【完全フィクションシリーズ】
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~これまでのあらすじにもならないあらすじ~
“世界戦”とは名ばかりのコントを繰り返し、
ボクシングファンのみならず、一家信者にまで飽きられ始めたトータス家。
臆病の極み、長男グラスジョーは“最強(笑)決定戦”に勝利し高笑い。
唯一“まとも”に見えてしまう次男の牛若丸は、虎視眈々と王座復帰へ爆進!・・・ならぬ牛歩中。
一気に世界戦線に名乗りを上げたまでは良かったが、結局はオマエもか・・・三男アミーゴ。
そして世界を泡に・・・もとい、股にかける小悪魔、長女プリンセス。
肝心の試合会場はガラガラ。
しかし“敗北”期待の裏返しなのか?
相も変わらず高視聴率は稼ぎ続けるという捩れ現象・・・。
「アイツらの試合はどんな子守唄よりもソッコー寝落ちれる」
ひとことで言えば「つまらん・・・」
コノ声は果たして聞こえているのか?いないのか?
ホンモノだけが生き残るコトを許されるコノ世界において、
新ジャンル“ボクシングコント”で世界の頂に立ち続けるコトは出来るのか?
お抱えメディアからも離れられつつある中、
稀代の“コント作家”トータスはいかなる策を新たに打ち出すのか?
がしかし、もはや誰も期待はしていないゾ。
一体ど~なる?トータス一家?
テレビ(T)の前のバカ共(B)から搾り取れ(S)局内にて
局長(局):「視聴率20%オーバー。スゴいねぇ~」
プロデューサー(P):「ありがとうございます」
局:「それにしても、見事なカメラワークだったねぇ~」
P:「お気付きでしたか」
局:「当たり前だよぉ。映しちゃいけないくらいのガラガラぶりだったそうじゃない」
P:「はい・・・」
局:「でも数字は取れちゃう、と」
P:「・・・」
局:「ジレンマってヤツ?ん?何か言いたいことがあるの?」
P:「はい・・・。やはりアノ一家とはそろそろ手を切られた方が・・・」
局:「んー・・・。やっぱそぅ思う?」
P:「はい・・・」
局:「でもさぁ、怖いじゃんアソコのオヤジさん?それに今度、また対戦相手を探す名目で東南“春爛漫”ツアーにも連れてってくれるみたいだし♪」
P:「局長、お言葉ですがそれとこれとは・・・」
局:「んー、分かってるってばぁ。そんな怒った顔しないでよ、Pちゃんのイケズぅ~」
P:「・・・」
局:「ま、でもとりあえず、大晦日も期待しているから、ね」
P:「は、はい・・・」
記者会見場にて
記者A:「え~、ドッカンスポーツです。今回は最大の強敵であるカール選手を撃破したというコトで、勝利の味も格別なのではないですか?」
グラスジョー(グ):「せやな。今回はホントに苦しかったよ。プレッシャーも今までの比じゃなかったしな」
記者A:「そんな苦しい試合でしたけれども、支えとなったモノは何かあったんでしょうか?」
グ:「あったよ。やっぱコノ試練を乗り越えて4階級目を獲る。ソノ一心やったな」
記者A:「そうすると、いよいよ次は4つ目を獲りに行くというコトでしょうか?」
グ:「せやな。やっぱこの国のボクシング界を引っ張ってるのはワシら・・・」
爽やかな記者:「あの~、お話中のところスミマセン。リアルボクシング(リ)ですけど、グラスジョー選手はこれで5度目の防衛ですから、次はスーパー王者のルビー選手との戦いが義務付けられると思うんですが・・・?」
グ:「出たな、リアルさんやったか?まぁ、こぅ書いといてや。ルビーやろうがナカヤーマやろうが、なんなら全部の団体を統一したってもエエよ。ってな」
