ロン・ウッドもサム・クックが好きなんですね(笑)
なんちゃって、またまたふざけたコラ画像から失礼します(^_^;)

今回はサム・クックの影響を受けたロック・シンガーの中でも、ハスキー・ヴォイスで有名な大御所4人をピックアップして、さらりとサム・クックとの繋がりが感じられるその痕跡をたどってみようかと。

ブログのタイトル『ロック畑のサム・クック・フォロワー四天王』とは誰か?
僕の思う四天王は、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)、スティーヴ・ペリー(Steve Perry)、ブライアン・アダムス(Bryan Adams)、ジョン・ボン・ジョビ(Jon Bon Jovi)の4人。
いずれも洋楽ロックを聴き始めて好きになったハスキーなボーカリスト。
当時は単にそのしゃがれた声に惹かれていただけだったけれど、後々になってサム・クックとの関連性を感じるようになってきた。

ロッド・スチュワートに関しては昔からサムのカバーもしているし、今まで何度となくサムに関する発言も多く聞いてきたので、改めて触れることもなさそう。
ただ、最近気づいた曲でロッドが始めてジョン・バルドリーとレコーディングしたシスター・ロゼッタ・サープの"Up Above My Head"には驚いた 。

Long John Baldry and the Hoochie Coochie Men - up above my head - Rod Stewart.


ロッドはハスキーな四天王の中でもスモーキーなタイプの歌声でパンチ力にかけると感じることが多かったが、ここでのロッドはまるでハリソン・ブラザーズを思わせるようなジョン・バルドリーとの掛け合いが強烈だ。
何も知らずにこれを聴かされれば黒人のディオかと思ってしまうほど。

ついでにトップ画像に出したロッドと関わりの深いロン・ウッドも、やはりサム・クックが好きとみえてポール・マッカートニーとの対談でサムの曲を口ずさむ姿が見れた。(Youtubeリンク

今回、四天王として取り上げた四人の中でも嬉しかったのが、ブライアン・アダムスのサム・クックに対するコメントが知れたこと。

ブライアンはこれまで96年にアポロ・シアターで"Good Times"や、スモーキー・ロビンソンと"Bring it On Home To Me"を歌っていて、多少なりともサム・クックの影響を感じることが出来ていた。

Bryan Adams - Good Times


Bryan Adams and Smokey Robinson - Bring it On Home To Me


映像から感じるサムの曲を歌うブライアンの歌声は、四天王の中でも1番クセがなく安定していて聴きやすい。ノリの良いサムの曲からバラードまで、どれも上手く歌いこなせそうだ。
そのこともあってかブライアン・アダムスのマネージャーであるブルース・アレン(Bruce Allen)は、ブライアンにサム・クックのカバー・アルバムを作ることを勧めていたという。
その流れで生まれたのが、9月にリリースされたカバー・アルバム"Tracks Of My Years Bryan Adams"。
しかしその中でサム・クックのカバー曲は歌われることはなかった。
その訳ともとれるコメントがアルバムのライナーに書かれている。

「サムクックの歌声が素晴らしすぎて僕には彼のようには上手く歌えないと常に思っていた。彼みたくテネシーワルツを歌いこなせたらいいなと思っていた。」

ブライアンの答えは、それが出来ないからアルバムの中には収録しなかったということだろうか。
BAWDIESのROYさんも同じようなことを言っていたのを思い出す。

ブライアンはBBCのインタビューの中で、「他のアーティストの曲で、あなたがソングライティングしたことに出来るならどの曲が良いですか?」の質問にサムの"You Send Me"と答えていた。
新しくリリースされたカバー・アルバムの中で、唯一、"She Knows Me"という新しいオリジナル曲入れているのは、タイトルから自分の曲として歌いたかった"You Send Me"の代わりなのではないかと思えてくる。
どちらにせよブライアンがサムの歌の上手さを認め、その歌声に憧れていたことが分かっただけでも収穫だった。


ジョン・ボン・ジョヴィはオバマ大統領就任祝賀会の時にベティ・ラヴェットと"A Change Is Gonna Come"のデュエットをしたことで、サム・クックからの影響を受けていたと思ってはいるものの、残念ながら彼からのサムに対するコメントはまだ聞けていない。

