犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)/雫井 脩介
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犯人に告ぐ 下 (双葉文庫)/雫井 脩介
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雫井脩介『犯人に告ぐ』(上下、双葉文庫)を読みました。この作品は、映画化もされていたみたいですが、そちらはまだ見ていません。
雫井脩介は初めて読みました。ピグ友さんの紹介です。どうも~。
これは刑事小説で、「バッドマン」と名乗る犯人を捕まえようとする話です。こどもが誘拐されて、殺されていきます。犯人は「バッドマン」と名乗り、警察をおちょくるような声明文を書きます。
劇場型犯罪というのがありますよね。声明文をマスコミに出したりして、警察があわてるのを見て楽しんだりするような感じです。被害者、加害者だけで終わらずに、マスコミ、視聴者を巻き込んでいくというものです。
この作品は、捜査が行き詰ったことから、劇場型犯罪とは逆に、劇場型捜査をやってみようということになり、一人の刑事が、ニュース番組に出るようになるんです。そして犯人に語りかけます。
視聴者から情報を集めると共に、犯人からの手紙を待つんですね。予定通り犯人から手紙が来て、いくつかやり取りがあって・・・。
前代未聞の劇場型捜査は、一体どんな結末をむかえるのか?
というお話です。
推理小説の場合、限られた容疑者の中で、真犯人を探すのが楽しいわけです。この小説の場合、誰が犯人かということはどうでもよくて、その捜査方法に目新しさがあります。
そして犯人に語りかける刑事ですが、6年前に「ワシ」と名乗る誘拐犯に関連して、大きな挫折を味わった人間です。その人物の再起の物語にもなっています。
特に後半、この「ヤングマン」と呼ばれる刑事がかっこいいんですよ。渋いと言ったらいいんでしょうか。
犯人関連だけではなく、警察内部にもちょっとしたごたごたがいくつかあって、情報をリークしている人間を探し出すために、罠をしかけたりするんですが、その辺りがすごくいいですね。
マスコミや視聴者からも、すごいバッシングにさらされるんですが、一つの信念を持って行動している姿にしびれます。
刑事と「バッドマン」の対決という構図はよかったと思うんですが、マスコミへのリークのくだりは、個人的には邪魔でしたね。
そこでは、ある人物が主役級に語られるんですが、そいつ、どうでもいいと思ってたんで(笑)。まあ、そこがないと話がなかなか成立しませんけどね。
読みやすくてなかなか面白い小説でしたが、同じような刑事ものだったら、ぼくはやっぱり東野圭吾の加賀恭一郎シリーズが好きですね。
特に『新参者』が最近のお気に入りです。