今季から、JFLが節ごとに特定の試合をWeb配信するという素晴らしい取り組みをしています。これまで現地に行かなければ詳細な情報が得られなかったJFLが、スマートフォンやPCで見られるというのは隔世の感がありますね。

 

記念すべき第1回の配信では、話題のFC今治のサッカーを見る事ができました。チームのメンバーも、相手のレベルも変わりどのようなサッカーを見せてくれるのかと、楽しみながら観戦することができました。

 

さて、FC今治といえば岡田武史氏がオーナーを務めるという事で話題が豊富ですが、今季もJFLでは破格の予算が発表されたり、ラモス氏のアドバイザー就任やLDHのスタジアムイベント等々、話題に事欠かない感じです。多分、J2に上がるくらいまでは何をやっても規格外と話題を集めるとは思います。今回はオーナー就任当初から話題となっているキーワード「岡田メソッド」について少し考えてみたいと思います。

 

メソッドとは

メソッド

1. 目的を達成するために決められたやり方。方法。方式。
2. オブジェクト指向プログラミングにおいて、オブジェクトに対する操作を定義した手続き。メソッドをオブジェクトの属するクラスに定義するプログラミング言語が多い。

-コトバンク

https://kotobank.jp/word/%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%83%E3%83%89-9241

 

プログラム書きだった私は、メソッドというと2のオブジェクト指向云々という解説を、サッカーに脳内変換して考えている方がしっくりくる感じがありますが、一般的には1の説明の方が良いですよね。

 

私が持っている岡田メソッドのイメージは、ゴールや失点をしないという目的を達成するための、局面での約束事やセオリーといった漠然としたものです。専門家では無いので、一つ一つを掘り下げることできませんが、岡田オーナーがTV出演時に発信していたように、日本人に合っている「型」を作るという考えはとても興味深いですよね。

 

岡田メソッドが指すところ

現在は、ご自身のJリーグ監督経験やW杯の代表監督経験を踏まえて、吉武監督や昨年までは大木武さん(現J2岐阜監督)がいたメソッドチームが協議し、FC今治を通じてアウトプットとトライ&エラーを繰り返している状況かなと思いますが、最近、ちょっと気になったのはコラムでみかけたメソッドからの「解放」という表現です。


地域CL優勝と岡田メソッドからの解放岡田武史オーナー兼CMOインタビュー後編 - スポーツナビ

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201612190005-spnavi

 

要約すると、地域CLを勝ち抜いてJFL昇格を手に入れるために、これまでとは違う守備戦術を用いたり、それ以外にも相手に合わせてやり方を調整したことを解放と表現しているかなと思うのですが、これが私にはあまりしっくり来ないんですよね。

 

サッカーでは、ボールホルダーのプレー選択肢として、シュート、ドリブル、パスがあります。プレイヤーがボールを持った時に、状況に応じてどのプレーを最適と考えるべきなのか、仮にパスを選択した場合にチームとしてどう動くか、パスコースを作るための人員配置や複数人でどのように連動するのかといったところ、そういったチーム戦術以前にある岡田さん&メソッドチームが考えるベーシックな定義が岡田メソッドだと思います。

 

なので、岡田メソッドは解放されるようなものではなくて、FC今治の選手がプレーする際の基本となる思考や選択、決断の土台の部分ですよね。

 

適用したのはオプション

じゃぁ地域CLの時の采配の件はどうなるの?となるわけですが、私の解釈は地域CLを勝ち抜くためのオプション、つまり解放ではなく、イレギュラーな戦い方として割り切るという決断です。

 

メソッドを構築しながら現場が戦っている状況は、プログラミングで言うところの設計とコーディングを同時進行で進めている状況に似ていると思いますが、このような場合、イレギュラーな事があった場合に、基幹部分への影響調査、コーディング修正、動作テスト等々を含めて一連の作業を同時進行で進めていく事が必要になります。逆に、きっちりとした基本設計、詳細設計ができてる場合は、イレギュラーな事が出てきても、基本的ところは出来上がっているため、それはそれとして対処すると思います。設計がしっかりしていると思考が整理しやすいんですよね。

 

ただ、岡田メソッドの場合は、まったく新しいことに取り組んでいるので、初回で設計が固まっていない(固めきれない)のは当たり前です。メソッドの適用範囲についても同様で、やりながら修正し、最適解を見つけていく必要があります。

 

