さっきも申し上げましたが | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

さあ、ここは旅館です。
温泉も入ったし、次は夕食。
うわぁ、お料理がいっぱい。おいしそう!

でも、でも……いっぱいのお皿で、どれが何の薬味だか、つゆだか、さっぱり分からない。
そんなことありませんか?

旅館の仲居さんは、とてもお忙しそう。
お料理の説明を早口でしてくださるのですが、そんなに一度に憶えきれません。

「え~っと、こっちがこれの薬味なわけですね」とお客様が聞き直すと
「ですから、さっきも申し上げましたように……」という仲居さんのお返事。

この場合この切り出し方はふさわしくないと思います。
「何度も同じことを聞かないでよ」という面倒な気持がありありと見えてしまいます。

仲居さんは毎回同じ説明をして、何度も言うのは大変なのでしょう。
けれど、お客様の側にしてみれば、初めてのお料理。

どのあたりで火を消すのか、どれがお鍋のつゆで、どれが天ぷらのつゆなのか、段取りが多過ぎて分かりません。

「お客様は、分からないのが普通」ということを、サービスする側はまず念頭に置くべきでしょう。


ある居酒屋チェーンでは、お鍋の順序が写真入りで分かりやすく、プリントされ、パウチされていました。
忙しい店員さんもいちいち繰り返す必要がなく、お客様にも一度で分かるよいアイデアです。

旅館の居心地は、フロントや仲居さんによって大きく左右されます。
空間やお料理がいくら良くても、肝心の「人と言葉」にいい印象がなければ、リピーターは増えません。

「ですから、さっきも申し上げましたように……」と言う代わりに、にっこり笑顔で「はい。こちらが…」と説明してみるのはいかがでしょう。

あるいは、こちらの言い方が悪かった、早口でお客様が分からなかったと考える時は「恐れ入ります」と言い添えて、1回目より少しゆっくり話すようにするといいでしょう。

お客様が分からなければ、分かるように説明をするか、それを別のツールで補う工夫をすることをおすすめします。

できれば、お客様のお顔を時々見て、理解されているかどうか確かめながら、説明するとなおいいですね。


──────ポイント

☆お客様に聞き直しをされたら
ニコリと笑顔で、あるいは「恐れ入ります」の後に
再度ゆっくり説明を。