ノートPCのHDDをSSHD(ハイブリッドHDD)に換装する | こむぎブログ~猫とコンピュータ~

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そして昔のパソコンあれこれ。

まとまった時間を取ることができたので、私がメインで使っているノートPC、
ASUS(エイスース)X301Aの内蔵ハードディスク(HDD)をSSHD(ハイブリッドHDD)に
換装してみました。

※ASUS X301Aのメモリ増設(交換)の記事はこちら→ASUS X301Aのメモリを8GBに増設する


目的は、マンガ描きに使っているClipStudioPro(クリスタ)と3D-CADのSketchUpの
スピードの向上のためです。

【ASUS X301A】

2012年12月発売のエントリークラスのノートPCです。
 CPU…Intel Pentium B980(2.4GHz)
 メモリ…4GB
 HDD…500GB
 画面…13.3インチ(1366×768ドット)
 OS…Windows8(現在はWindows8.1)

CPUの処理速度こそ、今でもまだ通用するのですが、いかんせんメモリの少なさと
ハードディスクが足を引っ張って、CGなどの作業はちょっと厳しいです。



【SSHD(ハイブリッドHDD)…東芝製MQ01ABF050H】
ハイブリッドの名前の通り、HDDの大容量とSSD(半導体ドライブ)の高速性を
兼ね備えた「いいとこ取り(を目指した)」の記憶装置です。
頻繁にアクセスするデータは高速なSSDにキャッシュすることで、プログラムや
データの読み込みを速くすることで、PCが快適に使えるようになります。

今回は元々X301Aに内蔵されていたHDDを、このSSHD(HDD500GB/SSD8GB)
に交換します。
このSSHDは現在実売価格で7,000~9,000円程度です。
500GBクラスのSSDが18,000円~20,000円ほどするので、同じ容量ならSSDに
比べるとほぼ半額となるのもSSHDのメリットです。


【内蔵HDD→SSHDへのクローンコピー】
内蔵HDDのシステム(Windows8.1)やOfficeなどのソフトウェアを丸ごとSSHDに
コピー(クローニング)するソフトウェア[EaseUS ToDo Backup Free  ](←EaseUS
製品サイトへのリンクです)で、X301Aの環境を丸ごとSSHDに移します。
ただ単純にエクスプローラでCドライブを他のHDDなどににコピーしただけでは、
そのHDDを使ってWindowsを起動することはできませんので、このような
クローンソフトを使う必要があります。

※2017年9月23日追記

現在、EaseUS ToDo Backup Freeは最新版の10.6がリリースされています。
こちら に記事にしました。


このEaseUS ToDo Backup Freeは、その名の通りフリーソフト(無料)です。
クローンソフトとしては定番とも言えるものです。
しかし、操作を誤ると、元のHDDを消去してしまうなど、二度とPCが起動しなくなる
危険もありますので、Googleなどで検索して、事前に使い方を確認してください。

私は新たに購入したSSHDをUSB外付けHDDケースに入れてX301Aにつなぎ、
上のクローンソフトでX301AのHDDの内容を丸ごと移しました。
USB2.0接続の外付けHDDケースなので転送速度は遅いので、500GBのHDDから
500GBのSSHDへのクローンに2時間30分かかりました。


【コピー(クローン)したSSHDをX301Aに移植する】
最近のノートPCは、底面にメモリやHDDへアクセスするための窓が
ついていないものが多くなりました。
薄型軽量化のためと、コスト削減のためだということですが、そのため
簡単にメモリやHDDの増設ができなくなってしまいました。
X301Aもそうで、キーボード面を全部剥がし、キーボードとメイン基盤を
つなぐケーブルを外して、ようやく内蔵HDDにたどりつけるようになっています。

このような構造のノートPCの分解については、必ず先駆者がいるので、
[機種名][分解]とか[機種名][disassemble(←分解)]で検索すると、分解する
様子がYoutubeなどにアップされていることが多いので参考になります。

このような作業を行う際は、絶対に近くに猫を置かないでください。
まず間違いなく外したネジや部品をどこかに転がされて紛失します。
また、分解の前に必ず電源を切り、ACアダプタとバッテリーは外してください。

トラブルが発生した時に、Google先生に聞くことができるように、そばに他の
PCやタブレットなどを置いておくと便利です。


【SSHDから起動してみる】
X301AにSSHDを取付け、電源をつなぎ起動します。
…思ったより早くない。と、いうか前と同じじゃね?
実はSSHDは初めて読み込むデータやプログラムは従来通りのHDDから
読み込んで、その時にSSD部分にキャッシュするため、高速化するのは
そのプログラムやデータが2回目以降に呼び出された時になります。

元のHDDの読み込み・書き込みの速度です。(CrystalDiskMark5.1.2使用)
(C)Crystal Dew World/(C)kirino kasumu

SSHDの読み込み・書き込み速度です。

シーケンシャルファイル(連続した巨大なデータ)では、読み込みが
97.70MB/秒→142.6MB/秒と約1.4倍速くなっていますが、書き込みでは
102.9MB/秒→82.96MB/秒とむしろ遅くなってしまっています。
連続した巨大なデータへのアクセスは、高速回転する磁気ディスクでも
不利になることはないようです。
ですが、実際のPCの運用ではランダムアクセス(小さな飛び飛びになった
データへのアクセス)のスピードが重要視されます。
ここでは読み込み0.849MB/秒→29.76MB/秒、書き込みでは0.801MB/秒→
18.94MB/秒と20~30倍も高速化しています。

実際の使用ではそこまでスピードアップすることは体感できません。

私の環境下でWindows8.1の起動(電源ONからデスクトップ表示まで)が
それまでは180秒かかっていたものが、SSHDに換装して35秒に短縮されました。

Windowsの起動・終了は体感として数倍早く感じられます。
Clip Studio Proの場合は、プログラムの起動はもちろん早くなるのですが、
素材(スクリーントーンや背景集など)も一度読み込むと、次回からの表示が
瞬時になされるようになり、使い勝手が向上しています。


【SSHDは良いものか?】
結論から言えば…ビミョーです。
先にHDDの大容量とSSDの高速性のイイトコ取りを目指した…と書きましたが、
SSDほどは速くはありません。キャッシュがうまくヒットすればSSDと同じ
スピードが出るのですが、初めてアクセスするデータに関しては結局HDDから
読み込むことになります。
また、SSDとの価格差もそれほど大きくなくなってきた現在では、大容量低価格の
メリットも薄れています。要は虻蜂取らず的なストレージになってしまっています。
ノートPCのHDD換装をするのであれば、予算が許すのであればSSDを使ったほうが
よいと思います。
デスクトップPCであれば、システムドライブにSSD、データ用にHDDと、2種類の
ストレージを内蔵したほうがよいでしょう。
SSHDはもう少しSSD部分の容量が大きく(32GB程度)なれば、ノートPC用の
ストレージとして最適だと思えるのですが、現在発売されている2.5インチSSHDは
SSD部分が8GBしかないのが残念です。

「いいとは思わん。けど、悪いとも思わんッ!!」という微妙なSSHDでした。