カンボジアの「小さな先生」 | 地域は子どものために、子どもは地域のために

地域は子どものために、子どもは地域のために

一般社団法人コミュニティ・4・チルドレンは、
恵まれない環境に置かれるアジアの子どもたちが、元気に笑顔で成長できる地域づくり
を応援します。

カンボジアの子どもたちにとって大きな問題は、教育です。
国際協力団体や政府によって多くの学校が建てられましたが、教師の数や能力が不足し、まともに初等教育を受けることができない子どもがまだまだ多いのが現状です。

そして一度学校に来たとしても、中退する率は高く、継続して通うことができません。
農村部では、小学校で2割、中学校では6割が卒業しないで学業を終えます。
その理由は、経済的貧困が一番多く、保護者が家の仕事や家事を手伝わせるため学校に行かせないケースが多々見られます。

親の世代も学校に行ったことがないため、子どもの教育に価値を見出せないようで、
外国に出稼ぎに行く家族に付いていく子、親に外国で働かされる子もおり、児童労働の問題は尽きません。



C4Cは、カンボジアのローカルNGOであるKhmer Community Developmentと一緒に、プレックチュレイ地区の子ども会「ピースクラブ」の活動を支援しています。

ピースクラブは、2008年に子どもたちが設立しました。
カンボジア人もベトナム人も参加でき、定期的にコミュニティの問題を自分たちで考える機会を持ち、一緒に解決方法を模索しようとしています。

最初に行った活動は、デング熱で幼い子供がよく亡くなることから、デング熱撲滅キャンペーンです。
大人たちもデング熱に関する知識を得て、現在、デング熱で亡くなる人はいなくなりました。

今、もっとも労力を注いでいるのが、「小さな先生」による補習授業です。
中学生や高校生が、就学前または小学生に、カンボジア語、英語、算数などを教えています。
学校の不十分な教育機能を補うとともに、他人に教えることで、コミュニケーション能力は格段に向上します。
小さい子どもも、お兄さんやお姉さんのような「先生」に教えてもらうことで、学校や勉強に対する恐怖心がなくなります。
ベトナム語しかできないベトナム人の子どもに対しても、バイリンガルの子どもがカンボジア語を教えています。
(ある高校生の家で、行われている授業風景↓)



「小さい先生」は、他の子どもたちに様々なことを伝えます。
これは、子どもの人権について、小さな子どもたちに易しく説明しているところ↓



子どもには学校に行く権利があり、親が学校に行かせようとしないのは、子どもの人権に反する・・・
親や学校の先生が子どもを殴ることは、子どもの人権に反する・・・
もしそういう場面に遭遇した時は、必ず誰かに相談すること・・・など。

大きい子どもが小さい子どもに伝え、その子はもっと小さな子どもに伝えます。
最近では、行政区の議会に傍聴に行き、子ども会の意見を伝えるアドボカシー活動も始めています。


今回、「小さな先生」をしている年長のメンバーと話す機会を持ちました。
これまでの子ども会の活動や今後の計画を彼らは私たちに話してくれました。

そしてこちらから、彼らの将来の夢を聞きました。
3年前に同じメンバーに、将来の夢を聞いたときは、「警察官」「商売人」「医者」など漠然としていて、不思議なことに「教師」と答えた子どもがいなかったことを覚えています。
教師が、子どもたちにとって身近な存在ではないことがわかりました。

そして今回、彼らの答えは、「家庭内暴力を防ぐ警察官、副業としてコーヒーを売る商売」「外国人にカンボジア文化を紹介するガイド」「クメール語を教える教師」「看護師で、交渉人」「物理の教師か警察官」「親の面倒を見ることができるので医師」など。とても具体的に将来の夢を描いていました。
就学や子ども会の活動を通じて、メンバーは幅広い経験を得て、精神的に成長していることがわかりました。



その彼らが私たち(C4C)に聞きました。「あなたたちの将来の夢は?」
代表理事が答えました。
「近い将来、カンボジア、タイ、フィリピン、日本で、地域で頑張っている子どもたちを一堂に集めて、キャンプをします!」
その夢を実現するために、私たちも頑張らないと・・・