Jon Bon Jovi - A Change Is Gonna Come (Washington, D C, 18-JAN-2009)


ジョンの歌声は四天王の中でも鼻にかかったハスキーヴォイスで、ゴスペル時代のサムの声を連想させるところもあり、彼が歌うスターラーズの曲も聴いてみたいと常々思っている。

ジョンとベティ・ラヴェットとの共演も感慨深いものがあったが、もう一つ89年にスティーヴ・ペリーとの共演でサム・クックの"Bring It On Home To Me"を歌っていたのには痺れた。
映画『三銃士』で実現したハスキー御三家と呼ばれたロッド・スチュワートとブライアン・アダムスとスティングの共演を思い出すような音源。
しかもそれがサム・クックの曲だったからなおさらだ。

Bring It On Home To Me BON JOVI with STEVE PERRY San Fran April 30th 1989


スティーヴ・ペリーもサム・クックの"Good Times"をカバーしていたり、この四天王の中でも特に伸びのある高音部で現れる、サムのメリスマ唱法に定評がある。
ジャーニーの曲の中でも、もっともサム・クックを感じる曲として、初のトップ20入りを果たした"Lovin' Touchin' Squeezin'"(全米16位)があげられる。
ジャーニーのドラマー、スティーヴ・スミスによると、この曲は初めスティーヴ・ペリーがオールド・スクールなブルースのリズムをベースで弾いているところに、他のメンバーもジャムセッションのように加わり、当時からサム・クックに影響されていたスティーヴ・ペリーは、その曲の中にサムの"Nothing Can Change This Love"の要素を含ませ完成したと言っている。

ご存じの通りスティーヴはジャーニー脱退後にスタートしたソロ活動も体調不良により休止しており、現在のジャーニーは、新しいリード・ボーカルとしてアーネル・ピネダを迎え復活し、順調に活動を続けている。
しかし、それでもなおスティーヴ・ペリー待望論は止むことがない。
そんな中、一部のファンを集めたイベントで、スティーヴ・ペリーはステージに立ち、久しぶりに歌声を披露していた。

Steve Perry - Only Sixteen~Open Arms ,Lovin',Touchin',Squeezin'


そこではサム・クックの"Only Sixteen"がアカペラでスローに歌われ、その流れのままジャーニーのヒット曲"Open Arms"に繋げ、最後はサム・クックの曲を意識したと言われる"Lovin' Touchin' Squeezin'"で締めている。
この時の"Only Sixteen"から違和感もなく自然に繋がる"Open Arms"の流れを聴いていると、ひょっとすると"Open Arms"はサムの"Only Sixteen"が元となって出来上がったものではないかと感じてしまった。

ショウの後のインタビューで、なぜ"Only Sixteen"を歌うことを決めたのかの質問に対してスティーヴ・ペリーは、「私はサムの歌が常に好きだった。あのアカペラ・バージョンは、ずっとステージでしてみたかったんだ。」と答えている。
そして大きなステージで再び歌うことにファンは肯定的で楽しみにしていると伝えられると、スティーヴは、長いブランクがあり、喉がさび付いているが、そのさびを落しライブが出来るレベルまで準備を進めていくつもりだと言っていた。
アーネル・ピネダもスティーヴがジャーニーに戻ってくるなら喜んで身を引き、リード・ボーカルを彼に返すとまで言っている。
しかし、スティーヴはそれに対し、「今のジャーニーのリード・ボーカルはアーネルだ。私は彼がそこで最善を尽くすことを祈っている。私が再加入することはない。」と言い切っていた。

確かに久しぶりに聴くその歌声は以前のような高音部での力強さには欠けていたし、ジャーニーへの復活はないにしろ、ソロとしての活動は再開してほしい。

そして叶うなら今回あげたサム・クック・フォロワーのハスキー四天王が、一緒にステージに立ってサムの曲を歌う光景を観てみたい。

その光景はきっと、ボーカリストとしてそれぞれが憧れた共通のサム・クックというシンガーの素晴らしさを理解しあうように、顔と顔を合わせ歌い、目と目で語り合い、最初から最後まで笑顔の絶えないステージになっていると想像する。