昔ながらの英国の日曜の午後の過ごし方は、家族が全員揃って食卓につき、オーブンでローストした肉を食べます。それをサンデーミール、サンデーロースト、サンデーディナーなどと呼びます。その代表がこれです。
ローストビーフ
最近は日本でもよく聞く言葉・アフタヌーンティーとは、その昔貴族達が、午後のひと時焼き菓子やサンドイッチを食べながらゆっくり紅茶を楽しんだことが始まりです。
それとは別に、ハイティーというものがあります。こちらは貴族よりもっと下の階級の人達の間の習慣で、アフタヌーンティーよりもう少し遅い時間、夕方に紅茶とともに肉も食べました。つまり夕飯のことです。
だからイギリスでは夕飯のことをディナーとは呼ばず、未だにティーと呼ぶ人がたくさんいます。
サンデーミールが昼食にはちょっと遅く、夕食には早過ぎる時間に食べられるのも、もちろんその時間帯が家族全員集まれることも理由にあるのでしょうが、私が想像するに、このハイティーのなごりではないかと思います。
そして日曜の夜9時頃お腹がすいたら、残ったお肉をパンにはさんでサンドイッチを作り、サパー(夜食)とするのです。
ここでご紹介するレシピは、第5回クッキングリッシュの会のお題とさせて頂いたものです。芳ばしいオニオングレービーの作り方と共にご紹介します。
<材料>
(牛肉)
牛肉(もも、肩ロースなどのブロック肉)...目方により焼き時間は下記参照
(オニオングレービー)
バター...25g
たまねぎ、薄くくし形にスライス...1/2個
小麦粉...大さじ1強
肉の焼き汁...オーブン皿に残った分全て
水...オーブン皿に残った焼き汁を薄めて300ml強にする量
固形コンソメ...1個
塩こしょう...適宜(こしょうは挽きたてのものを多めに)
味の素...適宜
ブランディー...大さじ1
(その他)
ローストポテト、お好みの茹でまたは蒸し野菜、
ヨークシャプディング、ホースラディッシュなど
<作り方>
1.肉は必要なら洗い水分を十分に拭き取る。オーブン皿と肉の間に最低1cmの隙が出来るようにワイヤーラックをオーブン皿にセットし、その上に肉を載せる。
2.オーブン皿に約カップ1杯の水を張り、180度で予熱が完了したオーブンに入れ肉を焼く。(焼き時間は肉の目方によって違って来ます。下記の計算方法で割り出して下さい。)
3.途中15~20分おきに、カップ約1/2程度の水をオーブン皿にこまめに足し、皿の水が蒸発しきってしまわないようにする。
4.焼きあがった肉は、リードクッキングペーパーを2つ折りに敷いた皿に上げ、ホイルでしっかり包んで30分程度蒸らす。
5.オーブン皿に残った肉汁と水の混じった水分を全てボールに移し、冷水を足して300ml強に薄める。リードクッキングペーパーを使い濾し、余分な脂肪分を取り除く。
6.小鍋にバターを熱したまねぎを炒める。黄金色に変色しカラメル状になり、鍋底に焦げ目が目立ち始めるまで、弱火で約10分程度じっくりと炒める。
7.6を一旦火からおろし小麦粉を加え混ぜ合わせる。粉が混ぜ合わさったら再び弱火に戻す。
8.冷水で薄めた5の肉汁を7に徐々に加える。だまが出来ないようにしっかりかき混ぜながら粉分を溶かす。
9.肉汁の半分くらいが鍋に加わった時点でコンソメキューブを加える。更にかき混ぜながら残りの肉汁も加え煮立てる。
10.9に調味料を加え味を調える。ここでとろみが足りないようなら、水で溶いた小麦粉を加えて調整。(とろみ加減は好き好きですが、デミグラスよりすこしさらっとした濃度が目安です。)
11.最後にブランディー(またはウイスキー)を加え煮立ったら出来上がり。
肉を切り分け各自皿に取り、ローストポテト、お好みの野菜、ヨークシャプディングなどを添えて、たっぷりグレービーをかけて召し上がって下さい。
<肉の焼き時間計算方法>
(肉の目方÷450g+1) x 下記の好みの焼き加減
レアー... x 20分
ミディアム... x 25分
ウェルダン... x 30分
例)900gの肉のかたまりをミディアムに焼き上げるには、焼き時間は75分になります。
(900÷450+1) x 25 = 75分
(但し、これはあくまでも目安であり、お持ちのオーブンの火力に合わせ調整が必要です。)
塩こしょうをし、ハーブや野菜と共に肉をローストする方法もありますが、牛肉に関しては何も味付をけせず、ジューシーに柔らかく焼くことだけに私は重点を置いています。
在英10数年の間、毎週日曜日にはほぼ欠かさず肉をローストし、その内月1度は必ずローストビーフを作っていました。
その私が色んな作り方を試した結果、この焼き方が最もシンプルで、且つ失敗なく美味しいローストビーフを焼く焼き方でした。
また、グレービーは正式な作り方で作ると脂肪分が気になるのと、かなりこってりした味になる為、冷水を足して余分な脂肪分を取り除き、口当たりのよいものに仕上がる様にしています。
次回は英国のローストビーフには必ず付きもの、ヨークシャプディングをご紹介したいと思います。