テレビショッピングの言葉 | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

「自分は絶対に正しく敬語を使っている」と思っている人でも、意外にいろんな場面で使ってしまっているのが実状です。

お店で買い物をして「ン?」と思うと、我が身を振り返ります。
そして私自身、最近取材をいくつかお受けして、話し言葉でのいろんな癖があることに最近気がつきました。「~と思います」で終わることが多かったのです。
書くことが仕事なので、文章で書く時は十分注意しています。しかし、話す時は無意識に出てしまうことがないとは言えないのです。

話す前によくよく考える時間的余裕がないこともあるでしょうが、知らず知らず「不思議な日本語」を耳にして吸収してしまっていることも原因の一つだろうと推測します。

試しに、テレビショッピングを見てみると、「あれ?」と思う言い回しのオンパレードです。

「私って、肌がつっぱりやすい人じゃないですかあ
「こうやって、クリームを塗ってあげると(自分の動作に)ほら、クリームがお肌をつり上げてくれるんです」
「年を重ねると、目尻がさがってくるじゃないですかあ
「このシャツに、このおショール重ねてあげると、ほら、ぐんとかわいくなるんです」


話し言葉なので、耳から入っては消えていきます。
上品ではありませんが、まくしたてるその勢いがいかにも効果がありそうにも思えて、ついつい買ってしまいそうになるのではないでしょうか。

台本があるのかどうか分かりませんが、これらの会話を仮にていねいな正しい日本語で台本を書いて、その通りに演じたとすると、短期的には売上が落ちるかもしれません。スピードが鈍るからです。
もしもですが、ざくっと大筋だけを決めて、あとは話し手の好きなように、自分の言葉で話すというルールで番組が進行しているとしたら、それなりに狙いは当たっているように思います。
しかし、あまり妙な日本語が頻出すると、さすがに首をかしげてしまいます。

内情は知りませんが、ひょっとしたら「企業の品格うんぬんよりも今日の売上を優先。正しい使い方とは言えないけれど耳になじんだ最近の言い回しで、勢いやインパクトを優先して、元気よく話す」というひとつのテクニックなのかもしれません。

企業としてどう考えるべきでしょう。
こういう状況はすぐに答えが出るようなものではなく、長期的な判断もしなくてはならないでしょう。どんなお客様に支持されたいか、そのお客様はどう感じるかということも念頭に置いておく必要があるとは思います。
間違っていても流行の言い回しなら、親しみやすいと考えるのは早計でしょう。

一番いいのは、話し手が棒読みでなく自分の言葉で、正しい語法で、なおかつ説得力のある表現ができることでしょうが、そういう人材は希少なのでしょう。

一方、視聴者の心構えとしては「テレビの中の人(アナウンサーやレポータ-)は正しい言葉で話す」という先入観を持たずに、自分の指針を持つことが、今後ますます大切になっていくと思います。


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