「・・・・・」


「・・・・・」


・・・あれ?
おかしいな。
智くんの様子がおかしい。


あの日から、
智くんには会ってない。


会える日もあったんだけど、
あえて連絡しなかった。


前回のアレを期待してたんだ。
俺をちょろちょろチラ見する智くんを。
俺のことずっと意識してて。


けど、


久しぶりに会った智くんは、
いつもと一緒でぼ〜っといてるけど、
心ここに在らずって感じ。


俺と目があっても、
目をそらすことなくじっと俺のことを見据えてる。


いったい、
この数日で何があった?
なんでそんな悲しそうな顔してるの?


連絡しなかったこと、
怒ってるの?


3人がメイクさんに呼ばれ、
楽屋を出て行った。
智くんと2人残される。


そっと智くんの横に移動する。
智くんの身体が、
ビクッと揺れた。


・・・・・


「・・・ねえ、智くん、
この前の約束覚えてる?」


「・・・ん」


良かった。
返事はしてくれる。


「この後、予定ある?
・・・答えあわせしよう」


「・・・・・」


ん?
なんか智くんの顔が・・・


「えっと、智くん?
今日都合悪いの?
違う日にする?」


「大丈夫、今日でいい」


「じゃ、あとでね」


「・・・ん」


智くんは返事をすると、
すっと立ち上がった。


「え?どこ行くの?
もうすぐ呼ばれるよ?」


「・・・ん、ちょっとトイレ」


俺の方を振り向きもしないで、
智くんが楽屋を出て行った。


本当にトイレ?
なんかやっぱり様子が・・・


・・・もしかして、俺、
避けられてる?


智くんと交代に、
相葉くんが戻ってきた。


「あ!翔ちゃん、
今、大ちゃんにも言ったけど、
次2人の番だって」


「・・・ん、ありがと」


「どうしたの?
翔ちゃん、泣きそうな顔してる・・・
大ちゃんとなんかあった?
さっきまで2人だったでしょ?」


「・・・・・」


「・・・あ、もしかして、
大ちゃんさっきの・・・」


「なんだよ!お前なんか知ってんの?」


「知ってるっていうか・・・
翔ちゃんが来る前にちょっと話してて」


「何話したんだよ」


「・・・それは、
ふふ、翔ちゃん必死だね。
いつもクールに決めてるのに、
大ちゃんが絡むとこんなになるんだね」


相葉くんがにっこり笑う。


「わ、笑うなよ!
必死じゃねーし、普通だし」


「うひゃひゃ、
翔ちゃんに朗報だよ〜。
さっき話した感じだと、
大ちゃんも翔ちゃんのこと・・・」


「え?!」


智くんが俺のこと?
何?何だよ!


「ふふ、ここから先は翔ちゃんが自分で聞きなよ。
メイクさん、困ってるよ〜
早く行ってきな」


メイク・・・
そうだった。
今から収録だ。


しっかりしなくちゃ。


「・・・おお!」