京成電鉄実籾駅、千葉県習志野市の内陸部。特急も通過する駅から徒歩10分以上の場所に、1500戸という巨大マンションが建設されている。一部入居も始まっているこのマンションは、中堅ディベロッパー・有楽土地が開発する「ユトリシア」。6000人が住むことになる、既に第二期まで完売。

一見不便な立地に見えるが、今、入居希望者や問い合わせが殺到しているという。人気の大きな理由は、「台地」で「地盤が固い」から。
実際、すでに入居した人の中には、浦安など、液状化の被害にあった湾岸エリアから引っ越してきた人たちも多いという。有楽土地の担当者土肥さんも「地盤の固さというアピールポイントが、湾岸エリアの客層に響いている」と驚きを隠せない。3月11日から激変した住まいの場所選び。おしゃれな「湾岸」から、少々不便でも「台地」へ。完全に住まいの価値は逆転した。

一方、湾岸タワーマンション戦争、東京・湾岸エリアで続々とタワーマンションの販売が始まっている。

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江口君、住まいの買い替えを検討することにした。湾岸のタワーマンションのチラシを見て思案する。

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震災後、湾岸エリアで初めての販売となるのが、江東区東雲に建設中の「プラウドタワー東雲キャナルコート」。野村不動産が手がける、52階建て600世帯のタワーマンションだ。この売れ行きが、今後の湾岸エリアのマンションの試金石になると、業界の内外から注目されている物件だ。週末ともなると多くの検討客でごった返しているという。その秘密は2億円かけたショールーム。もちろん「安心・安全」を訴える仕掛けが満載だ。

黙っていても売れるはずが震災で販売中止期間が長くなり、そこでこの仕掛けを考えた。

藤田さん夫婦は共働きで、都内に住みたいと考えている。担当の石田さんがマンションの模型を用意して震災対策を説明。防災展示コーナーも用意して、モデルルームに入ったのは1時間後。子供は飽きてしまったが、もう気分は湾岸ライフになっていた。

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さらに、同じく湾岸エリアに三菱地所レジデンスが社を挙げて取り組むタワーマンションがある。「ザ・パークハウス晴海タワーズ」。先行する野村に対し、どう客にPRしていけばよいのか・・・。プロジェクトリーダーに指名されたのが亀田正人さん(40歳)。これまででは黙っていれば売れた好物件だが、「安心・安全」を訴えなければ、客の心に響かない。亀田さん、ソフト・ハード両面でどう取り組んでいくのか。

11月5日、船着場に亀田さんの姿があった。希望者を船に乗せて運河の川面からマンションを眺めてもらった。

肝心の安心・安全はと現場に足を運ぶ。腰をかがめて基礎と建物の間にある免震装置を見る。免震は建物そのものを揺らさないようにするもの。最大のウリだという。

さらに亀田さんは仙台に足を運ぶ。どうしても確かめておきたいものが免震装置だった。3.11の地震にも傷も入らなかった。

住民の阿部さんは「倒れると思っていたものが倒れていなかった。」とその効果を語る。

ショールームも作られて、石川遼の大きなパネルが飾ってある。

ウリのひとつが防災備蓄倉庫。簡易マンホールトイレや発電機、水などのグッズが集められた。防災コンサルタントがひとつひとつを評価する。ヘルメットなどほとんどに厳しい評価がくだった。

亀田さんは警備会社を訪問し、浄水器をテスト。自分で浄化した水を飲んでみた。

次に訪問したのは長野県。山奥に入り、畑の開墾をする。ここはマンション住民の畑にして、コミュニティの結束に役立てようという計画だ。

本社の副社長と販売価格の協議に入る。カメラはここからはオミット。

販売競争がいよいよスタートした。

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江口君、古地図が売れているという紹介。その理由は昔の土地の様子がわかるから。液状化が起きた場所の説明に入り、浦安は昔は海だったこと。内陸部でも昔は沼地だったところが液状化したことを説明。

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今回の震災で、液状化被害が大きく報道されたのが、千葉県の浦安など湾岸地域。しかし、実は茨城県潮来市など、内陸部でも液状化被害は大きかった。ここは霞ヶ浦の沼地だったところだ。全国で見ても、液状化リスクを抱えた土地は決して少なくない。

ここに来たのが柿内さん。ハイアスカンパニーの社員だ。この会社が施した家は傾いていなかった。

すでに5年前からこの事業に取り組むハイアス&カンパニーでは全国から依頼が相次いでいるという。そのほとんどが戸建て住宅の建設現場。同社の技術は、天然の砕石を地盤に埋め込んで液状化を防ぐ独自のもの。土の中に石の柱を何本も作り、家を支える。水が石の間に逃げ込むため液状化を防げるのだ。

ハイアス社はこの工法を施工できる代理店や工務店などを組織化し、全国でフランチャイズ展開している。

テストでも対策実施の家は傾かないが、未実施の家はどんどん傾く。

この工法が大手ゼネコンも続々と乗り込んできている。シェア確保が命題だ。

11月8日、柿内さんは名古屋にいた。この日、愛知県や、名古屋市のメーカー150社に対してセミナーを開催した。実は名古屋の西部では、液状化リスクが非常に高い土地なのだ。

今回、新たに加わった会社の一つが名古屋の「三洲土木」。これまでは公共工事の請負などが主だった三洲土木だが、新たなビジネスへの参入に迫れており、かつ「愛知の人たちの液状化への不安を解消したい」と新事業に乗り出すことにした。

2週間後、初めて見積もりの依頼がきた。愛知県豊田市の一戸建て。近くに川があり、まずは地盤の強度を調べる。まずは音で、ジャリジャリやガリガリで石の大きさをしらべ、さらに水分の量を調べる。地盤は弱く、砕石して柱を作ることが必要と提案書を作る。施工主に示すが78万円になるということで、説明したが、断られた。

地面の下の安心・安全にどの程度コストをかけるのか。難しい問題だ。
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愛知東郷町の三州土木。なかなか受注が取れない。

そこにお客さんが来た。地盤が軟弱で家が建てられないといわれ困っている人だった。社長はその予定地に出かけ、2棟で100万円と見積もる。

どうにかお客さんに受け入れられた。1週間後早速工事が始まった。液状化対策の初仕事だ。

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江口君・・・地震大国に住む私達。安全・安心の技術に期待したい。