一昨日、ジンジャーブレッドの“お絵かき”用にロイヤルアイシングを作り卵白2つを使いました。不思議なもんで、卵白の方は結構平気で捨てられるのに、卵黄ってのは絶対に捨てれません。卵黄2つの使い道を考えていてたどり着いたのがタルト生地。


タルト生地と言うと、まず思いつくのがキッシュ。しかし、そのキッシュも一時期作りすぎ、正直飽きました!


そこで、今回は卵黄が2つもあることから、いつものキッシュ用タルト生地より粉の分量を増やし、“蓋”付きのパイを作ることにしました。ちなみにこのパイは、中身よりもその“蓋”つまりトップに注目です!


カントリーファーム風ラティーストップパイ

クッキングリッシュの会

こう言うパイ、イギリスやアメリカの田舎町のファームに行くと、そこのばっちゃん&あちゃんが協力しあって手作りし、売ってそうじゃないですか。だからカントリーファーム風と名づけました。(笑)


普通この手の蓋をかぶせたパイって、中身がベリーやりんごなどのフルーツってのが多いように思いますが、昨日私が作ったパイには、冷蔵庫の中で残っていたベーコンや野菜、それに我が家では絶対に欠かさないチーズを詰めて晩御飯の献立としました。


ラティースとは英語の単語の1つで、日本語に訳すと“格子”と言う意味になります。このラティーストップ、普通のパイのトップよりちょこっと余分に時間はかかるものの、2つのコツをこなせれば想像以上に簡単に出来ます!


大したコツではないんです!1つは、生地に水分をしっかり吸い込ませること。もう1つは、その生地を数時間冷蔵庫で休ませる、ただそれだけなんです。


バターが柔らかいと粉が水を吸う前に脂肪で湿ってしまいます。そこで生地に水分を十分に吸わせる為に、冷蔵庫でキンキンに冷えたバターを使います。


タルト生地を捏ねるとパサパサになるのは水が少ないから。水の量の目安は生地がまとまりこれでよいかなと思ってから、更に手を水で湿らせ、その水分を粉に全部吸い取らせるくらいがベストです。そして滑らかな生地になるまでしっかり捏ねます。


その生地をフォイルに包み数時間冷蔵庫で休ませると、グルテンがたっぷり生成され弾力性のある生地になります。


天ぷらをカラッと揚げる為に、粉と水をしっかり混ぜ合わせないようにしますが、あれはグルテンの生成を少なくし、粘りの少ない衣にするため。タルト生地はその全く反対の原理です。


こうやって作ったタルト生地は1ミリほどの薄さに延ばしても絶対に破れません。薄く細い生地をラティースにする為には、何度も持ち上げたり下げたりしないといけませんが、そりゃあもう、楽勝です!(笑)


<材料 22cm程度のパイ皿1つ分>

(タルト生地)
小麦粉...250g
塩...ひとつまみ
バター...125g
卵黄...2個
冷水...適宜

(フィリング)
じゃがいも...2個
パンチェッタまたはベーコン...100g程度
たまねぎ...中1/2
マッシュルーム...5~6個
にんにく...1~2かけ
チェダーチーズ、削っておく...100g
パルメザンチーズ、削っておく...30g(またはチェダーのみ130g)
チェリートマト、半分に切る...6~7個
パセリの葉のみじん切り...大さじ2~3
全卵...2個
卵黄...1個
フィラデルフィアクリームチーズ、室温に戻しておく...50~60g
粉マスタード、または粒マスタード...小さじ1
塩こしょう...適宜
味の素...適宜

(その他)
卵白...1個
牛乳...大さじ

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<作り方>

1.小麦粉に塩を加え、冷蔵庫から出したてのバターを指で擦り込んでゆく。クランブル(粉々に割れたビスケットの様なそぼろ状態)になったら卵黄を加え、更に冷水を少量ずつ加えながら生地をまとめる。

2.1を捏ね滑らかになったら、2/3と1/3に分け、それぞれ別々にホイルに包み冷蔵庫で数時間から一晩休ませる。使う最低30分前に冷蔵庫から取り出し、ホイルをはがして室温に戻す。

3.フィリングを作る。じゃがいもは皮を剥き1cm程度の角切りにしてレンジなどで調理しておく。パンチェッタまたはベーコン、たまねぎ、マッシュルームはそれぞれ細かく刻む。にんにくはみじん切りする。

