マカロンを食べる時に読む本 | COCOのおいしい話

COCOのおいしい話

  毎日のごはんやお気に入りのおやつ、おいしそうなお料理やお菓子が登場する物語やエッセイを紹介しています。

今日は久々にマカロンを作りました。
COCOのおいしい話-モカマカロン1

お菓子は大抵そうだと思いますが、マカロンは特に、気持ちと時間と体力(←これは最近加わった条件です汗)に余裕がないと作れないですね。

アーモンドパウダーはふるうのに時間がかかるし、しっかりしたメレンゲを作らなくてはいけない。生地の混ぜ具合にも絞り出しにも気を抜けないし、つきっきりで乾燥具合を確かめたり、オーブンの温度を調節したり、中にはさむクリームを作ったり…。ふう。でも、楽しいんですよね、マカロンは作るのも食べるのも

1ヶ月半ぶりくらいだったので心配だったんですが、まあまあの出来、かな。今日は銀之丞の好きなモカ味にしました。マカロンの生地にはココアを少し入れて、フィリングは生クリームにエスプレッソで風味をつけたチョコレートのガナッシュです。

COCOのおいしい話-モカマカロン2


このマカロン・パリジャンを初めて見たのはこの本の中でした。



西洋骨董洋菓子店(4) よしながふみ 新書館
レシピ18

連続児童誘拐殺人事件の捜査のため、洋菓子店「アンティーク」で張り込みをしていた生活習慣病予備軍の、しかし甘い物好きの宇田川刑事が、店長橘が差し入れた焼菓子を食べてこう言います。

「あっ何だこりゃ!! うまい!! すごいうまいわ!! このマカロンとかいう奴!!」



2002年、この本が出版された年、私は夏は湖麗しき天国、冬は極寒地獄のミネソタ州のミネアポリスに住んでおりました。詳しい話ははぶきますが、ここでは日本人好みの繊細なケーキなど、まずめったにお目にかかれないと思って下さい。私はこの漫画を読んでは欲求不満を募らせていたのです。

そんなある日、新聞に、フランス人が新しく開いたというベーカリーを紹介する記事を見つけました。「本場フランスの味」という文句につられて行ってみると、果たして、私が求めていた、小さく、見た目も美しいシブーストやフルーツを使ったムース、ミルフィーユやタルト類が売られていたのです。カフェで温かいまま食べられる、数種類のキッシュも実においしくて、私は毎週のように通い詰めていたのですが…。

はて、「マカロン」…あの店のショーケースの片隅に並んでいた毒々しい色のお菓子、あれに「マカロン」とかいう名前がついていなかったかしら…。

そう、とても食べ物とは思えない、絵の具のような赤、黄、緑、紫などに着色されていたため(チョコレートのはそのままの色でしたが)、スルーしてしまっていたのでした。そうか、でもそんなにおいしいものならば、食べてみない方はないわよね…。

それでもやはり、一番色の薄かった緑(ピスタチオ)とチョコレートを選んで買い求め、さあ、期待のひとくち!をほおばったのですが…。

…外は乾いているのに、中は「ぐっちょり」…。はさんであるアプリコットジャムがすっぱい…。そして、猛烈に甘い。のどに張り付くような甘さ。……( ̄x ̄)。

以来、マカロンは私の好みではないのだと思い、口にする事なく数年が過ぎたのですが、2006年、私は今度はこの本に出会うのです。



女の子の食卓(1) 志村志保子 集英社
MENU 日曜日のお茶会マカロン

中学生の加代子は、東京から転校してきたクラスメート、ユリナの家で初めてマカロンを目にします。「ふーん、こっちの人は知らないのかー、へー」というユリナの言葉にムッとしながらも、ショコラの(だと思われる)マカロンをサク、とかじった瞬間加代子は…。



…これは、再度トライしてみなければ…! ユリナも「マカロンはあたりはずれがあるから」って言ってるしっ…。

と、その頃ロスアンゼルスに移り住んでいた私は、銀之丞が情報誌で見つけて来てくれたとあるカフェで、再びマカロンと対峙したのです。

おいしい、と思いました。外はさっくり、中はしっとり。はさんであるのはガナッシュとバタークリームで、ジャムのものとは比べ物にならない味わいです。

ムクムクと自分でも作ってみたい、クリームを自分好みの味にすればもっとおいしくなる、という気持ちが湧いて来ました。それから私はマカロン作りの記事をネットで検索し、本を買い集め、試作を始めました。生地の混ぜ具合や適切なオーブンの温度、焼き時間がわかるまで何度も失敗しました。クリームとガナッシュも色々なレシピを試して、アレンジを繰り返し…、満足の行く物が出来るまで何ヶ月もかかりました。

今までお菓子作りは嫌いな方ではない、と言う程度だったのに、どうしてマカロン作りにこんなに夢中になってしまったのか…。おいしさはもちろんですが、形のかわいさ、色の美しさ、クリームのバリエーションが豊富な所…そして簡単にはうまく作れない所も魅力なのかな、と思います。

気を抜くと、あるいは気をつけていても、その時の気温や湿度で失敗することもあるマカロン。でも難しいからこそ、おいしくできた時は本当に嬉しい。失敗すれば「今度こそ」とまた次を頑張る気にさせられてしまう。

キッチンでオーブンの前に座り込んで、マカロンのピエ(=足、下の泡が固まったように見える部分です)が出て来るのを見ている時、私はしみじみ幸せを感じるのです。





クリックしていただけると嬉しいです。(^v^)
にほんブログ村 料理ブログへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