暗号資産が値上がりする6つの要因

一般的に、価格というものは需要と供給のバランスで決定されるといわれています。

そこで暗号資産が値上がりする要因として考えられるのが、以下のポイントです。

1つ目が「将来、需要が大きくなると予想される」場合です。

例えば、暗号資産の普及を期待させるニュースが流れると、今後買う人が増えると予想されて、値上がりすることがあります。また、暗号資産で決済ができる飲食店や小売店が増えることにより、暗号資産の需要が増して価格が上昇するケースも考えられます。

さらに、投資対象としての暗号資産に将来性を感じ、取引を始める人の数が増えることにより、暗号資産の需要が拡大して価格が上がる可能性も考えられます。

2つ目が「暗号資産の知名度が上がる」場合です。

例えば、大企業が暗号資産の採用を決めたケースや、有名店舗で導入されたケースなど、身近なところで暗号資産が知られるようになった場合などにも、価格が上昇することがあります。

特に、大手企業との提携に関するニュースは価格上昇の要因になります。例えば、リップル(XRP)が2018年1月に国際送金大手の米マネーグラム社との提携を発表したときには、価格が25%以上急騰しました。

ただし、知名度が上がったからと言って、悪いニュースでは逆効果な場合もありますので、その点は注意が必要です。

3つ目が「暗号資産の取引所へ上場した」場合です。

国内外問わず、暗号資産の取引所は多くありますが、利用者の多い取引所に上場するほど暗号資産は価格が上がりやすくなる傾向があります。利用者が多い取引所では、通貨の流動性が高く取引されやすくなるためです。

また、大手の取引所に上場すると暗号資産の知名度も高くなるため、価格は上昇する傾向にあります。

4つ目は「暗号資産がアップデートされた」場合です。

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産にはそれぞれ開発者がいて、送金速度の向上やセキュリティ強化のために日々開発を進めています。そして、アップデートにより性能や利便性が上がった通貨は、それに伴い価格も上昇する傾向にあります。

アップデートにより価格が高騰した有名な例としては、イーサリアム(ETH)が挙げられます。イーサリアムは「フロンティア」、「ホームステッド」、「メトロポリス」とアップデートを重ねることにより、リリース当初の「1ETH=約500円」から最高で「1ETH=16万円台」まで価格が上昇しました。

5つ目は「バーンにより通貨の供給量が減少した」場合です。

英語で「焼却」を意味するバーンは、すでに発行し市場に流通している暗号資産の枚数を減らす行為のことを意味します。通貨の供給量を減らすことで希少価値を上げ、価格を上昇させるのが目的です。

最近では、2019年11月にステラルーメン(XLM)が総供給量の約半分となる550億トークンをバーンしたことを発表し、それに伴い価格が約20%急騰しました。

6つ目は「通貨危機の影響で暗号資産の需要が増える」場合です。

通貨危機とは、経済情勢が不安定な新興国などで、自国のフィアット(法定通貨)の対外的な価値が急激に下がる現象のことをいいます。通貨危機の状態にある国では、自国通貨のさらなる価値の減少を恐れ、所有するフィアットを世界的に信用の高いドルや暗号資産などと交換する国民が多くなります。

このように、通貨危機の状態にある国で暗号資産の需要が急増することで、暗号資産の価値が上昇するというケースもあります。最近では、2019年11月に自国通貨ペソの急落が続くアルゼンチンの暗号資産取引所で、他国の取引所のビットコインより32%以上高い「1BTC=約1万2,300ドル」というプレミアム価格を記録しました。

しかし、通貨危機による価格上昇は当該国のみが対象となることが多く、他の国では価格変動の影響を受けないことがほとんどです。

暗号資産の値動き幅が大きい理由

暗号資産は、株やFXに比べると価格変動が大きいことで知られています。その理由としては、以下のような理由が考えられます。

1つ目が「取引量が少ない」点です。

株式投資やFXに比べて、暗号資産市場に参入している人が少ないため、一部の大口投資家が動くだけで、全体の価格に影響を及ぼすことがあります。今後購入者が増えてくれば、全体的に価格は安定していくものとも考えられています。

2つ目が「1日あたりの値動きに上限がない」点です。

株の場合は、ストップ安やストップ高といって、1日の値動きに上限が設定されています。これにより、急激な価格変動を防いでいます。

それに対して、暗号資産は、1日あたりの値動きに上限がありません。上昇するときは、株などのほかの金融商品を超える価格変動をすることもあります。

3つ目が「プロの投資家が少ない」点です。

暗号資産には、まだプロトレーダーなどがそう多くは参入していないといわれています。そのため、株やFXなどに比べると、初心者でも勝ちやすい場合もあります。

また、機関投資家などが参入してくれば相場への影響は大きく、価格を吊り上げる可能性もあるでしょう。

4つ目が「国による規制に左右されがち」な点です。

暗号資産はまだ発展途上であり、各国が規制や認可などで模索をしている状態です。暗号資産に悪い規制のニュースであれば価格は下落し、法整備などの良いニュースなら価格は上昇しやすくなります。