今回の記事でご紹介のCMは、大塚製薬のバランス栄養食「カロリーメイト」における「見せてやれ、底力。」をテーマに、最新のCMとなる「夢の背中」というタイトルとなります。
さかのぼること3年前、2013年の「とどけ、熱量。」篇に始まり、さまざまなシチュエーションで「がんばる人」に向けてエールを送り続けてきたカロリーメイトの広告。
2015年10月には、ひき続き「見せてやれ、底力。」で、新社会人をターゲットに捉えた「Mate」篇というタイトルのCMでもありました。
先輩役を、俳優の柄本佑さん、後輩役を野村周平さんが演じ、社会人生活でのシーンが高校生活のシーンと重なっていたような内容でもありましたね。
私のブログでも、一時は記事の候補となったCMでもありました。
2016年3月には、平祐菜さんが出演の「見せてやれ、底力。」篇をオンエア。
平祐奈さん演じる受験直前の女子高生が、受験までの1年間の奮闘ぶりや様々な学生生活での出来事を、黒板アートで振り返るストーリーと、岡村孝子さんのヒット曲「夢をあきらめないで」を、Anlyさんという歌手のカバー曲に乗せて展開していたこのCMは、第56回「ACC CMフェスティバル」のACCゴールド賞を受賞しました。
2673時間という時間と、約6000枚以上の膨大な数の黒板による黒板アートは、まるでアニメのように動いていたかのよう。
まさに“動く黒板アート”といってもいいくらい素晴らしかったですね。
今回の記事で取り上げたCMは、同じ「見せてやれ、底力。」シリーズではあるものの、昨年12月よりオンエアがスタートした「夢の背中」篇のタイトルとなります。
平さん出演の、黒板アートによる「見せてやれ、底力」篇では、受験勉強と学生生活に奮闘しつつも、最終的には「サクラサク」ということで見事合格した結末となっていました。
しかし「夢の背中」篇では、大学の合格発表会場で自分の受験番号がなかったことでうなだれ、「サクラチル」となり、浪人生として、来年に向けて受験勉強を始めるようとする、高校を卒業した男の子が主人公となっていたみたいでした。
CMのロケ地は長崎県とのこと。
ということは、男の子は長崎県出身で、地元の大学を受験したものの、残念ながら落ちてしまったといった設定となりそうです。
また、そんな息子を1年にわたって励まし、支え、見守っていた母親も出演していたことで、親子ともに受験勉強に挑む姿だけでなく、母親の目線から描いたCMともなっていたようです。
また、CMソングでは卒業ソングの名曲ともいえる曲が、バンドでその曲を歌っていた歌手がセルフカバーしていました。
まずは下のリンクをクリックして、今回の記事の対象となった「夢の背中」篇のうち120秒バージョンを視聴してみてくださいね。
●カロリーメイト CM|OTSUKA ADVIEW SITE|大塚製薬
「夢の背中」篇 120秒
(視聴プレーヤー:Frash)
(視聴形式:サイト内)
では、いつものように、まずは「夢の背中」篇の120秒バージョンについて私なりに振り返ってみることにしましょう。
【「夢の背中」篇 120秒バージョン】
長崎県内の、とある大学の合格発表の日。
紙に合格者の受験番号が一斉に発表されると、1人、あるいは親子連れで訪れた受験者たちは自分の番号があるかどうかを即座にチェックしていた。
すぐに番号を見つけ、合格が決まった受験者は早くも歓喜の声を上げる受験者もいれば、紙吹雪を降らせながら、友人と思われる男の子たちから胴上げされていた、同じく男の子の受験者の姿も。
合格発表の紙の前では、そんな受験者たちによる悲喜こもごもの様相を呈していた。
そんな中、1人だけ番号がなかったことで、明らかに不合格だったことが姿からも見て取れた、高校を卒業したばかりと思われる1人の男の子(村上虹郎)。
なぜなら、うつむき加減でガックリと肩を落としていたからである。
合格発表からある日のこと。
男の子が出かけていく姿を、玄関で見送っていた母親(神野三鈴)。
出かけていく男の子の背中をその母親の心の中には、もう家庭でもビデオカメラが普及していたのではないかと思われたが、なぜか映像は8ミリ風。
