チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』 | 文学どうでしょう

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クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)/ディケンズ

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チャールズ・ディケンズ(池央耿訳)『クリスマス・キャロル』(光文社古典新訳文庫)を読みました。

ディケンズはイギリスの作家で、ぼくが最も好きな作家の一人です。おすすめは『大いなる遺産』という長編です。

さてさて、『クリスマス・キャロル』ですが、名前はみなさんご存知だろうと思います。ただ、内容までは、あまり知られていないような気がします。

物語の主人公はスクルージという人です。スクルージってなんか聞いたことあるなあ? という人がいらっしゃるかもしれません。

ディズニーのアニメの『ダックティルズ』で、スクルージおじさんというのがいるんですよ。ドナルドダックの伯父さんです。

この『ダックティルズ』が面白くて、こどもの頃に観たきりなのにすごく記憶に残っていてまた観たいんですが、DVDになっていないようです。

話がどんどん逸れていきました(笑)。ともかく、そのスクルージおじさんは『クリスマス・キャロル』から来ていて、スクルージはとにかくお金が大好きなんです。

町中のみんながクリスマス・イブで浮かれているんですが、馬鹿馬鹿しいことだと思っています。恵まれないこどもにお恵みをと来ても追い返し、甥がクリスマスのお祝いに誘いに来ても「おととい来い」と言い、クリスマスに休みを取ろうとする助手にも冷たくあたります。

スクルージは気むずかしく、厳しい性格をしているので、周りから恐れられ、嫌われているんです。

その日の夜、幽霊が出ます。マーリーという男の幽霊で、スクルージと共同経営をしていた男です。スクルージと同じくらい冷たく、厳しかったマーリー。

マーリーの体には鎖が巻かれています。スクルージに言います。これは自分で知らぬ内に作った鎖なんだと。そしてスクルージにも同じような鎖があることを匂わせるんです。

マーリーの幽霊は言います。これから、3人の精霊がやってくると。そうして、3人の精霊が一人づつやってきて、スクルージの心に奇跡ともいえるある変化を引き起こす。

とまあそんな話です。すごく悪いやつが悪いやつのまま終わる話なわけがないので、守銭奴のスクルージの心がどのように変わっていくのか、が読みどころとなります。

ベタでストレートですが、それだけに感動的な話なんです。200ページ弱の短い話なので、ぜひ読んでみてください。

ただ大人になって読むと、スクルージの生き方がそれほどダメなものだとは思えなかったりもします。やっぱりお金って大切なわけで。

守銭奴のスクルージの気持ちに共感していると、まるでスクルージが巨大な詐欺にあっているように見えるのが不思議です。いや、まあ単にぼくがひねくれてるだけなんでしょうけども(笑)。

ディケンズはこれからも色々読んでいきます。ちくま文庫のものはまったく手をつけていないので、これから読むのが楽しみです。