Rolling days -29-

テーマ:
翔くんがさっきまでいた部屋。
まだ翔くんの香りが残ってる。


『今夜でこの関係を解消したい』


始まりも突然だったけど、
終わりも本当に突然だったな。


そうか、翔くん、
好きな人いたんだ。
ずっと、好きな人が・・・


じゃあ、おいらは?


おいらはなんだったんだろう。
翔くんにとっておいらは何?


・・・ふふ、今更こんなこと考えても仕方ないな。


ニノがここに来る。
こんな顔、見せられない。
顔を洗わなくちゃ。


ちょうど洗い終わった時、
スマホが鳴った。
ニノからだった。


『ホテルに着きました。
何号室です?迎えに行きますよ』


「や、いいよ、自分で行く。
ロビーで待ってて」


翔くんと過ごしたこの部屋。
翔くんの香りの残るこの部屋。


ニノに入ってほしくない。
その時なぜかそう思った。


『・・・分かりました。
じゃあ、タクシーで待ってますから』


「ん。今から行く」


部屋の中を見渡して、
部屋を後にした。


ホテルの外に出ると、
一台のタクシーが止まっていて、
スーッと窓が開き、ニノが手を振ってるのが見えた。


走っていき、
そのタクシーに乗り込む。


「ニノ、早かったね」


「大野さんの緊急事態ですから」


「緊急事態って?」


「あなた、さっきなんて言ったか分かってます?
『たすけて・・・』あなたそう言ったんですよ?
ではとりあえず、スマホを貸してください」


「へ?なんでスマホ?」


ニノに言われるまま、
ポッケからスマホを出して、
ニノに渡した。


「・・・電源オフ」


「え?なんで電源落とすの?」


「この方が色々と都合がいいんです。
ゆっくり話ができるでしょ?このままちょっとの間お預かりします。
あ、運転手さん、出してください」


「・・・どこに行くの?」


「ふふ、ゆっくり話ができる場所ですよ。
大野さん、どこか行きたい場所、あります?」


・・・行きたい場所?
そんな場所なんてない。


「・・・ニノに任せるよ」


ニノが行き先を告げ、
タクシーが動き出す。


その時なぜか、
翔くんを感じた気がした。


そんなわけないのに。
翔くんとは関係はさっき終わったんだ。
ここに戻ってくるはずがない。


視線を感じ、顔を上げると、
ニノがじっとおいらの顔を見ていた。


「な、何?」


「・・・別に?」


そう答えたニノがカバンからゲームを出して、
おいらにくっついて、
いつものようにゲームをしだす。


「・・・・・」


おいらはちょっと拍子抜けした。
何があったのか、
ニノに質問攻めにされると思っていたから。


なのにニノは今、ゲームに夢中。


なんだろう。
ニノのいつものこの行動が、
ひどく安心できる。


安心したらうとうとしてきて、
いつの間にかニノにもたれてそのまま・・・。




「・・・大野さん?
起きてください。着きましたよ、大野さん」


「ん?・・・あれ?おいら寝てた?」


「ええ。いびきと歯ぎしりしながら、
気持ち良さげ気にね。
さあ、降りてください」


「え?いびきと歯ぎしり?マジで?」


「ふふ、マジで!」


は、恥ずかしい。
運転手さんも聞いてたのかな?


「・・・嘘ですけど」


「は?ニノ!!」


ニノがあはははって笑って、
運転手さんに料金を払う。


「あ、お金・・・」


「ここは私が出しておきます。
大野さんにはこの後・・・ね?
さあ、早く降りてください」


「・・・じゃあ」


ニノに急かされ、
タクシーを降りる。
そこは見たことのあるマンションの前だった。


「あ、あれ?このマンションって・・・」


「さあ、行きましょうか?
けどその前に、うち何もないんですよね」


やっぱりニノのマンション。


「近くのコンビニで調達していきましょう」


「え?」


「付いてきてください。
迷子になりますよ」


ニノはてくてく歩き出した。
おいらは慌てて後ろをついていった。






















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