参加者に不信感を持たせてしまった無印良品の「IDEAPARK」 | Photograph to Life ~生活に写真を~

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私も無印良品の製品を使うことが結構あるので参加しているのですが、無印良品では「IDEA PARK」と言う一種のSNSを開設しています。

 

このIDEAPARKと言うのは、言ってみれば「製品企画案をユーザーから募集する」と言う仕組みです。ところが、このIDEA PARKに運営上の疑念が出来てきてしまいました。

と言うのは、直近に行われた「MUJI Passport」アプリにおけるチェックインマークの改変が、過去にIDEA PARK参加者によって提案され無印良品サイドから「見送りします」と言う回答が出ていたものであるからです。

その提案と言うのが下記リンクのものになります。

 

参考リンク:「ご当地チェックインスタンプ

 

この提案に関しては、あくまでも「チェックインの際のスタンプのデザインをご当地デザインにできませんか」という物であったのに、回答で無印が付けたコメントでは以下のリンクにある「チェックインのご褒美を提案された件」を例として上げた上で見送りと案内しています。

 

参考リンク:「チェックインの ご褒美♪

 

また、以下の様な事例も発生しているようです。

 

参考リンク:「見送りになったのに、販売していました

 

不満の声は結構有ったようで、年度切換直前に以下のようなリリースを出してきています。

 

参考リンク:「IDEA PARKを見直しました。

 

この見直しで注意すべき点は以下の一文です(リリース文から引用)

 

開発担当者が検討する前のリクエストを「新着リクエスト」、検討したリクエストを「ストック済み」としてステータス表記します。
これまでのステータス「最終検討します」「開発はじめます」「できました」「販売中/開発中」「見送ります」「検討ずみ/検討中」「その他」はすべて「ストック済み」のステータス表記となります。

「ストック済み」とステータスがついたリクエストは、IDEA PARK内での「良いね」や「コメント」情報と一緒に次期商品開発検討時期に商品担当者によって再検討されます。

 

これは、「一旦提案として出された案は「見送ります」としても後で勝手に使わせてもらいますよ」と言うことに他なりません。これが「再販希望」と言うレベルの提案であれば、もともとが無印良品で企画され販売していたものであるので大きな問題にはなりません。

ですが、例えば「案としては新規に提案された」「類似の製品はあるが、構造やデザインが異なり新しいアイディアや機能が盛り込まれている」と言う場合には問題があると言えます。

 

身バレ覚悟で書きますが、私自身も以下の様な提案を「試作品の写真付き」で行ったことが有ります。

 

参考リンク:「Bluetooth接続のお風呂用スピーカー

 

この件についても「見送ります」と言う回答でした。

その為、私は幾つかの中華オーディオ機器メーカーからレビューのオファーを受けていることも有り、早くから声掛けしてくれたメーカーさんに「製品として興味ありますでしょうか?」と声掛けすると言うアプローチもしています。

もちろん、これで儲けようとかは全く考えておらず、あくまでも「キュートなデザイン」「パッキンゴムの交換がラク」「気軽に使える」それでいて本格的に2スピーカーステレオと言う防水スピーカー製品が市場に余り見られないので「私自身が欲しい」と言う欲求で案を提示したものです。

 

ちなみに、このスピーカーについては当ブログに置いても製作記録を公開しておりますし、そもそもが素人の考えたものがそのまま製品になって、提案者も儲けられるなどという考えはさらさらありません。

 

参考リンク

Bluetooth接続のお風呂スピーカー作ってみました

自作風呂スピを改良

 

注意する点としては、自分の提案だけでなく「誰かの提案に共感して着けたコメントにあるアイディア」も「ストック済み」とされて利用されることになるということ。

 

例えば、私が欲しいと感じたものに近い提案であった為に共感して「試作案」を提示してコメントしたのが以下の提案です。

 

参考リンク:「ネックウォーマー

 

この提案に対して、私が作った試作品案も当ブログにて公開中です。

 

参考リンク

被らずに脱着できるネックウォーマーを作ってみた

被らず着脱ネックウォーマーを改良

 

このネックウォーマー、素材として使ったネオプレン素材のタブレットケースが販売終了してしまったので首の後で縫い合わせるか、100均以外でネオプレン素材を購入するかしないと作れなくなってしまったのが残念なところ。ですが、気に入っていただけたなら販売目的でなくれば、どんどん作って頂いて構いません。スピーカーも同様です。

実際、私自身がいろんなブロクなどからアイディアを利用させていただいていますし、それを楽しんでもいます。

 

ですが、IDEA PARKの場合は事情が異なります。例えば、無印良品の商品企画の方がご自身でアイディアを練る上でWeb上にあるアイディアなどを参考にするのは有りと思います。アイディアを探すための労力を費やしいる訳ですから。もちろん、そのまんまで製品化しちゃダメですけどね。製品として、相応の対価を取って販売するのですから当然でしょう。

 

では、IDEA PARKの場合はと言えば「アイディアは参加者が勝手に書いてくれる」「情報も提供してくれる」訳です。あとは、自社製品で過去に同様のものが無かったかと、別の誰かから同様の提案が無かったかを調べるだけ。「調べるだけと言っても、数多くの提案の類似性を確かめるよね」と言う意見があろうことは承知のうえで書いています。何故ならば、「どこを見れば良いか分からない」「どんなキーワードで検索すれば良いかわからない」ネットの上の情報を能動的に探すのと比べれば「自社のデータベース上で管理されている情報を探す」方が圧倒的に楽だからです。

 

つまるところ、IDEA PARKでやっていることは「再販希望」への対応を別にすれば「ユーザーのアイディアを提案として出させて、好き勝手に使わせて欲しい」と言う商品企画における手抜き行為とも言えるのです。

こういったユーザー参加型の商品企画が悪いと言っている訳ではありません。それはマーケティングのいち手法であるといえるからです。ですから、きちんと対応するのであればどんどんやるべきと思います。

 

確かに、提案すれば「MUJI Passportにマイル付与」がされますが、それ自体はすぐに使える報酬という訳ではありません。一定以上のマイルを貯める、一定の条件を満たすなどして初めて数百ポイントが店舗で使えるようになるという程度です。そして、提案者の多くはマイルの付与やポイント付与よりも「自分がほしいと感じたものが製品になる」と言う喜びが最大のご褒美なのです。

 

無印良品サイドがやるべきことは、マイルの付与やポイント付与ではなく、「ストックしたアイディア」を利用した製品を発売する(製品化が決定した)場合に「提案者に製品化が決定しました」と報告することであり、見送りにする場合には見送りにする理由を知らせることです。現状のIDEA PARK運営に足りないのはこの点に尽きると言えます。

 

無印良品の製品は、一見「無機質」で画一的では有りますが、それゆえにアレンジしやすいと言う点が魅力なのです。だからこそファンがいるのですし、そういったファンが望んでいることとすれ違いが出てしまっているのは非常に残念な事と思います。