今年は100回講演することにしています。それも、業務部門を中心とした「現場」の方々、つまり“コスト削減・CO 2削減”の最前線の方々に対してです。そして、1回の講演に例えば20人の商業施設の店長が参加してくれ、講演後にお店に帰って従業員の方々の前で“地球温暖化防止”を熱く語ってもらい、“指先一本でできる省エネ活動”に「現場」の皆を巻き込んでもらえれば、わずか3%の電気の無駄遣いがなくなるだけで、1店舗で年間30トンのCO2の排出削減(標準的なスーパーマーケットの場合)につながります。


★ 30トン×20人×100回=6万トン/年間


これは、結構なボリュームと大きな価値を持つ数字です。
EUにおける排出権取引の第一拘束期間の罰則金40ユーロ=6,240円/トンで計算すると単年度で6億2,400万円の価値(お金)になります。1回の講演あたり624万円です。こう考えると、本当に遣り甲斐があります。“エブリ・デー・・スーパー・ポジティブ”な【Mr.カーボン】です。


そんな中、ある大型スーパーマーケット(複合商業施設の中核テナントとして出店)の店長が、何と自社店舗のみならず、テナント店舗の方々までしっかりと巻き込んで電気の無駄遣いを徹底的になくしていると聞いて早速その「現場」を訪ねてきました。“指先一本でできる省エネ活動”により素晴らしく効率的な施設運営をされている店長さんからは、会うなり、「電気の無駄遣いをなくすと体重も減るんですよ!」と言われました。正直、最初は、「はあ?どういうことかな・・。」でしたが、以下に書くその理由を聞いて至極納得しました。


『電気が“いつでも”、“どこからでも”見えるようなると、色々なことに気づくのです。とにかく見えた以上、施設全体の電気の無駄遣いが気になって気になって仕方なくなり、気づいてみたら毎日毎日自社店舗はもちろんのことテナント各店の電気の無駄遣いのチェックにまで回るようになっていました。もちろん、無駄に気づいた後には、その対策も含めて「現場」に教えに行くことで、昨年の夏以降施設内を歩き回る距離が以前と比べて2倍から多い時で3倍になっていました。結果、そのことで体重が減り(体が引き締まり)、体調もすこぶる良いんです。電気代もCO2排出量も減り、体まで健康になって、ありがとうございます。』


と、本当に嬉しそうに取り組みの成果を語ってくださいました。またひとつ、日本で失なわれし“もったいない精神”に基づく行動が、“人”と“企業”と“地球”の3者を幸せにした瞬間でした。


より具体的には、「現場」で働く従業員の方々の意識の中に“経費・効率化意識”を芽生えさせ、磨き、定着させることに費やしたお金は僅か半年間で回収したうえで、自らが店長としての重責に応える体(体力)ができた。さらには、CO2削減により“地球温暖化防止”に貢献できたということです。
いうまでもなく、「現場」でコスト削減活動に皆が取り組むわけですから、店舗の従業員の方々も、テナントの方々も生き生きと仕事をしています。


さて、このようにして、全国のスーパー2万店で、今回話しを聞きにお訪ねしたスーパー並みの電力使用量の最適化ができたら、全体でのCO2削減量は90トン×2万店=180万トンになります。この数字は、京都議定書目標達成のために課せられた追加対策の3,740万トンの中の以下に掲げた
1. 農業・漁業、上下水、交通対策 100万トン
2. クールビズなど国民運動     100万トン
3. 新エネルギーの推進       130万トン
4. 省エネ機器などの普及      130万トン
5. 中小企業の排出削減推進    170万トン
全ての削減項目の効果を上回ります。やっぱり、 “一点突破、全面展開”ではないでしょうか!最後は!


最後に、上記のことが書かれていた2月9日(土)の日経新聞の中に、『環境省と経済産業省が京都議定書目標達成にための合同審議会の最終報告書』をまとめたとの記事も載っていました。その中では、「目標は達成し得る」と明記してありましたが、ここでは敢えて全く持って達成できなかった場合の国民負担額(たぶん税金できます)をシミュレートしておきます。


現状の排出量1990年度比13.8%増、よってこのままで2008年から2012年度が終わってしまうと・・。(未達分は全て排出権市場から購入すると仮定)


≪排出権の相場が40ユーロの場合≫
12.6億トン×13.8%×6,240円(40ユーロ)×5年間=5兆4,251億円
≪排出権の相場が100ユーロの場合≫
12.6億トン×13.8%×15,600円(100ユーロ)×5年間=13兆5,626億円


40ユーロは欧州キャップ制(排出権取引)の際の2007年度までの守れなかった場合の罰則金【CO2排出1トン当たり】
100ユーロ
は、同じく2008年から2012年の間の5年間の罰則金です。
あなたには、これを(毎年2.7兆円を)支払う気がありますか!?!もはや全く持って他人事ではありません。


*13.8%ではなくて、ちょうど議定書目標の6%のみが未達であった場合を計算しておきます。(13兆円はあまりに激しいので!)やっぱりCO2の相場が100ユーロだと5年間で5.9兆円になります。


【Mr.カーボン】