1年目の地域決勝では、禁じ手と言われたローテーションを採用して話題となりましたが、短期間で試合が集中する場合、選手の疲労を考慮すればローテーションはセオリーではあるんですよね。J1でリーグ戦、ACL、菓子杯、天皇杯と連戦するのであれば、良い選手を揃えてクオリティーが落ちないようにすると思います。ただ、地域決勝の場合、短期間というよりは、3日で3連戦というここにしかない特殊ルールなので、通用しなかったということです。

 

2年目に同じ舞台でローテーションは採用しなかったものの、相手によって戦術を変更することへの選択と決断に迫られ、割り切ったことで思考がシンプルになった。1年目に地域決勝を勝ち抜けなかった事が、メソッドの基本設計には含めず、例外対応とオプション構築という考え方を得られた良いきっかけになったのではないかなと思います。

 

ん?

 

この割り切るというのが解放ということか(笑)

 

でもなぁ。。

 

解放っていう表現だと、それまでとその先が何も関係なくなるように感じるんだよね。。

 

日本語って難しいね

(TーT)

 

メソッドの将来

岡田メソッドでベーシックなところを定義することで明確になってくるのが、選手に求められる質のところですね。例えば漠然と「フィジカルが足りない」とか「守備範囲が広い」とか「判断が遅い」とか、この辺が数値化されていくと思うので、戦っているステージに合わせて適合する選手が必要になるという事になるのかなと思います。

 

数値的な定義は、岡田さんが、日本代表、J1、J2を既に持っていて、FC今治の立ち上げ2年間で地域リーグは取得済み、現在はJFLを数値化しているところかと思います。ファーストステージでJFLの数値化が完了し人材の補強さえできれば、優秀な情報解析&対策班もいるので、JFLのセカンドステージを獲って、1年でJFL年間通算4位以内、J3参入もあるかもしれません。

※観客動員等の諸条件もあるのでJリーグ入りは断言はできません。

 

将来的なところを考えると、岡田メソッドは、育成年代では明確な指標になるので、水準を満たす選手を多く輩出することができれば、地域の個性として「今治スタイル」を確立することができるかもしれませんね。

 

現在は、トップから育成年代まで一貫したやり方をする方針とのことで、吉武監督や現J2岐阜の大木さんらメソッドチームが整備したことを進めていると思います。吉武さんが監督をやっているということで、ボールポゼッション率が高いサッカーを追求する感じになるのかなとは思いますが、パスをつなぐサッカーの構築や成熟はグラウンド等の環境にも左右されると言われているので、育成年代から一貫してとなると、草の根の環境整備のところまで改善が必要かもしれません。イングランドでキック&ラッシュの戦術が生まれた背景には、劣悪なグラウンド環境のためボールが転がらないから前に蹴ったというのがあるんですよね。

 

私がメソッドの解釈を広義にしたくない理由がこの辺にもあって、獲得できる選手や育ってくる選手の質、地域の環境、監督によって、チームの戦術は変わる可能性があると思うんです。極端な話し、次の監督がこのステージではハイプレス&ショートカウンターじゃないと勝てないと思ったら、リアルな選択としてガラッとやり方を変える事もあるかと思います。でも、それをステージや相手によって適用できるオプションとすれば、ベーシックなところを捨てなくてよくなるんですよね。

 

メソッドの販売

岡田さんがTV出演した際に言ってたことですが、メソッド(ノウハウ)の販売を考えているってところに凄く興味があるんですよね。サッカークラブの収益というと、入場料、広告、グッズ等々になるかと思いますが、ノウハウが欲しい他のクラブに販売するのは新しい収益源、ビジネスモデルになるかなと。

 

FC今治のメソッド構築に関わった大木さんがJ2岐阜に就任して、それまでのサッカーとはまったく別の「つなぎ倒す」サッカーを見せているのも何とも興味深いです。戦術の良し悪しや好みのところは置いときますが、これだけ短期間に変化を見せたのはメソッドが関わっている気がしてならないんですよね。

 

FC今治が地域リーグからスタートしてJFL、Jリーグと進んでいくとそれぞれのリーグでイレギュラーなところが出て来ると思うので、それをオプションパッケージにしちゃいます。

 

岡田メソッド(今治スタイルのチーム構築手法)

+地域CLオプション

+JFLオプション

+J3オプション

 

日本代表選手でも出た場合には、

+日本代表育成オプション

 

なんてのもありかもしれません。

 

おいくら万円か分かりませんが、欲しいと手を挙げるクラブもあるんじゃないかな。

 

ね、

 

ほら、やっぱり解放より、オプションにしたほうが商売しやすいでしょ(笑)

 

 

コミュサカ@管理人

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