リ:「・・・それはさておき昨日の試合ですが、まぁ今さら驚きはなかったんですが、非常に消極さと言いますか、手数も少なく思えましたし、かつての世界王者からも苦言めいた発言がありましたが、そのあたりについては何かコメントは?」
グ:「・・・って無視かい。ほならソノ質問にも答える必要性はないな」
リ:「これからもそのスタイルを崩すことはない、ということでしょうか?」
記者A:「・・・えーっと、そろそろ終わりみたいなんで最後にひとつだけ。次の目標は?」
グ:「何度も言うけど、ワシらは誰が相手でも逃げたりはせーへんから。戦いたいヤツは、いつでも来たらエエよ。以上や」
トータス家にて
Rrrrr・・・
Rrrrr・・・
プリンセス(姫):「・・・」
ホセ(ホ):「Hello?プリンセス?やっと出てくれたね?」
姫:「見上げた根性だわ、ホセ。よくもぬけぬけとかけてこれたモノね」
ホ:「怒っているのかい、プリンセス?」
姫:「当たり前じゃない!アナタとどぅこぅ以前に、彼はアタシの大切な兄なのよ。その兄を相手に、いくらアナタの秘蔵っ子だからって、あんなに危険な相手をホントにぶつけてくるなんて・・・!!」
ホ:「それで何度かけても出てくれなかったのかい?」
姫:「もぅアナタに話すコトはないわ」
ホ:「ま、待ってくれプリンセス。これだけは分かってほしい」
姫:「・・・」
ホ:「いいかい?言うよ?・・・大したことは、なかっただろう?」
姫:「・・・?」
ホ:「ん?」
姫:「どーゆーコト?」
ホ:「なんなら、もぅ一試合、次の試合でも昨日と同じくらいの調子で戦わせてもいい、とさえ思っている」
姫:「・・・どーゆーコトなの?言ってるコトが分からないわ、ホセ」
ホ:「私のカールのことさ。もっと言えば、カールのコンディション、と言い換えてもいい」
姫:「え、ま、まさか・・・?」
ホ:「キミの国のメディアは、昨日のカールについて何と言っているかね?」
姫:「え?ソレは『期待外れ』・・・とか?」
ホ:「もぅ十分なんだよ。いや、それは正しい言い方じゃないな。もぅ十分だったんだよ、私も、カールも。もぅ十分に稼がせてもらったからね。だから昨日はリングに立ってさえくれたら、もぅそれで良かったんだ。ただ想像以上・・・、いや、想像通りか、ふふっ、とにかくグラスジョーが怖がってくれたから何とか試合らしくなってはくれたがね」
姫:「え?じゃ、じゃぁ・・・?」
ホ:「どうだろう、プリンセス?もしグラスジョーが下のクラスに行くと言うなら、もぅ一試合くらいはカールを1位に据え置いたまま、そしてアミーゴをランクインさせて“正規王座決定戦”として組んであげても良いのだよ?」
姫:「ホ、ホセ・・・」
ホ:「おっと!それからもぅ一つ条件があるんだが」
姫:「ナ、ナニ?」
ホ:「キミがもぅ一度私に心を開いてくれるなら」
姫:「ホセ・・・」
ホ:「願わくば、開いてくれるのは心だけに限らないがね」
姫:「ばか・・・。でも『断る』と言ったら?」
ホ:「その時は私も世論に乗るだけさ。ルビーとの対戦を義務付けることも出来るし、本当の上位ランカーと戦わせることだって出来る」
姫:「そんなコトはアタシがさせないわ。お兄ちゃんはアタシが守ってみせる」
ホ:「威勢がいいな、プリンセス。『口だけチャンプ』と呼ばれているグラスジョーと並ぶ、さしずめ『口だけプリンセス』と呼ばれたいのかい?」
姫:「アタシをナメないでちょーだい、ホセ。アタシをナメたらどーなるか、思い知らせてあげましょうか?」
ホ:「おほっ、怖いな。だが参考のために教えてもらおうか。キミを舐めるとどういう目に遭うのか」
姫:「・・・」
ホ:「・・・どうしたんだい?怖気づいたのかい?ん?どうした?キミを舐めると、私はどうなってしまうんだい?」
姫:「・・・ナメちゃうゾ」
ホ:「おほっ♪そっちの“だけ”っ♪」