一昨日は旦那の誕生日前夜祭でパエリアを作りました。そして昨日はいよいよその誕生日の本番。おとといよりさらに豪華になり、こんなものがバースデーディナーとして食卓に並びました。


ローストダック・チェリーソース&グレービーソース添え

クッキングリッシュの会

日本でも最近はクリスマスやパーティーに丸鶏を焼く人が増えましたが、丸鴨を自宅でローストすると言う人には、まだお目にかかったことがありません。入手が困難な上に、チキンよりもぐっと値段の高い高級品ですもんね。


今回は東京麻布にあるナショナルでフランス産の冷凍物を買って来ましたが、やっぱりお値段は1.8キロで3千円以上とチキンの2~3倍もしました。特別な日でもない限り、なかなか普段には庶民の口には入らない肉です。

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ちなみに丸鴨はネットでも手に入れることが出来ます。
こちらのサイト では丸鴨に拘らず特殊な肉が手に入ります。

イギリスでは鴨肉は比較的簡単に手に入ります。そもそも、七面鳥をクリスマスに食べる様になったのはアメリカの影響。元々は鴨やガチョウを食べていたはずです。だから今でもこれらの肉は鶏同様に人気があるし、日本よりもう少し手頃な価格で入手出来ます。


うちもだからイギリスに住んでいる頃にはよく焼いていました。チキンが淡白な肉なら、ダックやガチョウは脂がたっぷりのった濃厚な肉で、これがまた旨いんです。


ところで、丸鴨はチキンよりももっとシンプルな調理法で焼けるんですよ!


冷蔵庫で48時間かけて解凍した冷凍の丸鴨の内外をまず綺麗に洗います。キッチンペーパーで外側の水気を綺麗に拭き取ったら、お腹の中には数枚ペーパーを詰め込みしっかり水分を吸込ませます。


次にフォークでアトランダムに数カ所に穴を開けます。皮に穴を開けても身には穴を開けないと言う人もいますが、私はしっかり身までフォークを突き刺し穴を開け、肉に含まれている余分な脂の抜け道を作ってやります。


フォークで穴を開けたら深めのオーブン皿に丸鴨を入れ塩こしょうをします。この塩こしょうの量は、焼き上がった鴨の皮を口にした時、塩っぱいと感じるほどたっぷりの量を使います。手でしっかり全体に擦りつけませう。

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兎に角、脂が大量に吹き出します!
浅いオーブン皿を使って焼くと、オーブンの中がとんでもなく汚れます。
ルクルーゼなど、オーブン調理可能な鍋を使うのがベターです。


もうこれで準備完了。220度で予熱したオーブンでまず20分焼き、その後180度に温度を下げて残りの時間を焼くだけです。(温度は電気オーブンレンジの目安。火力の強いオーブンではもう少し温度を下げます。)


焼き時間は簡単に計算出来ます。チキンの場合は450gにつき20分で焼き時間を割り出せば良いのですが、丸鴨の場合は450gにつき30分と計算します。チキンより長めに焼いて脂っこい皮をカリカリにするためです。


私はこの計算方法で、昨日、1.8キロ強の丸鴨を2時間焼きました。


さてさて焼き上がった丸鴨につけるソースの話になります。北京ダック風に食べるのであれば、先日私が生春巻きを作った時に紹介したホイシンを使った味噌だれ が良いでしょう。(うちも今晩残りのダックをそのたれで中華風にして食べます!)


洋風のソースとなると、オレンジソースかチェリーソースが鴨にはお決まりのソースです。昨日私が作ったのは旦那のリクエストでチェリーソース。やたら簡単に出来るソースなので、ここではそのチェリーソースの作り方をご紹介します。


ダークチェリーの缶を開けチェリーとシロップに分けます。

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1缶分のチェリー全てを鍋に入れ、そこに赤ワイン150ml程度を注ぎます。火にかけ沸騰して来たら弱火にし、そのまま約15分程度水分が半分くらいになるまで煮詰めます。


残しておいたシロップ大さじ3~4(お好みの甘さ)で味付けし、少量の水で溶いた小さじ1のくず粉でとろみをつけたら出来上がり。我家では前もって作っておき、食卓にサーブする前にレンジで温め直しています。

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もうこれで丸鴨さえ焼き上がったら食べれます。しかし、せっかくの高価な肉を洋風にサーブするなら、チェリーソースだけじゃなく焼き汁で作るグレービーソースも添えたい。


ところがここで問題!ここまではチキンよりずっとシンプルな調理法の鴨が、グレービーを作ると決めた段階でずっと手間のかかる肉になってしまうんです。その理由は、鴨は半端じゃなく脂っこいからです!


