サン=テグジュペリ『夜間飛行』 | 文学どうでしょう

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夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)/アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ

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サン=テグジュペリ(二木麻里訳)『夜間飛行』(光文社古典新訳文庫)を読みました。

サン=テグジュペリは『星の王子様』(光文社古典新訳文庫では『ちいさな王子』)で有名な作家ですが、飛行機乗りでもあった人なんです。

『夜間飛行』は、南米を舞台に、飛行機で郵便を届ける会社のある夜の出来事を描いた作品です。物語の入り口がちょっととっつきづらいんですが、重要な人物を2人把握すれば、わりあいすんなり読んでいけると思います。

ファビアンという郵便を運ぶ飛行機乗りと、リヴィエールというその会社の社長。この2人の名前と立場を覚えれば大丈夫です。

物語はリヴィエールを中心に動いていきますので、パイロットはパイロットの立場、リヴィエールは責任者としての立場があるということだけ認識できれば大丈夫です。

現場と指示を出すところでは、思惑が違ってくるのが当たり前ですが、そうしたぶつかりあいが読みどころの一つとなります。

パイロットはパイロットで、危ない状態の時、空は飛べないと言います。社長は何としてでも郵便を届けたいと思います。こうした思惑のぶつかりあいですね。

そしてあることが起こり・・・という話です。

ぼくはそれほど夢中になりはしませんでしたが、やはり飛行機の描写がとてもすぐれていると思います。

特に冒頭は素晴らしいです。夕暮れの中を飛んでいく飛行機の描写から始まり、遠くに見える家のランプに思いを馳せて・・・。

詩的な文章ですが、飛行機の操作はリアルに描かれており、その絶妙なバランスがとてもいいですね。

飛行機に興味のある人は読んでみてください。きっと楽しめると思いますよ。