ある日の夕方、
アトリエで事務仕事をしているとき
『少し、中を見させてください』
とそーっと入ってきてくれた
純朴そうな女の子。
『学校帰りにずっと
こちらがきになってたんです。』
そう言いながら、
商品や作品サンプルを
眺めて
『今は、わたしと妹の受験で
時間にも余裕がない母に、
いつかこんなふうに綺麗な趣味を
してもらえるように、なりたいんです。』
とおっしゃる親孝行なその女の子と
しばらくお話をして
進みたい進路のはなし、
お母さんのはなしなど聞かせていただいて
また、寄ってね
とチラシを渡して
その時はさよならしました。
まだ入試が控えている時期だったようで
これから近くのフリースペースで
勉強するとの事でした
後日、電話がきて
高校の卒業式に切る袴に合わせて
髪飾りを作ってください。
とおはなしをくださいました。
淡い生成り色に
優しい桜の模様の袴に合わせてお作りした
花の髪飾りを
お受け取りに来てくださったときに
『先の事が決まってきました
』
と、
以前より少し晴れやかな笑顔で
嬉しそうに髪飾りを持って帰られたのが
印象的で。
その子の卒業式の日、
前を通るかな～
と思いながら仕事をしていたのですが
打合わせの時間が来てしまい
わたしがアトリエを出てしまった後で
その女の子は
晴れ姿を見せに
立ち寄ってくださったのだそうです。
不在で、お会いできず
直接お祝いを伝えられませんでしたが
本当に嬉しい出会い、
心に残るお仕事を
させていただきました
Yさん、高校ご卒業おめでとうございます。
４月からは違う街でいよいよ一人暮らしかな。
また、寄ってくださいね