チキンの場合は、キッチンペーパーでこすだけでかなりの脂が除去できるのですが(詳しい作り方はこちら から...)、鴨の場合はペーパーでこしたくらいでは追いつきません。


鴨が焼き上がったらオーブンから取り出し、縦にしてお腹の中にたまっている脂までしっかり切って皿に盛ります。フォイルでしっかり包んでそのまま約30分蒸らします。(この蒸らしはチキンでも牛でも豚でも必ず実行。)


蒸らしている間にグレービーソースの準備をするのですが、オーブン皿にたまった焼き汁全てをボールに移し、その中にコップ1杯分ほどの冷水と片手いっぱいに掴んだ沢山の氷を加えます。そしてスプーンで掻き混ぜて水で薄めた焼き汁を一気に冷やすんです。


そうすると、この通り、水から分離した半端じゃない量の脂が浮いて来ます。

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見るからに体に悪そうなこの脂を取り除き、さらにクッキングペーパーでこしたのが、下の写真の透き通った焼き汁です。後はローストチキンのグレービーと同様に味付けをすれば良いんです。

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ちなみにこの恐っろしい量の脂ですが、捨てずに残しておき、サラダ油代わりに使ってローストポテトを焼くと、そりゃあまぁ旨いのなんのって。体に悪いものはなんでも旨いってことです。(爆)


ちなみにこれ以上デブりたくない私は泣く泣く捨てました!(涙)


今回購入した丸鴨にはちょっと落胆したことがあります。ジブレッツがついていませんでした。


これからの季節、七面鳥を買って焼く人も多いと思いますが、鴨や七面鳥、ガチョウなどを丸で買うと、お腹の中にはビニール袋に入ったジブレッツと呼ぶものが大抵入っています。


ジブレッツとは何かと言うと、鳥の首や内蔵などいわゆる臓物です。ジブレッツがついて来る鳥に関しては、グレービーソースを作る時に水+固形コンソメの代わりに、ジブレッツを炊きだして取ったストックを使うんです。


昨日もそのつもりをしていたにも拘らず、パッケージを開けてみるとお腹の中は空洞。ジブレッツが入っていませんでした。


滅多に食べれない高価な肉を、どうしても本格的に料理して美味しく食べたかったので、そこで、鴨の残っている首3cm程を無理矢理切り取り、鶏のガラを買って来て一緒に炊きだしてストックを作りました。

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鍋に入れたガラがすっかり水に浸かる様に、水1~1.5リットル+白ワイン100~150mlを注ぎ入れます。そこにたまねぎ1/2個、セロリの葉の部分1~2本分、ネギの青い部分1本分、人参1個、パセリ1本、タイム数本を加えて火にかけます。


沸騰して来たら火を弱め蓋をして煮ます。1時間から1時間半煮たらガラや野菜を全て取り出し、クッキングペーパーでこします。この分量で2回分のストックが取れるので、半分は冷凍しておくと良いでしょう。


これを前もって準備し冷蔵庫に冷やしておくと、冷水の代わりに氷と共に焼き汁の中に加えることが出来ます。また、冷蔵庫で冷やすことでさらに余分な脂が表面に浮いて来るので、それも除去すればますますクリアーなストックになります。


昨日は4時に調理を始め、ローストポテトやボイル野菜2種も準備していると、ディナーがスタートしたのは8時を回っていました。たった二人だけのディナーに、まるでクリスマスかイースターの大騒ぎ!(爆)

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でも、旦那にとって特別な日だから、どうしても作って上げたかったんです。いつも人にして上げるばかりの優しい旦那。たまにはこうして人からしてもらう立場に立ったって罰はあたらないでしょう!


いただきもののチリアンワイン。飲み易い味がこってりしたダックにぴったりでした。

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次回私が長時間に渡るローストミールを調理するのは12月25日、クリスマスの日です。ここ数年ローストビーフが続いているので、今年はラムのジョイントにでもしようかと只今検討中です。

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