こんにちは
心理カウンセラーの吉田亮介です。
今回は「汎化」という
心理学用語について説明します。
というと何やら難しそうですが誰でも
やっていることなのです。
というよりも人間という生物の仕組みです。
場合によっては「まさか!?」
ということにもなり得る仕組みです。
これはビリーフ(メンタルブロック)が出来る
仕組みでもあるのでとても大切な概念です。
どういうことか説明しますね。
人間が学習するプロセスについてのお話です。
これには超有名な実験があって
アルバート坊やの実験というのがあります。
ジョン・ワトソンという研究者が
本能でさえも後天的な経験によって
できるのだと考えました。
そこで生後11ヶ月のアルバートという
赤ちゃんに協力を得てある実験をしました。
(というか古い実験で強制と言うべきですね。)
アルバート坊やの実験を簡単に説明します。
初めに、アルバート坊やの目の前に
「白ネズミ」を差し出しました。
アルバー ト坊やは特別、「白ネズミ」が
怖いわけでも嫌いなわけでもないので、
白ネズミに近づいて触ろうとします。
その白ネズミに触れようとした瞬間に、
アルバート坊やの後ろで、ガンガンと
鉄の棒を金槌で叩いて大きな音を出します。
するとアルバート坊やは突然の大きな音に
びっくりしてしまいます。
音が鳴り止んで、しばらくします。
アルバート坊やは、再び白ネズミに
触ろうとします。
そこでまた大きな音を
聞かせてびっくりさせます。
これを何度も繰り返します。
(ちょっとヒドイのですが・・・。)
『白ネズミ=怖い大きな音』という
のが結合して、本来は嫌いではなかった
白ネズミを見ただけでアルバート坊やは
泣き出してハイハイをして逃げ回るように
なってしまいました。
ジョン・ワトソンは、この実験を通して
恐怖反応を人工的に作り出すこと
に成功しました。
恐怖は先天的な本能として
あるのではなく、後天的な
学習によって条件づけされる
というのがこの実験のひとつ
の結論です。
さらに、アルバート坊やはその後、
「白ネズミ」だけではなく、「白ウサギ」
や「白いアゴヒゲのサンタクロース」
「白い毛皮」なども怖がるようになって
しまいました。
こんな風に一つの出来事や物事に
それとは別の類似した出来事や物事
に対しても同じように反応してしまう
事を『般化』と呼びます。
ジョン・ワトソンは、この実験から、
大人の抱く不安や恐怖も、
多くはこれに類似した幼年期の経験に
由来していると主張しました。
まさしく、ビリーフの話と同じですね。
そして、私も多くのクライアントさんと
接したり事例を見聞きしたり、自分自身
の例も含めてこれは間違いない事実
だと感じています。
ビリーフの場合は同じ「汎化」でも
もう少し複雑だったりいろいろな事が
からみ合っていたりしますが、基本的な
原理はほぼ同じです。
前回のビリーフ「成し遂げてはいけない」
でお父さんに腕相撲で勝ってしまい
お父さんが悲しんだり、怒ったり
したことから「勝ったり、物事を成し遂げたら」
人を怒らせたり、悲しませたりするという
のもある種の「汎化」と言えると思います。
ところで、現在ではこういった実験は
子どもに心の傷を残したりする危険性が
あるため行われていませんので
ご安心くださいね。