「エラーが出た時は電源を切り、取扱書に従って処置するか、または取り付け工事店へご連絡ください」
これは浴室のパネルに書かれた取り扱い説明の表示です。
話し言葉なら『エラーが出た時は電源をお切りになり、取扱書に従って処置していただくか、または取り付け工事店へご連絡ください』となるでしょうが、こうした取り扱い説明書ではそこまで敬語表現をしません。
もしも携帯電話の分厚いマニュアルが、敬語表現で書かれていたらどうでしょう。
煩雑になりすぎて大事なことが分からなくなってしまいます。
「言葉」は目的があって使われるものです。
この場合の取扱説明で大事なことは、エラーが出た時の対応をユーザーにきちんと理解してもらうことですから、冒頭の表現で正しいと言えます。
「それなら最後の『ご連絡ください』は『連絡してください』でいいのでは?」と思われるかもしれませんが、そこまでいくと、命令口調と感じるユーザーもいますので、「ご~ください」程度はかまわないでしょう。
話言葉と違い、ウェブサイトでの言葉の表現が乱れているのは、「どこまでていねいに言うべきか」が分かりにくいということもあります。
こうした指針は特に定められてもいませんので、運営者やライターの裁量によるしかありません。
例えば、ショップであれば、FAQなどでお客様との一問一答を示す場合は、せりふ調で敬語表現があってもいいのです。しかし「お支払い方法」や「取り扱い説明」のページは、敬語表現は最小限におさえて、すっきり書くほうが分かりやすいでしょう。
ショップ構築の場合も、他店のサイトをそのままコピペ(コピー&ペースト)したものは多いようですが、シンプルに表記すべきところで、二重敬語が多用されている場合もあります。
「自社のお客様」がもしも読まれたらと考え、なるべくユーザー視点で文章を書きたいものです。
──────ポイント
☆印刷物のマニュアルや、サイトでの「お支払い方法」「商品の仕様説明」などでは、敬語表現は最小限にとどめて、なるべくすっきりと書くほうが分かりやすいでしょう。