どうしても記録として残しておきたいので書きます。

SuperCollider Workshop at WOMB LOUNGE に参加しましたが、すごく良かったです!!!

●参加前からすごいワークショップだった

内容は、フリーウェアの音響合成プログラミング環境「SuperCollider」を5日間かけて学ぶというもの。全日に食事がつき、ゲスト講師のお話やゲストライブもあって、何とも贅沢かつ盛り沢山なワークショップでした。そして破格の安さ。5日間で1万5千円だから、1日にすると3千円。食事もついているのに、正直有り得ないと思いました。

●参加理由や参加前のレベル

なんでこのワークショップに参加したかというと、音楽を自分でつくりたかったから。ワークショップで流す音楽(休憩時間も含む)やリフレクションムービー(ワークショップで振り返るときの映像集)にぴったり合った音楽をつくろうと思って参加しました。

参加前、私のレベルは何も知らないレベルでした。「SuperCollider」の読み方もわからず、スーパーコリダーと呼んでいるくらいでした。(スーパーコライダーと読むみたいです)
そして、Windows環境! 本当はMac環境対象なのだろうな、と思いつつ、そこはフリーウェア。Linux版もWindows版もありました。これなら何とかなるかも・・・と考えて参加しました。

もう一つ、いろんな環境と連携できるっぽい。openFrameworks や Arduino をやり始めたばかりだし、それと連携できるなんて、素敵!と深く考えずに行きました。

●参加中のいろいろ

1日目、SuperCollider を起動して、音が出るまでをやりました。私は事前にインストールしておいたので、起動はクリア。サーバーウインドウを出すのに手こずったけれど、再起動を繰り返していたら、何とかなりました。

2日目、音を連続で鳴らすのを習いました。ちょっぴり音階のようなものが鳴らせて、感動。でも、まだここから何をしていいのかわからないレベル。

そして、ゲストの久保田先生の講義が衝撃的でした。
私はこの講義を聴くまで、音楽はMidi打ち込みのように1音1音プログラミングして、楽器の代用として SuperCollider を使うつもりでいました。もちろんリアルコーディングは考えもせず、完璧に設定を組んで、それを静的に鳴らそうと思っていました。
でも、それは帯に短したすきに短し。SuperCollider をそんなことだけに使うのは、はるかにもったいないことだったのです。

SuperCollider は、単なるプログラム言語を超えて、波形を見ることにも使えます。波形の合成もできるのです。(残念ながら Windows 環境では波形合成を見ることができませんでしたが)

シーケンサや楽器がコードになったのです。コードだから、リアルタイムに書いて実行できます。
ちょっとずつ変えて、即興演奏も可能だったのです。
楽器がなくても、音響をもう一度定義して、五線譜がなくても作曲できる。音楽理論再構築の可能性という話がありました。詳しく知りたい方は、久保田先生が音楽の作曲技法を書かれたコード・コンポジション入門をぜひどうぞ。こちらからダウンロードできます。

★当時のTweetから
SCWS: 結構ハイペースなので、homework 前提にして、わからなかったところを事前質問でフォーラムに投げておくという形式はどうだろう? 初心者に向けてかなり丁寧に解説してくれているだけに残念。 余裕でついていけてる人もいるのかな?知りたい #SuperCollider

★このあたりから、ちらほら、ワークショップについていけない、早すぎるという声を聞くようになりました。Windows環境へのサポートが充分でないとかも。
私は、最初に書いたように、すごく初心者レベルだったので、わからなくって当たり前もある程度見越して参加していました。だからそこまで気になりませんでした。いただいたサンプルコードのうち、Windowsでうまく動かないものは殆どなかったです。Windowを出したり、何かを描画しようとしたり、Quarksを使おうとするとだめでしたけれど。。。
上のTweetは、ワークショップ改善の声に対して、反応が知りたくてしました。多くの人は何も言ってなさそうだったと思ったからでもあります。


