「誕生色(*)」とは、
生まれた季節にふさわしい和の色。
6月の誕生色は、
「憧葛(あこがれかずら)」
~五月雨が葛の葉を濡らして輝く緑色~
ご縁あって読んでいただいている
6月生まれの方に、誕生色の言葉を
借りて、色からの連想を贈ります。
五月雨は、六月の雨。
陰暦の5月に降り続く長雨のこと。
葛は、「かずら」と読めばつる性の
植物の総称。
「くず」と読めば、初秋に紅紫色の
花を咲かせる秋の七草の一つ。
6月の誕生色の主役は、葉の緑色。
新緑の若葉が、陽光を浴びて緑の
濃さを増していくように、
梅雨時の青葉は、雨に濡れて緑の
深さを増していく。そんな感じ…。
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私のイメージする
「憧葛(あこがれかずら)」の色は…、
◆洗練されて鮮やかさを増した色
◆連なっていく微かな憂いの色
◆しずくに透けるつやめきの色
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草木の葉の裏側は、ほとんどが
表の葉より薄い色をしています。
特に、葛(くず)や柳の葉の裏は白く、
古来から風にひるがえる姿が趣深い
とされてきました。
葉の裏の色にちなみ、ごく薄い緑色を
「裏葉(うらは)」色と言います。
表葉の青緑色が日に日に深まると、
裏葉色との対比でより一層鮮やかに。
昔は、そんな梅雨の限定的な美を
愛でて季節を愉しんでいたのかな?
葉の裏にまで色の名前をつけて
美を感じ取る日本人の色彩感覚って
繊細ですよね。
「憧葛」からは、湿潤感のある
しっとりした落ち着きと、
みずみずしく涼やかな色合いを
感じます。
みなさんなら、どんな色や言葉に
なるのかな…?
6月生まれの方、おめでとうございます。
素敵な色に染まる1年をお過ごしくださいね。
(*) 『誕生色』とは
新潟県の十日町織物工業協同組合が
1981年に制定した12ケ月の季節の色。
他の誕生月の色はこちらへ。
「憧葛」のイメージを配色で表現してみました。