4.フライパンに油を引かずパンチェッタをこんがりするまで炒める。キッチンペーパーの上に取り余分な脂を取り除きながら完全に冷ます。

5.4のフライパンに残ったパンチェッタの脂でたまねぎを炒める。しんなりしてきたらマッシュルーム、にんにくを加え更に4~5分炒める。パンチェッタ同様キッチンペーパーの上に取り余分な脂を取り除きながら完全に冷ます。

6.打ち粉をした台の上で室温に戻した大きい塊の生地を、パイ皿の内側に貼った後、皿の上部より1cm生地の余りがある大きさの円形に麺棒で延ばす。オリーブオイル(分量外)を薄く塗ったパイ皿の内側に、空気が入らないようにしっかり押さえながら貼る。

7.ラティーストップを作る。残った小さい塊の生地を同じく打ち粉をした台の上で、パイ皿の直径より約2cm大きい円形に延ばす。(生地の厚みは約2mm程度になるはず。)パイカッターなどで横1cm間隔に生地を縦に切る。

8.7の円より大きめのベーキングペーパーを用意し、その上に1cm幅に切った生地を左端から1つ飛ばしに1cmの間隔を空け、7で延ばした円と同じ大きさの円形になるように並べる。

9.8のベーキングペーパーを90度回転させ、台の上に残った生地を再び左端から順に、ベーキングシートの上に1cmの間隔を空けて7と同じサイズの円形になるように並べる。この時、8で並べた生地を持ち上げ下げし格子になるように並べる。

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生地を互い違いにしながら全部並べ終わると、最終的に出来上がるのは7と同じサイズで、しかも写真の様な格子の円形生地。

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10.6にじゃがいも、ベーコン、炒めた野菜を入れ、具が全体にまんべなく行き渡るように広げる。チェダーチーズとパルメザンチーズの合わせたもの(もしくはチェダーのみ)を具の上にまぶし、トマトを載せてパセリの葉をまぶす。

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11.クリームチーズ、全卵+卵黄、マスタードを合わせた液を全体にかけ、ラティーストップで蓋をする。ラティース生地の垂れ下がった分はパイ皿に貼った生地の余りに合わせはさみで切る。余った生地を合わせて内側に折込みしっかりと蓋を閉じる。

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12.卵の白身と牛乳を混ぜたものをラティースの全体に塗り、190度で予熱を済ませたオーブンで40分程度焼く。


とまぁ、私、文章をまとめるのが下手なので、延々と12番まで続くやたら長いレシピとなってしまいましたが(苦笑)、実際はキッシュ作りより20分も余分に時間があれば出来る、大して難しいものではございやせん。


この前からスーパーで見る度気になっていた、パイを焼くときパイ皿の上に載せると、円周の合わせ目からフィリングが漏れたり、焦げたりしないというリングを、昨日とうとう買ってしまいました!目新しいものに弱い私。(汗)

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それを早速かぶせて焼いてみたのですが、確かに綺麗には焼けるんだけれど、綺麗過ぎて、焼き色がついて欲しいパイの蓋の部分まで時間が経っても色がつかず、結局30分位たった時点で取り外すことに。


そうして焼けたファームのばっちゃん&かあちゃんの焼いた風パイが、これです。

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こういうのを作ると絶対に私は、どっか1つ、必ず上下を間違っている箇所があるんですが、昨日はセーフだったみたい。(笑)


我が家の夕食風景。セピア効果になるダイニングの照明にむかつき、夕べからはキッチンカウンターで食事をすることに。カウンターと言ったってアメリカのキッチンのは、日本のダイニングテーブルより大きい広いスペース!

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パイと共に食卓にサーブしたのはコーンクリームスープ。


実はこのスープ、火曜日の夜に作ったアイリッシュ料理の1つ、茹でハムとキャベツのパセリソース添えの、ハムとキャベツを茹でた茹で汁を残しておき、それに冷凍のコーンをぶちこんで作ったものです。

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このアイリッシュ料理もブログで是非紹介したい、素朴な激旨アイルランド料理なのですが、このセピア効果の写真にうんざりで記事にしませんでした。次回作って明るい照明の下で綺麗に写真が撮れたら、その時ご紹介します。


パイの切り口もお見せしておきませう。

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パンチェッタと芋、それにチーズが沢山入っているので、キッシュよりずっと腹持ちがよいパイです。味は、残りものばかりで作ったとは思えない最高の味でした。残って冷蔵庫で保存していたのを今日のお昼に食べましたが、冷たくてもとっても美味しかったです。


あと、何でも見えそうで見えないってのは人を興奮させるもので(爆)、フィリングの一部が格子の隙間からチョロっと見えるのは、ワクワクしてとても楽しいです。

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