男の子がまだ赤ん坊だったころ、玄関に向かって歩いていた様子が映し出されていた。
桜が咲き、少し花びらが散る中で男性が向かったのは理髪店。
なんと、理容師がバリカンで髪を刈っていたことで、男の子はそれまでのフサフサの頭から、気合を入れるためなのか坊主にしたのだった。
それは、“来年は絶対に合格するために受験勉強をがんばるぞ!”という決意とも思える。
その後、男の子は書店に行き、「頑張れ!受験生! センター試験コーナー」という文字の赤本がズラッと揃えられていた棚のうち、一冊を取り出し読み始めることに。
どうやら男の子は、これから浪人生として、来年の春に向けての受験勉強が本格的にスタートすることになったみたいだ。
「絶対合格」と書かれた張り紙のある自分の部屋で行なうのは、もちろん受験のための勉強。
それ以外に予備校にも通い始めたらしく、英語と思われる授業を受けているシーンもあった。
バスの中でも、男の子は参考書を読み、家でも、妹と思われる女の子がいる中、台所のテーブルに座って勉強を続けていた。
街中に出たときは、高校の同級生と思われる男女からの誘いもあったのだが、手を合わせて断っていた男の子。
そのまま家路につくのかと思ったら、たまの気晴らしということなのか、途中でゲームセンターに入ってゲームをしていた。
季節は夏を迎えると、公園のブランコに座って参考書を読んでいた、ハーフパンツ姿の男の子。
ある日、商店街を歩いていたら、とあるスーパーでレジ打ちをしていた母親を発見。
どうやら、男の子の予備校の費用を稼ぐためにパートに出たみたいだ。
男の子は、スーパーのレジ打ちをしている母親をチラ見したくらいだったが、
“俺のためにパートをやってくれているとしたら、申しわけないな…”
という思いがあったのかもしれない。
すぐさま目をそらし、そのまま歩いていく男の子に、母親は、
“たしかいま、うちの息子がそばを通りかかったような気が…”
と思ったかのように、スーパーの鏡越しから歩いている人を見つめたのだった。
その後、
顔を洗う。
1人で朝食を食べる。
図書館で一息。
街にくり出す。
妹がそばにいた中で歯を磨く。
と、受験勉強のかたわらで、毎日続いていると思われる男の子の行動があった。
ある雨の日。
傘を差しながらどこかへ向かいながら、男の子が小さいころ、母親にセーターらしきものを着せられはしゃいでいた姿が映し出されていた。
どうやらこれは母親ではなく、男の子による回想にも思える。
予備校での、男の子と母親、先生との三者面談。
三者面談は、自分が希望する志望校が、果たしていまの成績のレベルで行けるのかどうかを先生と相談する大切な面談でもある。
ましてや、予備校の三者面談であればなおさらだろう。
それからしばらくして、浪人生の男の子を苛立たせる場面が次々と出てくることになる。
発端となったのは、寝ていたとき、理由はわからないが、男の子が必死になって何から逃げているような夢を見たときだった。
ハッと目を覚まし、布団から飛び起きた男の子。
気を落ち着かせようと、お風呂に入るものの、苛立ちは治まっていない様子。
何かから逃げる夢を払拭するために湯船のお湯に潜るように顔を付け、頭を振るわせながら顔を上げたりするなど、いちばんリラックスできるはずなのに落ち着きがない状態だった。
気晴らしにテレビを見ていると、「一刀両断!!頭脳スペシャル」というタイトルの番組で、「東大生とOB100人」をテーマに、ゲストではホリエモンこと堀江貴文が出演していた。
その堀江の発言の中で、
「でも、受験ってテクニックですからね!」
と言っていたのを聞いて、堀江自身も東大のOBであったことも重なり、カチンときたのか、妹も見ていた中、リモコンでテレビを消した男の子。
男の子のイライラはますますつのるばかりで、路地のお店に置かれていた段ボールやゴミ箱を足で蹴飛ばす場面も。
家族との食事では、父親のさりげない言葉でも頭にきたらしく、突然その場で立ち上がった男の子。
部屋に戻ると、ついに男の子の苛立ちが頂点に!