3日目、私は気づいていなかったのですが、ここから応用編になりました。Max/MSPとの連携、OSCプロトコルの使い方などの説明を受けました。
私は、openFrameworks と Arduino、Processing の連携が聞きたかったので、4日目に振り替えてやっていただけないかメールでお願いしました。

ゲスト講師Typingmonkeysさんらのお話。
音楽が先か映像が先かというお話が面白かったです。

★当時のTweetから
2012年02月29日(水) 11 tweets

  • (私にとっての)衝撃の新事実(業界常識):WindowsではQuarksがサポートされていない。よってArduinoと連携は出来ない。(Macを買えとのあくまのささやきが聞こえる。。。) #SuperCollider posted at 22:47:37

  • SCWS問題は、ID問題と期待値の問題に二分されると思う。 #SuperCollider posted at 23:01:41

  • 一つは ID:instructional design どこを今回のゴールとし、どういう順序で何を教えようとしたのかである(Learning1.0)。 #SuperCollider posted at 23:02:52

  • もう一つはIDとも絡むのだが、対象者はどんな人が想定されていたのか?そして、実際の参加者の期待値はどれくらいだったか?である。 #SuperCollider posted at 23:03:28

  • SCWSは2年目だとすると、何をどの順で教えるか大まかには決まっていたと思う。でも、ゴールは明確ではなかったと想像する。なぜなら、対象者がある程度自力で出来る人だったからではないだろうか。つまり、参加者それぞれにゴールを任せた。ここが分かれ道 #SuperCollider posted at 23:09:11

  • Arduino, oF, Processing, MaxMsp などの連携はオプション扱いだったのではないか、WinやLinux環境もオプションである。ある程度質問には答えるが、それは自ら解決が前提であった、のように思う。 #SuperCollider posted at 23:13:10

  • 今回のWSのゴール提示が明確ではなかったために起きた悲劇ではなかろうか。人によってはオプションプログラムにゴールがあり、それだけ期待して参加した。だからGapが大きかった。 #SuperCollider posted at 23:16:41

  • 改めてWSの案内文やFAQを読んでみた。初心者は入門編でケア、経験者は応用編でケア、と読めるなぁー これは誤解するかもね。。。 #SuperCollider posted at 23:34:38

  • 最小25人だったから、30人想定だったのかもしれませんね。そして、あれ程時間が足りなくなることは想定外で、夕食をしながら、交流やプログラミングの時間と考えていたのではないでしょうか。 #SuperCollider posted at 23:39:48

  • WinやLinuxは同じテーブルに座ればよかったですね。 #SuperCollider posted at 23:41:04

  • 学びの場作りは、結構難しいことなのです。教える内容と順序を整理して第1段階、参加者主体になるように工夫を入れて第2段階、環境デザインを工夫して第3段階、イベント実施後もコミュニティが自ら学習していくように仕組んで第4段階。 #SuperCollider posted at 23:56:14


posted at 2012年03月01日

  • 主催者側が慣れていなかったということでしょう。あるいは、これまではある程度レベルの揃った参加者ばかりだったのでそれほど学び方に工夫がいらなかった、むしろミニライブの充実が求められていた可能性もありますね。 #SuperCollider posted at 00:02:02



★この頃から、Twitter上にこのワークショップはひどいというTweetが流れ始めました。当時の私は、どうしてこういうミスマッチが起きてしまったのかと、今後できそうなことは何かあるか、自分がワークショップをするときに気を付けたいこと、の3つの視点でこれを考えていました。
終わった今、振り返ってみると、やっぱり参加者側の点が辛すぎる、という結論です。
これは最後に詳しく書きます。


4日目、openFrameworks と Arduino、Processing の連携のところを話していただきました。休み時間にわからなかったところも教えてもらいました。Windows環境だったため、その場で解決にはいたりませんでしたが、後から自分で何とかできました。Arduinoとの連携はサポート外のようだったので、この時はいさぎよくあきらめました。(後からの情報によると、Quarks は常にUpdateされているので、最新版でサポートされている可能性はあるそうです)

