新宿高島屋バレンタインデーを前に大賑わい。それを他所に和菓子銘菓が集中するコーナーもある。物流の発達で日持ちのしない和菓子もその日に並ぶ時代になった。

1990年、国の営業区域の規制緩和の影響により配送業者数が増加した。そのため過当競争が勃発。積荷単価の下落は今も続いている。中小運送会社は、“いかに安く運べるか”が、生き残りの鍵となった。更に、リミッターの義務づけや、労働時間の規制に縛られ、現場のドライバーたちは、あらゆる面で過酷な労働を強いられている。そこに、追い討ちをかけるように、製造を専門とする企業たちが、次々に大幅な生産縮小を行ったため、運送会社への仕事の発注は激減しているという。
しかし荷動きが一気に減少した昨今、空のまま帰る訳にはいかない運送業者は四苦八苦。

長野県岡谷市の運送業者。懸命に荷を捜すが状況が悪い。専務の大野さんも苦境に立ち、大手電子機器メーカーにコスト削減の提案にきた。トラックを二階だてにして、クルマと家財道具を一回で運ぶ方法を考案。

新鮮野菜のトラック販売や究極の’お届けビジネス’の舞台裏にも迫る。’物流が変われば経済が変わる’が今夜のテーマ。

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役所さん・野菜を仕入れてきて新鮮野菜をそのまま空トラックで引き取るという。

東大阪市、野菜の青空市が開かれ、産地直送野菜が並び、消費者にも好評。

この野菜市を行なっているのが株式会社「ユンクス」だ。同社は大手家電量販店の配送部門を担当し、主に西日本でトラックを走らせていた。2代目の内海郁雄さん(52)が常に考えていたのは、帰りの便の有効活用。九州方面へ積み荷である家電を配達した後、大阪までの帰りは空になる。そのムダをなくしたいと考えたのが、荷物をおろした先の地域にある「新鮮野菜」だった。直接ユンクスが買い付ける。ユンクスはネットワークを築きトワード物流さんもこのネットワークに入っている。

佐賀から朝出て、午前8時に東大阪市に着く。店を持たないユンクスは軽トラック販売と青空市で売る。

ドライバー歴15年の運転手も販売には慣れていないが、客の前に立つ。

内海さんはこの日大学のキャンパスにいた。新鮮野菜は大学生にも好評。「地方に目を向けてくれれば」と内海さん。地元の農家に社長自ら訪ね、生産者の顔写真入りのPOPや商品の注文用紙を作成し「責任をもって売る」と説得して回った。今では、北海道から沖縄まで農業生産法人を始めとする200組織に広がっている。
さらに、内海社長が目を付けたのが、仕事が減少していた同業者たち。「曜日や時間を問わずに稼げる業務を与えて、厳しい経営状況の輸送業者の安定収入につなげたい。」新たなビジネスとは、自社に何台も眠っていた「軽トラ」を使った野菜の移動販売だった。仕事を失いかけていた運送業者に声をかけ、自社の「軽トラ」を提供。 ユンクスと契約したスーパーやコンビニの駐車場で、野菜の直売を行っている。

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内海社長は、「全国の新鮮な旬の野菜を、もっとたくさんの人に、ここ関西で味わってほしい!」と軽トラックを集合させて行う、大規模な「軽トラ市」の開催を考案。その「軽トラ市」に並ぶ野菜の調達を任されたのが、直売部の内海那々子さん23歳。社長の娘で去年入社。鍋に合う野菜と野菜スープを販売することに。自ら農家の元へ足を運び「旬の野菜探し」が始まった。

まずは顔なじみの農家の元に向かい、畑でキャベツを食べてみる。宮崎の農家もめぐり、他の野菜も買い付ける。アポなしで、キノコ栽培農家にも向かい、野菜スープに良いキノコを聞く。はなびら茸という幻のキノコが最適だという。その場で買い付け交渉。数の確保が難関だったが、なんとか揃えられることになった。

イベント前夜、はなびら茸の調理方法がわからず苦戦!

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役所さん・・・生鮮品のネット注文を行い、早速届いた。高級魚の赤魚が新鮮なまま届いた。北海道産のたもぎ茸と茨城産の野菜も注文。翌日届いた。消費不況の中で、唯一好調なのがネット販売市場。大阪府吹田市にある「阪急キッチンエール」は扱う商品数は週1回のカタログと季刊カタログと合わせて約2000品。品揃えに加え、食材の品質や使いやすさへのこだわりも特徴だ。

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主婦の松田栄子さん。週に3・4回ネット注文で宅配依頼するという。この日松田さんは10品近く注文。「阪急キッチンエール」がその注文を受ける会社。頭打ちの百貨店ビジネスにおいて打開するための宅配サービスだ。、“スーパーで売られているような日用品から、「デパ地下」並みの高品質な食材まで”をネット販売することで、大きく売り上げを伸ばしている。そのサービスは、「お金は節約したいけど、ちょっとした贅沢はしたい…」という、特に共働きの家庭で好評だ。前日の24時まで注文が可能。翌日の17時までに配達する。配達は週に6日。
人気商品の生の本マグロ。中卸業者が全て請け負っている。寺本商店の専務は「とんでもないことだったが、至難の業をなんとかやってる」と語る。さばいてパックされたマグロはキッチンエールに運ばれ、厳重なチェックがなされ、午前6時半に1軒ごとに仕分けされる。この温度管理が重要。

こうして翌日午後には食卓に新鮮なまま届く。

その生命線となるのがカタログ。頼りになるのが消費者の声。スィーツ担当の島津さんは、その声から兵庫県西宮市の「えびすロール」に注目。訪問して社長とパティシエに打診する。

1日150本という数の多さに店側は難色を示す。柔らかくデリケートなロールケーキはカタチと風味が命。この日は契約がまとまらなかった。

会社に戻った島津さんは商品を試食してもらい、店側の意見も報告した。’目玉商品’として扱いたい阪急側にオーナーも閉店後に作って自ら運ぶことを提案。「えびすロール」がカタログに掲載された。

ブラザーズでは閉店後に100本作成、午前4時にオーナー自らが運ぶ。

5時ギリギリに島津さんが待つエールに到着。カタチが崩れていないかをチェック。「作られた方の気持ちを楽しみにしているお客様に運ぶ」

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ユンクスのイベントはどうなっているか。2月1日その日を迎えた。ドライバーたちが総出で準備し、旬の九州野菜がずらり並ぶ。鍋コーナーやはなびら茸入りスープも出来上がった。

オープンと同時に客が入り、社長も大童で応対。スープもおいしいと好評。はなびら茸も飛ぶように売れていった。「スーパーに無いので買いました。」と客。

社長「仕事は貰うものじゃなくて作るもんや。」

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役所さん・・・物流が活気付かないと日本経済も活気付かない。物流も新たな付加価値を付けていかないといけない。