139.生物学実習 プラナリア | かたくりのつれづれのままに

139.生物学実習 プラナリア

どこかで、聞いたことがある名前だとおもいます。

分類学上は扁形動物ウズムシ綱、進化的には前口動物・後口動物の分岐点に位置する動物です。口が排泄肛を兼ねます。

前口動物とは初期胚でできる原口がそのまま口になる動物で、扁形動物・環形動物・軟体動物・節足動物など・・・

雌雄同体で交尾のときは二匹がからまりあい、お互いにさしつさされつするはず・・・・・観察してません。m(_ _)m

ムツゴウロウ氏の博物誌によると、生殖器は体のどこに挿してもOKとか。ほら交じりですが、もしヒトがプラナリアのように雌雄同性だったら満員電車に乗るたび集団妊娠してしまうだろうとのこと。


この動物は、かなり旺盛な再生能力を有しており、縦に真っ二つに裂いても、横に真っ二つに切り裂いても、三つに分割しても再生します。

やりました。頭尾・背腹・左右を認識して通常正常な個体が再生されるのですが、発がん物質などを切り口につけたりすると、正常な再生ができず、頭が二つのプラナリアなどを作ることができます。


このプラナリアを大学の近くの河川で採集し、赤い色素(酢酸カーミン)を混ぜたゆで卵の黄身で飼育すると、プラナリアのの消化管が全て赤く色素で染まり、口から尾にかけて二本の消化管とおり、左右に無数の分岐がみられます。


全身の消化管に色素が行き届いた段階で、このプラナリアは固定され、エタノール50%→70%→90%→100%と順番に30分ぐらいつけおきされ、全身の水分をエタノールに置換し最後は、スライドグラスに載せられ透明なマニキュアでカバーグラスを接着させて消化管の全身標本となります。


低倍率の顕微鏡で観察すると、全身くまなく消化管が行き渡り、このような下等動物では血管すらないことに感動しました!

血管の役割は大雑把に言えば、栄養を運ぶことと酸素を運ぶことです。

消化管が全身を細部まで走行していらば、栄養が直接ゆきわたります。

また、扁平なので酸素は全身から直にとりいれることができます。


感動しながら、プラナリアの消化管をスケッチした後は、実験室はマニキュアを指に塗り、妖しい雰囲気に包まれました。(笑)


スライドグラスに標本を載せてカバーグラスを接着させる場合、通常キシレンで希釈したバルサム液を使うのですが、教官はなぜマニキュアを使ったのでしょうか?

身近にあるものを実験に利用する、ヒントを与えてくれたのでしょうか。


当時、除光液などというものを知らず数日間学生達は、綺麗にマニキュアをした指をしていました。

別の実験ではマニキュアバサミも必要になるのですが、幸い私達の学科からはそちら方面の道に深く踏み込むものは出ませんでした。  Mar. 08 2007


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