辻村深月『凍りのくじら』 | 文学どうでしょう

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凍りのくじら (講談社ノベルス)/辻村 深月

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辻村深月『凍りのくじら』(講談社ノベルズ)を読みました。

辻村深月もピグの書評茶屋であがってくることの多い作家ですね。メフィスト賞でデビューしています。

『凍りのくじら』は藤子・F・不二雄のドラえもんの道具が章のタイトルに使われていたりします。失踪したカメラマンの父親を持つのが主人公の女の子。

藤子・F・不二雄がSF(サイエンス・フィクション)を「すこし・ふしぎ」と言っていたことから、主人公はまわりの人に、すこし・なんとかというあだ名をつけています。

自分のことは「すこし・不在」。

それは主人公のキャラクターをよく表していて、周囲よりも冷めている感じが、あるいは共感しにくいかもしれません。

「カワイソメダル」の性質を持った元カレが段々おかしくなって、ストーカーみたいになってくるという話がメインといってよいでしょう。

物語の基本というのは、パックマンみたいに欠けているものが、きれいな円になろうとする話な気がしますが、「すこし・不在」のその欠けている部分がどう埋まるのか、が読みどころですね。

辻村深月は他の作品も続けて読んでいく予定です。

今回はリンクはなしで。