前回までで、継続して改善するやり方は説明が終わっています。

今回は、知っておくとよい考え方のひとつ「標準時間」について書きます。

標準時間は生産管理をしている人には馴染みのある言葉ですが、ここではもうちょっと緩い意味で用います。

その仕事を通常やるのにかかるだろう時間=標準時間=仕事をやる前に見積もる時間

です。

1.仕事をやる前に見積りができるようになろう
計測→改善→計測 を繰り返すと、大体その仕事にどれくらいの時間がかかるのか見積もれるようになります。
言い換えれば、見積もりができるようにするために測るのです。

これを続けていくと、新しい仕事をやる前の見積もり精度が高くなってきます。
自分なりの、この仕事ならこれくらいかかる感覚が磨かれてくるのです。
これが仕事をする上で大変役立ちます。

2.突発仕事のときは
毎日仕事が忙しい中で、必ず起きるのが突発の仕事です。
急に入ってきます。そんなとき、見積もりがきちんとできていれば、新しい仕事を優先するなら、今の仕事がどれくらい後回しになるのか計算できます。今の仕事も大抵は納期があって、重要な仕事でしょうから、上司に交渉・提案できるのです。

「この突発仕事は最優先ですよね。最優先でやると○時間かかりそうです。一方、今の仕事は○日が納期です。あと△△と□□が残っていますから○時間必要で、○日には間に合いそうにありません。納期を○日延ばしていただくよう交渉するか、△△さんに今の仕事の□□を手伝ってもらって間に合わせるかのどちらかが考えられます。私としては、今の仕事の後、□部が次の□を急いでいるので、間に合わせた方がよいように思います」

これが何の時間計算もできていないと、そもそも間に合うのか、影響がどれくらい出るのかわからないので、対処のしようもないですね。

3.全く見当のつかないときは
さて、標準時間も何も、全く新しい仕事すぎて、見積もろうにも見当がつかないものってありますか?
きっとこれから出てくるだろうと思います。

そんなときもプロセス分割と計測が役に立ちます!

全く新しい仕事をどうやるかなーと考えて、プロセスに分割します。
プロセスに分割すると、大体過去にやった仕事のどれかに似ています。だから、いくつかは過去の仕事の標準時間から見積もりができます。

過去にやった仕事のどれにも似ていないと思われる部分に対しては、時間を決めて測るのです。
10分なら10分と決めて、その仕事をやります。どれくらい進んだかを積み上げれば、あと何分かかるのか、大雑把に見積もることができます。

4.標準時間を見積もる助けになるのは
私の場合は、提案書や報告書など資料作成の仕事が多かったので、文章を書く時間を標準時間として見積もりの助けにしていました。

提案書や報告書は、言いたいことの内容を作る部分(材料を集めたり、分析したり、考えたりする部分)と言いたいことを文章にする部分とに分かれています。
言いたい内容が決まっているとき、A4用紙1~3枚程度の文章を書く時間を目安にしていました。何かを書く、書類をつくる仕事を見積もるには、これで大体間に合いました。
言いたいことの内容をつくるための仕込みの部分は、内容によって変わるので、その都度時間を集めていました。だから、どんなものを作る場合にも要る部分を基準にしたのです。

報告書を書く時間を測っておくのは、いろいろ応用が利くのでお勧めです。

つづく

◆定型仕事効率化 目次
(1)プロセスに分ける
(2)改善ポイントにあたりをつける
(3)計測結果から改善ポイントを見つける
(4)標準時間をつくる
(5)番外編:その仕事本当に必要ですか?