忘年会が続く頭は「寝ろ!」とつぶやいていたが、この本を開いてからは寝ていられなかった。軽く読めるが、小ネタが仕込んであって飽きさせない。

初めて読んだ作家のモノだが、特に2編目の「飯」は秀逸で、ダメ男三代にからむ「俺」しっかりものの同棲している女性「アキ」、是枝などの登場人物がみんな魅力的で、確かに「毒にもなれない裏通りに小悪党」なんだけど、生き生きしていて描き方がいい!

一遍目の「指」は本当の職業のところで、「えっ、ええーーー!」と驚いた。

お屠蘇気分の抜けない正月にも是非どうぞ!双葉社1400円です。

★★★★☆

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俺には悪癖がある。癖と呼ぶにはあまりにも危険な行為のそれは、実は街中の至る所で行われている。掏摸。犯罪行為と向き合う男の姿を描く「指」。ひょんなことから刑務所前の飯屋を切り盛りすることになる俺。味が評判を呼び人気店になる。だが、それを苦々しい思いでみる者がいた。その者の思惑とは…「飯」。中篇2編収録。小悪党たちの生態を描く。

50代オヤジの独言-junk