「特捜部Q Pからのメッセージ」   ユッシ・エーズラ・オールスン | 本読みを哀れむ歌

「特捜部Q Pからのメッセージ」   ユッシ・エーズラ・オールスン

「特捜部Q Pからのメッセージ」   ユッシ・エーズラ・オールスン
Flaskepost fra P / Jussi Adler-Olsen

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/早川書房
¥2,205
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「特捜部Q」――未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。今回「Q」のカール・マーク警部補と奇人アサドのコンビが挑むのは、海辺に流れ着いたボトルメールの謎。瓶から取り出された手紙の冒頭には「助けて」との悲痛な叫びが。書き手の名前の頭文字はP。しかし、手紙の損傷は激しく、内容の完全な買得は難航した。Pはどうやら誘拐されたようなのだが……。

過去の記録に該当する事件は見当たらない。北欧を代表するミステリ賞「ガラスの鍵」賞に輝く著者の最高傑作。人気の警察小説シリーズの第三弾。




「檻の中の女」は、「過去」「現在」と交互に描かれる物語がどこで接するのか、被害者を助けることができるのか、というハラハラドキドキ感、カール(突っ込み)とアサド(ボケ)と漫才のようなやり取りが絶妙だった。
そして、再びのタイムリミットサスペンス。
これだけのページ数があるにもかかわらず、一気に読ませてしまうのはさすがだ。




ボトルメッセージで明らかにされた立件すらされていない誘拐事件。そして、現在進行形の犯罪。
世間から隠されてきた真実。それらを巧妙に織り交ぜたストーリィ展開が素晴らしい。
おまけに、カールの周りでは、アスベスト問題に、アサドの不可解な行動、ローセの姉(!)ユアサの謎、ハーディが言い出した妙な証言などなど、事件とは無関係なところでも、カールは頭を悩ませられる。
時々差し込まれるこれらのエピソードが、残忍で陰湿な犯罪の中でちょっとした息抜きのような役目を果たしているのかもしれない。
ミステリーに緊張感は必要だが、そればかりでは、やはり読んでいて疲れてしまうし重たすぎる。
作者はその絶妙な加減が、かなり上手い、職人技だな、と感じる。
それから、犯人を巡る女性たち三人。
三者三様の理由だが、力を振り絞って犯人と対抗しようとする姿勢がすごい。特にカーアクション(?)の疾走感、アドレナリン全開!
母は強し。これは万国共通なのである。



それにしても、特捜部は本当にコールドケースを扱う部署なのでしょうかね。
何でも屋と化しているような気もしないでもない…。というか、それは全部カールのせいだろうな、たぶん。