終戦後に処刑されたとされる川島芳子が替え玉をたてて生き延びたという説にたった「歴史小説」なんだけど、30年世話したという段連祥という実在の人物が語り進める手法でリアルな感じ満載。

時代に翻弄された清朝の王女の波乱の生涯が、わかり易く、ちょっとワクワクしながらも、かなり痛ましく、胸に迫ってきた。

乾隆帝の持っていたという宝「九龍宝剣」のエピソードも面白かった。

★★★★☆

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「男装の麗人」「東洋のマタ・ハリ」の異名をとった旧満州の女スパイ・川島芳子。第二次大戦後、中国国民党政府によって銃殺刑に処せられたが、実は処刑されておらず、国民党政権によって特務機関員として生かされ続けたとする「生存説」が根強い。本書は、生き延びた晩年の川島芳子の世話をしたという人物の周辺から貴重な証言を紡ぎ出し、激動の20世紀に弄ばれた美女の知られざる全生涯を辿った、はじめての通史である。『SAPIO』誌での大反響連載をもとに、大幅に加筆、再構成した。
清朝末期の皇女として生まれ、満州を舞台に日本軍の女スパイとして活躍し、終戦後には中国国民党の「スリーパー」になり、”ラスト・ミッション”日中国交回復を成し遂げ、本当の死を迎えるまでの激動の生き様を、元産経新聞香港支局長、中国問題に精通する著者がまとめた、感動の大河ロマン!


川島芳子