机の上や周りの物を手当たり次第散らかし始めたのだった。
男の子の部屋はドアではなく引き戸になっていて、少しだけ開けたのか、男の子が部屋を荒らしまくっている様子を遠くから見ていた母親。
ふと、心の中で子供のころの男の子が泣きじゃくっている映像が回想される。
こうなってくると、男の子の苛立ちが治まるまでひたすら我慢するしかない。
テーブルの椅子に座り、我慢するしかないとはわかっていても辛く感じてしまい、思わずテーブルにうなだれてしまった母親の姿があった。
実はその母親の様子を、先ほどまで部屋を荒らしまくっていた息子も見ていたらしく、
“やっぱり受験勉強がんばらないとな…”
と思ったような表情を見せていた。
このころ、すでに男の子は坊主頭から髪が伸びていた。
こうして男の子は、予備校での勉強も、より真面目に取り組むことに。
ただ、親戚が集まっていた場面では、さすがに浪人生であるという立場が立場だけであるからか。
親戚が集まり、見るからにおいしそうなごちそうを食べながら会話をしていた中であっても、男の子はそのすぐそばで背を向け、1人だけおすそ分けをしてもらったと思える物を口にしていた。
とはいえ、気まずさに、親戚たちにまったく姿を見せないよりは、見せていた分だけまだいいのかもしれない。
自分の部屋の張り紙が「必勝」へと変わり、より夜の受験勉強に熱が入る男の子。
難しい問題があったらしく、いつまでたっても答えがわからない自分の頭を両手で小突いていた場面もあった。
これがエスカレートすれば、またこの前のように部屋を乱雑にしてしまうことにもなりそうだ。
でも、自分の出来なさを物に当たることはさすがにしなくなったらしく、そのうち勉強しながら寝てしまうことに。
すると、母親が静かにやってきて、寝ている息子の背中に、布団とは違う上着のようなものをそっと羽織らせていた。
母親は息子の寝姿を見て、小さかったころの息子を布団で寝かしつけるために、ポンポンと軽く息子の背中に手で触れていた姿が回想されることに。
そして、息子の部屋の引き戸を静かに閉めるのだった。
冬の雪降る寒い日、近くの神社で息子の必勝祈願をしていた母親。
息子は、同じく雪降る中、長崎市全体を見渡すことができる展望台のような場所にいた。
そして、センター試験、もしくは志望校の大学入試のどちらかと思われる入試の日。
玄関で靴を履き、母親から何か箱のようなものを受け取ると、そのまま出かけていった息子。
1年前、浪人生として見送ったとき、母親の回想は、赤ん坊のころ玄関に向かって歩いていた場面だった。
ところが、今年は受験生として見送ったことから、母親は、かつて初めて補助輪を外した自転車に息子が乗ることで、自転車に乗る練習をしていたとき、それまで後ろで支えていた母親が手を放すと、初めて転倒することなく見事にまっすぐ道を走っていたという、前向きな様子が映像で回想されていたのだった。
息子は門のところで立ち止まると、先ほど母親が渡してくれた箱を見つめることに。
するとそこには、大阪製薬のバランス栄養食「カロリーメイト」と、パッケージ表面には「大丈夫!」というメッセージが手書きで記されていたのだった。
それを見た息子は、門の前で母親のいる玄関のほうを向いて「ありがとう」と言うと、試験会場に向かって行ったのだった。
最後は、自分の思いが息子に通じたのをうれしく思ったのか。
静かに笑顔を浮かべてうなずいた母親。
最後は、自宅のテーブルに座って息子の受験を案ずる母親と、試験会場には多くの受験生がいた中、教官の「始め!」の声で試験用紙を開いたことで入試に挑み始めた男の子の背中でENDとなっていた。
いつもですと、この後視聴後の感想の記事となりますが、CMを振り返った時点でかなり長くなってしまいました。
したがって、視聴後の感想を含めた記事は次の記事で書くことにしますね。
ここまでの記事はいかがでしたか?