エンゲル係数と人生
家計支出に占める食費の割合を示す
「エンゲル係数」は
2016年は1987年以来、
29年ぶりの高水準になりそうだ。
※日本経済新聞より
▼
総務省の家計調査
(2人以上の世帯)によると、
2016年1 - 11月のエンゲル係数の
平均値は25.7%。
同じく消費支出は
1ヶ月平均で27万8888円と
前年同期比約2%減。
ところが食料支出は
7万1603円と1.8%増えている。
「被服および履物」
「住居」など多くの主要項目で
支出が減る一方、
増えたのは食料のほか
「保健医療」「教育」に
限られた。
▼少子高齢化と競争原理
つまりそういうことだ。
食料品については
「値上げ」の影響もあろうが、
それ以上に
支出元の属性の変化が大きい、
と僕は推察する。
特に高齢化に伴う高齢者の
自身への「保健医療費」の増大、
孫世代への「教育費」の増大は
僕が身近で聞く話からも
容易に想像できるし、
「被服および履物」や
「住居」についても
業界地図を眺めれば
全体の消費傾向は一目瞭然。
高齢者だけでなく、
若年世代でも
「衣」「住」に関しては
必要充分の範囲で
贅沢を控える傾向にある。
▼食費乱高下
僕は「食」に関しては
人並み以上にこだわりが強い
と自覚している。
だからここ数年間の
生鮮食料品の価格上昇には
閉口するばかりだ。
10代の頃から
「自炊派」だった僕は
その時その時住まう場所で
近隣のスーパーの特徴を詳細に把握し、
曜日ごとの買い出し先、
時間帯別のセール情報、
さらには毎日の折り込みチラシを
欠かさずチェックし、
「より食べたいものを
より安く」を
徹底的に貫いた。
更に学生時代は
食費1ヶ月1万円を
1度だけだが達成したこともあるし、
逆に同じ学生時代・一人暮らし
にもかかわらず、
月10万円近くに膨れ上がった
こともあった。
当時近所に美味しくて評判の
精肉店があり、
毎日のように自宅で
焼肉パーティーを開催していたことと、
月1万円生活の反動と。
…
その翌月
バイトのシフトを倍にしたのは
ここだけの話ですが。笑
▼エンゲル係数と人生
我が国の統計を紐解けば
終戦5年後、1950年時点で
エンゲル係数は57.4%。
水道光熱費、住居費、
医療費、教育費、被服費
それらすべてを合わせた額よりも
食費が上回るような時代だ。
その後高度成長期に突入
目覚ましい発展を遂げた日本は
1960年で38.8%
同70年で32.4%
同80年で28.0%までに低下。
今回
「1987年以来の高水準」
と言われているが、
戦後70年以上の流れの上では
微細な変化なようにも感じる。
しかし1点だけ
1960 - 80年代と現在との
決定的な違いを挙げるならば
「世帯の構成人数の減少」
自宅で調理することの非効率性から
「食の外部化」が一段と進む
との調査結果も出ている。
果たして
どちらの時代が幸せな食文化か…