本多孝好『真夜中の五分前』 | 文学どうでしょう

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真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A/本多 孝好

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真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B/本多 孝好

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本多孝好『真夜中の五分前 side-A』『真夜中の五分前 side-B』(新潮社)を読みました。

『真夜中の五分前』はなかなかに面白い小説です。「side‐A」「side‐B」で同じ出来事がパラレルに描かれるのかと思ってたら、違いました(笑)。単なる上下巻です。ただし、時間の経過がかなりあります。

はじめは〈僕〉のサラリーマン生活が描かれます。仕事がすごく出来るけれど、それだけに煙たがられている、小金井さんという女性の下で働いているんです。

癖のある小金井さんについていけるのは〈僕〉くらいのもので、それによって評価されたりもしています。

仕事ができて、恋人もいて、何不自由ない感じの〈僕〉なんですが、どこか欠けているものがあるんです。そうした喪失の感じは、村上春樹の『ノルウェイの森』に似ているような印象を受けました。

ある時、〈僕〉はプールで出会った女の人に、ある頼みごとをされます。妹の結婚祝いに送るプレゼントを選んでほしいと。その女の人は、かすみという名前なんですが、ゆかりという一卵性双生児の妹がいるんです。〈僕〉は一緒にプレゼントを選んであげることにします。

とまあそういうわけで、「side‐A」は普通の恋愛小説っぽい感じなんですよ。〈僕〉とかすみの話。ふ~んそうかあと思って読んでいたら、「side‐B」からが面白いです。

いきなり時間が飛んで、ある出来事が起こっているんです。ここでは伏せておきますが、ある謎があって、ぐいぐい読まされます。

「side‐A」「side‐B」あわせても、それほどの量ではないので、ぜひみなさん読んでみてください。なかなか面白いです。多分、恋愛小説だと思います。

これを読んでいて、片山恭一や市川拓司なんかを思い出しました。その辺りもその内読み返したいと思います。

おすすめの関連作品


リンクですが、似てるような似てないような話をあげておきます。東野圭吾の『秘密』です。

秘密 (文春文庫)/東野 圭吾

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こちらもある謎があって、ぐいぐい読まされる小説です。ぜひぜひ。ぼくもその内読み返してみます。