「全然、大丈夫」
よく取りざたされるのが
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「全然~ない」と否定を伴うときの表現は分かるが、「全然、大丈夫」「全然、いい」などの肯定表現では使えないのではないか」
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ということです。
これは、「日本語の揺れ」が関わる問題です。
「全然大丈夫」という言い方を以前はほとんどしませんでした。しかし、最近よく聞かれますね。
一概に、否定語とセットで使うべきと限定していいものか、ちょっと考えてみましょう。
「この服、変じゃない」
「全然、似合ってるよ」
「大丈夫?もう立てる?」
「全然、大丈夫!」
「これで合っていますか?書き直しましょうか?」
「全然、いいです!問題ありません」
こんな風に、心配している相手に対して、それを打ち消し、不安を払拭する場合によく使われる傾向があります。
あるいは
「さっきより全然いいよ」
と、何かと比較する場合の肯定です。
『広辞苑』を引くと
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1・全くその通りであるさま。すべてにわたるさま(名詞)
2・すべての点で、すっかり(副詞)
3・(下に打ち消しの言い方や否定的意味の語を伴って)全く、まるで。
4・(俗な用法で)肯定的にも使う
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とあります。
3が本来の用法です。
2には「副詞」とありますが、例えば「すっかりきれいになったね」を「全然きれいになったね」というかは、少し疑問が残ります。
4の「俗な用法で」と前置きがあるのが、最初にあげた例にあたります。
もちろん、何にでも使えばいいかということではなく、
・相手の心配や不安を打ち消す場合
・何かと比較し打ち消すことで、「今度はいいよ」と言う場合
にはしっくりくるようです。
そして、やはり意味から言えば、言葉としての「ない」はなくても、何らかの「打ち消し」がひそんだケースである場合が多いようです。
「全然」はこのように、必ずしも「ない」と呼応しなくなってきていますが、全てに使えるものでもなく、状況に合わせた判断が必要です。
自分が使う場合でも「全然」が相手や場面で適切であれば使えば良いですし、他の言い換え「実にいいですね」「とても素敵です」などのほうがしっくりくる場合もあります。
自分でよく考えて、「生きた言葉」を使いましょう。
───ポイント
☆「全然」は本来「~ない」と呼応して使うものですが、最近の用法では場合により、間違いとまでは言い切れないケースが出てきています。
相手が使ったからといって目くじらをたてることはないでしょう。しかし、俗な用法であることは心得て、積極的に濫用することはさけるほうが賢明と言えます。あくまで、場に応じて考えましょう。
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