この冬、3回目の映画化がされた「源氏物語」、マンガも好評。史上最高の美男子・光源氏が今夜のテーマ。

1000年前の平安時代に生まれた長編恋愛小説。20人以上の女性達と恋愛する光源氏の物語。

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目を付けた女性にはいきなりくどき落とす。グイグイといくタイプに描かれている。

天皇の第二皇子として生まれた光君は成長し華麗なる女性遍歴をしていく。

「雨夜の品定め」で中流貴族の女性が良いという話を聞きつけると、早速実行に移す。いきなり訪ねて行ってはくどきおとし、思いをとげるが、暗くて顔もよくも見ていなかった。

光源氏はその女性を昼に見に行くが、目が腫れぼったくて、背が小さい見栄えのしない女性だった。だが碁をうつしぐさが慎み深いと惚れる。

末摘花にはまたも押し入って思いを遂げるが、翌朝、顔を見てみると象のような鼻をした女性だった。

家柄の良い女性というのは50代の女性。熟女もOKだったということか。

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当時の貴族女性は扇で顔を隠すのがマナー。さらに几帳で隠されていて目に触れることは難しい。そこで「噂」を流して男性をひきつける。「器量ではなく教養」が重視された。

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京都の夕顔町。ここに夕顔の墓もある。江戸時代にファンが建てたという。

源氏が惚れたのは夕顔のセンスあるプレゼントだった。

清水寺の隣にある地主神社。ここの御神木に牛の刻参りで、五寸釘を打ち込んだ跡がたくさんある。

源氏物語はホラー物語でもあるのだ。

22歳になった光源氏は葵上と結婚。愛人も何人もいた。その中の一人が六条御息所。年上の女性だ。気位の高さが災いし足が遠のいた光源氏。葵上は妊娠し、光源氏は付き添っていると聞く。そんな折、牛車で行き交う葵上と六条御息所が立ち往生し、御息所の牛車が壊される。

何故か葵の上は病に臥し、六条の御息所の生霊によって正妻の葵の上は、呪い殺されてしまう。

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平安時代、浮気した夫に対し、怨霊となって襲い掛かったという場所に鉄輪の井戸がある。

怨霊を恐れることは政治にもはねて、藤原道長は怨霊を退治する陰陽師の安倍清明を重用した。

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自らの罪悪感が怨霊を作り出しているのではないかと、紫式部は源氏物語に書いている。

貴族の妻だったが30代で夫を亡くした紫式部。それまでに母親など4度近親者と死別している。光源氏も同じように近親者を次々と亡くしていく。

そういった実体験が反映されているのではないかといわれている。

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京都にモデルとなった大邸宅がある。源氏物語では春(紫の上)・夏(花散里)・秋(秋好中宮)・冬(明石の君)

春の女性・・・鞍馬寺のつづら折で、10歳の紫の上を見初めて、光源氏は宮中に連れてきて育てる。

しかし高貴な女性をと考えた光源氏は妻を娶る。紫の上は病に臥せて、出家を望む。光源氏は出家を認めず迷いを抱えたまま世を去る。

夏の女性・・・短い夏のように愛されるが、光源氏が訪ねるのは希だった。

秋の女性・・・早くに母を亡くしたが、天皇に結婚し幸せに暮らした。

冬の女性・・・身分不相応と自ら身を引き、光源氏との間にできた子供も自分で育てる。子供が成長して天皇に見初められ、明石の君も宮中に住み、孫達に囲まれて過ごした。

紫式部は冬の辛抱強い女性に一番の幸せを与えた。

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源氏物語には光源氏の最期を描いてはいない。

室町時代に創作された「雲隠」というものがあるが、そこでは光源氏が僧侶になっている。

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1000年に渡り、読み継がれてきた源氏物語は、豊臣秀吉が書き写し、貴族の性格を学び、

開国後は、20ヶ国語以上に翻訳され、世界中に広まった。

ドナルド・キーンは太平洋戦争のさなかに源氏物語に出会った。「どんなに読んでも、まだ残っているのもがあると思う。紫式部に心から感謝しています。」、ドナルド・キーンは日本永住を決めた。