4月の消費増税で、しばらく消費は落ち込む・・・そうした予測の中、各企業は落ち込みを回避して客を呼び込もうと戦略を探っている。「敢えて値下げする」「質や機能、量を変えて、価格も変える」など、価格設定や手法は様々だ。実際に4月に入ると、消費者の行動の中で意外な傾向が表れている。一部の外食チェーンや、スーパー、百貨店でも、価格が高めの商品が好調だと言う。そのワケとは・・・
脱低価格時代を探りながら次の戦略を模索する、企業の試行錯誤を追う。

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大手ファミレスのデニーズは、4月1日からメニューの8割を変えるという、かつてない大刷新を行った。消費増税後に予測される客足の落ち込みを食い止めるためで、価格戦略も「実質値下げ」「改良し値上げ」「高価格帯の目玉新メニュー開発」と対応。しかし、蓋を開けてみると、「値下げ」したハンバーグの売り上げは横ばい、逆に「改良し値上げ」したハンバーグメニューやパンケーキが好調という、意外な結果が出た。さらに2000円近くするローストビーフも予想を大きく上回る売れ行き。この状況を受け、デニーズは一部メニューを更にバージョンアップさせるという。競争が激化するファミレス業界の中で、高くても客に満足してもらえるメニューを探る現場を追う。

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消費増税による駆け込み需要の反動で、4月の売り上げが減った百貨店。苦戦が続くかと思いきや、意外にも好調な売り場があった。それが“デパ地下”、しかも弁当だ。東京駅に隣接する大丸東京店では、特に1500円~2000円前後の高級な弁当が人気で、前年を上回る売れ行きだという。購入するのは、出張のビジネスマンをはじめ、ファミリー層や高齢者、更に企業の会合用、近隣に勤めるOLのランチや夕食用など様々だ。想定外の消費者の“変化”を受け、百貨店側が打った次の一手とは・・・.

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総合スーパー大手のイトーヨーカドーは、主力の食品事業が近年売り上げが減少傾向。円安・原料高に加えて消費増税という新たな向かい風が吹く中、どんな商品を買ってもらえるのか・・・考えられたのが、技術を持つ中小メーカーと開発する“こだわり”商品。職人たちに手間をかけて作る、新しいタイプのプライベートブランド(PB)だ。

その名も「つくるものがたり」。PB商品といえば大量生産・低価格が主流だが、「つくるものがたり」は手間がかかる分、数も限られ価格も高くなる。しかし、今年2月から試験的に始めると、予想を上回る人気に。例えば豆大福は、創業53年の和菓子メーカーと組んで、素材や手作業の製法にこだわり、もちもち感を高めた。価格は1個150円と、既存商品の2倍程度だが、当初想定の3倍を売り上げている。これまでに豆大福のほかにも、キムチ、カレーパン、納豆・・・などを開発・販売。5月からは新たに、おぼろ豆腐を販売するため、人気豆腐「波乗りジョニー」を製造するメーカーと組んだ。
イトーヨーカドーでは、「つくるものがたり」を食品事業の目玉にするために、今年度中に200品目まで急ピッチで増やす方針。“大量生産・低価格”が売りだったPB商品から脱し、“こだわり+高い付加価値”で勝負に挑む・・・イトーヨーカドーの取り組みは、果たして成功するのか.

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