「人間は誰でも自分がいちばん大切なのです。
そして、そのことをほんとうに自覚した人間だけが、
自然なかたちで他人を大切に思うことができる。」
小説家、五木寛之さんの言葉です。
あのお釈迦様(ゴーダマ・シッタールタ)も生まれて来た時、天と地を指して、「天上天下唯我独尊」と言ったといわれています。伝説でしょうけど、仏教の教えの中心であるのには間違いありません。
人は皆、自分のことが一番大切だし、そして、大切に出来た時に、他人を尊重できるようになるのです。
交流分析では、このことをOK牧場(誰かのギャグじゃありません)と呼び、
人の立場を牧場に例えて
1:私はOK、あなたもOK
2:私はOK、あなたはOKじゃない
3:私はOKじゃない、あなたはOK
4:私はOKじゃない、あなたもOKじゃない
の四つのフィールドに分けます。
1の立場の「私はOK」が本物の自己肯定で、
2の立場の「私はOK」は偽物です。本当は自分に自信がないのです。だから、自分以外の人間をけなします。自分以外の人間の欠点をあげつらいます、失敗を責めます。社会の至らなさを嘆いたりまします。
え?2の立場は、マスコミがよくやっているって?
ええ。当然です。基本的なマインドは2の立場の人がそれだけ世の中に多いのです。
だから、マスコミも商売ですから、2の立場で放送すれば、受け入れられやすいのです。だから、犯罪者を責め、政治家を責め、官僚を責め、社会の心ない人の悪行を責めるのです。
そして、それを見た人は、自分はまだマシだと安心するわけです。
どこかの誰かがすばらしい行為を行ったことを放送することもあります。マスコミの中にも「私はOK、あなたもOK」のスタンスの人がいるし、それを受け入れるスタンスの視聴者やスポンサーもいるのです。
さて、
3の立場がひどくなると、自己否定からうつになってしまいます。3の立場は、2の立場と表裏一体です。同じ自信ない同士、プラスとマイナスをやっているのです。
だから、相手によって、2の立場になったり、3の立場になったりします。
3の立場から抜け出すために、他人との比較、優越感を利用して、2の立場に行こうとすることは、あまりお勧めではありません。
偽物の自己肯定だからです。
がんばることによって、「成功者」になることによって、金持ちになることによって、優越感を感じて、2の立場に行っても、
うーーん。幸せはあんまり感じませんよ。
偽物の自己肯定はとてももろいものです。
周囲から見て、自信満々の人が、あることをきっかけにがたがたに崩れるのはそのせいです。
安定した自己肯定を手に入れるためには、自分を本当に大切にする考え方やコミュニケーション術を身につけることです。人は人との関わりの中でしか、自分自身を確立できないからです。
そして、その考え方やコミュニケーション術を適切なものに代えていくのが
カウンセリングであり、定期的に行うことで水準を維持するのがコーチングなのです。
熊本こころ相談室