東野圭吾『新参者』 | 文学どうでしょう

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新参者/講談社

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東野圭吾『新参者』(講談社)を読みました。

何を隠そう東野圭吾も好きな作家です。ドストエフスキーとか、文学好きの人に対して、東野圭吾が好きなんて言ったら、白い目で見られそうな空気があるんですが、所詮ぼくはミーハーなんで、しょうがないです。もちろん文学も好きなんですけどね。

『新参者』は一応、加賀恭一郎シリーズでして、同じ刑事が出てくる作品が東野圭吾にはいくつかあるんですが、これだけ単体で読んでもなんの問題もないです。

日本橋だか人形町だかにやってきた一人の刑事の話です。

中年の女の人が殺された事件が一つ起こるだけなんですが、その事件を推理して終わり、という長編ではないんです。

まずはせんべえ屋の話から始まる。せんべえ屋に主人公の刑事がやってきて、ちょっとした謎を解明する。次は人形焼の話がある。またちょっとした謎を解明する。

そういった感じで、短編がしばらく続いていきます。なんだか人情話のようなつくりです。

そうするうちに、だんだんと殺された女の人の死の真相にせまっていきます。

東野圭吾は、もちろん言わずとしれたベストセラー作家ですが、個人的にはホームランバッターではないんです。いいヒットを打ち、いい記録を残すバッターという感じです。

この作品もホームランではないですが、やっぱりすごく面白い。淡々とした短い話なのに、これだけ面白く読めるというのはびっくりしました。

山あり谷ありの大感動スペクタクル、ではないですが、寝る前にちょっとずつ読んでいくとか、穏やかな気持ちで読むのに、おすすめの一冊です。