ゲスト講師は赤松正行さん。iOS上でのSuperCollider. 略してiのSuperColliderのお話を伺いました。たくさんのiPhoneを同時に鳴らすという演奏方法がいいな、と思いました。
iPhoneをみんなで振りながら演奏する演奏会を開いてみたいです。螺旋階段の上にみんなで並んで音を出したら、不思議な感じになるんじゃないかなあ。

★最終発表会に向けてアンケートがとられました。発表するかしないかは自由だったのですが、私は無謀にもすると返答。だって、せっかくクラブの音響環境で発表できる機会ですから。

5日目、最終発表会とゲストライブ。ゲストはCraftwife+Kaseo+さんです。

発表会はとてもよかったです。人それぞれ作曲の方向性が違いました。その違いがとてもいいなと思いました。印象深かったのは、Kickの音をいっぱいつくっていた人。かっこいいKickの音、その人が目指している音が聞けて、Kickの深さを感じました。
そして、クラブで大音量で流しても割れないようにするには、自分のスピーカーやヘッドフォンでテストしていてもだめなんだと気づきました。全然違う音が鳴っていました。普段、DJや音響の仕事をされている方の音作りはさすがでした。

Craftwife+Kaseo+さんのライブもよかったです!黄色いかわいいおもちゃの目が赤くLEDで光ります。それがMidiやアナログシンセサイザーやSuperColliderとつながって、もちろんiPhoneも活躍して、テクノポップがはじけていました。

●結論 SuperCollider Workshopに参加してとても良かったです!!!
私はこのワークショップに参加して、とても良かったです!!!
何より音が鳴らせるようになった(当初の目的達成)し、openFrameworksとの連携もできました(予想しなかったことの達成)。Processing や Arduino との連携もできそうな気がします(今後に希望が持てた)。
そして、知らなかった世界を知りました(予想外の効果)。コードコンポジションの世界。iOS上のSuperCollider世界。素敵な人Craftwifeさん。

残念ながら、このワークショップはもう二度と行われることがないかもしれないけれど、だったら、なおさら、よかったと記録しておきたい、そう思いました。

途中で言われていた残念だったの声。私が思うところを書くと、

講師が途中でいなくなった ・・・ 何か事情があったのだとしか想像できません。いいことだとは言えませんが、3日目と4日目の内容を交換してやってもらえたので、できる対応はしてくださったと考えます。
Windows環境へのサポートが不十分・・・期待値によってはそうかもしれません。でも、殆どのコードはWindowsで動きました。サポート外の描画系を除けば、十分だったのではないでしょうか。講座の度に、大丈夫ですか、と声掛けいただくなど、配慮されていたと思います。
環境がよくない・・・運営側目線かもしれませんが、ゲストライブがあるのであの場所だったと思います。毎回のお食事もおいしかったです。これだけ出てこの値段内?!と驚くほどでした。定員いっぱいだったので、狭かったのは確かですが、音も出せて、机も入れさせてもらって、と、すごく調整した結果、ご厚意であの場所を借りられたのだと推測します。
交流の時間が足りない・・・そうかもしれません。内容も盛り沢山でしたし、開催時間も夜19時~22時と遅かったです。終わったら疲れて私はすぐ帰ってしまっていました。でも、今回の内容と価格のワークショップで講師側にそれを全部求めるのは酷ではないか、と思います。
○○機能の解説がなかった・・・今回のワークショップは入門+応用さらっと編であり、ピンポイントな要求に応じられるように設計されていません。期待とのミスマッチだったと思います。でも、講師の方は質問したら、できる限りヒントをくださいました。そこまで責められる対応とは思えません。

以上です。

私は運営側の立場と参加者の立場、両方の経験があります。
贔屓目にならないように、もう一度考えて、出した私の結論です。
SuperCollider Workshop はとても良かったです。