辻仁成『クロエとエンゾー』 | 文学どうでしょう

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日々読んだ本を紹介しています。

クロエとエンゾー/辻 仁成

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辻仁成『クロエとエンゾー』(小学館)を読みました。

辻仁成はあまり語られることが少ない作家のような気もしますが、ぼくは好きな作家です。

『クロエとエンゾー』は、若干複雑な構造を持っていて、まず大学生の男が頼まれて名前も知らない女と関係を持つ話がある。条件があって、依頼した男が見ている前で行うこと。

エロティックかつミステリアスな話が展開される一方で、女の作家の話が出てくる。女の作家は中年で、小説が書けなくなってしまっている。そこへ若い男が現れる。

その2つの軸と、作中内小説が絡み合い、素晴らしいラストにむかう・・・話になればよかったんですが、ちょっと方向が面白いとこにいっちゃった感じがしまますね。

気になる方は是非読んでみてください。個々のパーツは若干エロすぎるといえばそうですが、ぼくはわりと好きな感じでした。

辻仁成ですが、ぼくの一番のお気に入りは『嫉妬の香り』というやつです。おすすめです。

嫉妬の香り (集英社文庫)/辻 仁成

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せっかくこうしてブログを書いているので、ぼくなりのリンクというか、連動したおすすめ本をできる限り書いていこうと思います。

おすすめの関連作品


まずメタフィクション的なもので言えば、

ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界――哲学者からの不思議な手紙』がおもしろいです。

新装版 ソフィーの世界 上―哲学者からの不思議な手紙/ヨースタイン・ゴルデル

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新装版 ソフィーの世界 下―哲学者からの不思議な手紙/ヨースタイン・ゴルデル

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一般に、哲学の入門書とされていますが、哲学の説明を全部すっとばしても、ラストまで読む価値は充分あります。

あとは、日本文学で言えば、小島信夫『別れる理由』(全三巻、講談社)はちょっとぶったまげました。

面白いかといえばそうでもないし、『抱擁家族』(講談社文芸文庫)など関連作品を読む必要もあるかと思いますが、ああいったラストの方の、ある意味ぐだぐだ、ある意味力のぬけた感じ、いいなあと思ったりもします。

辻仁成が好きで、他の作家を探す場合は、本多孝好や白石一文などがよいかもしれません。