「老人と宇宙」  ジョン・スコルジー | 本読みを哀れむ歌

「老人と宇宙」  ジョン・スコルジー

「老人と宇宙」 ジョン・スコルジー


老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)/早川書房
¥924
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ジョン・ペリーは75歳の誕生日にいまは亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入った。しかも、地球には二度と戻れないという条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めないコロニー防衛軍に。銀河の各惑星に植民をはじめた人類を守るためにコロニー防衛軍は、姿形も考え方も全く異質なエイリアンたちと熾烈な戦争を続けている。老人ばかりを入隊させる防衛軍でのジョンの波瀾万丈の冒険を描いた『宇宙の戦士』の21世紀版登場!2006年ジョン・W・キャンベル賞受賞作。



どうにもこのタイトルには食指が動かなかったけれど、「21世紀SF推薦作100 」にあげられていることだし、読んでみた。
今更だけど、このタイトルはないでしょう。
タイトルをもう少しとなんとかすれば、手に取る人もいるんじゃないのかしらん。
原題"Old Man's War"爺さんの戦争じゃ、もっとカッコつかないかもしれないけど。



老人だけを集めた軍隊、という不可解な舞台を設定することによって、読者をぐいぐい引っ張っていく。
老人がどうやったら兵士となりえるのか。どうして老人ではなくてはならないのか。
という疑問は、作中で解明されるが。
ま、肉体改造という点では老人じゃなくてもいいわけで、それはともかく、人生には自分の命より大切なものがあると知っていることが、戦うことのモチベーションになるというのは、ま、納得できる。(それが人生の経験値というやつだね)
ただ、これと矛盾している科白もあって「善玉と悪玉を見分けられると思っていたら命を落とすことになる。もっとも人間と似ているエイリアンが、人間との友好より人間をハンバーガーにすることを望むような世界では、神人同形論なんてものは通用しないんだ」
経験値は役に立たん、と言われてることと同じだが。



それはともかく、設定はハードSFだが、内容はライノベ風。ハードSFとはいっても、これもあくまで風で、深く突っ込むのは面白くない。
変に悩むことがないから、話はさくさくっと進む。
次々と襲いかかる怒涛のような冒険と戦闘と、恋。
75歳だというのに、何なんだろうこの積極性。やっぱり、人間、体が資本なんだ。年をとっても、体さえしっかりしてれば、できることはたくさんあるんだ。
というようなことを、読んでいて思った。