3の生地を約1cmの厚みに麺棒で延ばし、直径5cm位の小さめの型で抜く。(約12個抜けます。)

クッキングリッシュの会

5.シチューをオーブン調理可能なラメキンやグラタン皿に盛り、その上に4を並べてすっぽりと包む。卵黄に牛乳を加えて溶いたものをポテトスコーン全体に塗る。

クッキングリッシュの会
すっぽり包みたかったのですが、器が大きすぎ生地が足らず、
真ん中は中が丸見えです!(滝汗)


6.5を200度で予熱を済ませたオーブンで30~40分、スコーンにこんがり焼き色がつくまで焼く。


ちなみに私の大好きなハウスのクリームシチューの素がなかった我が家は、クラブチャウダー の作り方で似たような味のクリームシチューを作りました。

クッキングリッシュの会

子供の頃、母が、「今日はシチューにするけど、クリームとビーフどっちがいい?」って聞いてくれると、優柔不断な私は選べず、無理を言って材料を2つに分けさせ、2種類の味を作ってもらっていたのが懐かしい。


シチュー=ハウスのクリームまたはビーフシチューで育った私は、イギリスに渡った頃、昔の男がシチューが食いたいと言った時、ここにもハウスのシチューの素があるんや!と誤解し、まじ現地のスーパーでその素を探したと言うから笑えます。


家かえってまじ元彼に聞いたんですよ。ハウスのシチューの素がどこに行ったら売っているのかって。おまえは何年英語勉強してん!シチューって言う単語も知らんのか!アホッ!と、元彼に叱られたり笑われたり。(爆)


そう言えば私が昔から疑問なのは、海外の日本食レストランに行くと、明らかに市販のカレールーで作ったことバレバレのカレーはメニューにあるのに、なんで市販のシチューの素で作ったシチューがないのかってことです。


メニューに加えれば絶対に売れるはず!日本人には本当懐かしい味ですもんね、ハウスのシチュー!


また今日も話が長ごうなってしまいましたが(汗)、だべっている間にコブラーも焼けたので、いよいよ晩飯の時間で~~す!

クッキングリッシュの会

旦那の帰りが予定より遅くなり、ちょっと焼きすぎた感が無きにしも非ずですが、寒い夜には最高の一品でした。美味しくっておかわりがしたかったのに、きっちり2人分しか作らなかったもんで、食べたりない旦那と私でした。


ちなみにポテトスコーンは、これだけ単品でフライパンで焼いてもとても美味しいのです。

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