「お前の妹なのか？」「そうだ…」「じゃあ…これからどうなる？」
「いらっしゃいませ…」振り返ったサニーは、シンが入って来たのを見て「バイトの子は今、配達に…」しかしシンの後ろに隠れるように入って来た死神を見て言葉を飲み込んだ。「…行ってるけど…」
「ソンや…」いきなりシンがサニーに抱きついた。「気でも狂ったの？(死神に)見てるだけなの？」「まだハッキリしてないからスキンシップは自制して…」「本当にソンなのか？」
「ソンが何よ！この人どうしたの？」
「深いワケがありまして…」「私がこのお兄さんと深いワケって…？」「そうだ私だ。私がお前の兄だ。会いたかったソンや…」「サニーだって言ってるでしょ！それに…私たち会わないことにしたんじゃないの？目玉焼きの話なんかする人と一緒に来るなんて…」
「それはコイツが前世でサニーさんのお兄さんだと言うもので…」
「なんですって？ナニ世？フゥ…おかしくなりそう。そんなありもしない伝説の故郷(
전설의 고향)の話まで作って会いに来たわけ？よっぽど会いたかったんでしょうけど…」死神は照れた笑いを浮かべる。
「誰と話をしているのだ。ソンや…。全く前世の記憶は思い出さないか？」「服もキチンとして、顔もマトモな方がまったく…わかったわ。聞くだけ聞いてみましょう。私の前世がなんですって？」
「高麗の皇后だった…。私は武臣で。」「あ〜高麗…」「思い出したのか？」「きっちり思い出したわ」
「焼き芋代5千₩！きっちり払ってよ！前世？皇后？」
2人はサニーに追い出されてしまう。ちょうどその時ウンタクが配達から戻るが、シンまでもが「ソンや…」と言ってサニーを追いかけようとする始末。
ウンタクは情報を交換しようと言って、死神からシンとサニーの関係を聞き出そうとする。しかし死神の様子から見て、前の彼女とかそういう関係ではないと知るや、自分の方は死神の質問は義理があるから受け付けないと言う。
「お前が好んで食べていた熟柿だ」
「お前が欲しがっていた花の靴だ」
「お前が好きだった色だ」
シンは妹が好んでいた物を持ってサニーの元に度々訪れるが、前世の記憶のないサニーにことごとく断られてしまう。「そんな物好きじゃないわ。それにあいにくここしかテーブル残ってないんです。商売がうまくいってるので…」「それは私が通っているからだ。私が武神(富神)だから…」
配達から戻ったウンタクは「ここに住んでるんですか？」とシンに嫌味を言うが「ちょうど帰ろうと思っていた。早く帰るんだぞ」と言い残してシンは帰る。サニーはウンタクに、熟柿や花の靴、絹織物など持って来ずに素手で来てチキンの一つでも買って行くように伝えてと言う。
ウンタクは今度はドクファの働く店に来て愚痴をこぼす。「うちの社長のことあれこれ想像するのも罪悪感あってイヤなんだけど、オッパのおじさん、うちの店に住んでるかのようによく来て…死神おじさんが気にするだろうし…」「それは社長の前世がうちのおじさんの妹だからだよ」「そんなバカな…で、なんでオッパが知ってるの？」
「俺がヒミツ教えてやろうか…」
「死神ってのは人の手に触ればその人の前世が見えるんだよ。2人はきっと手が触れたんだよ…それで分かったんじゃないかな」
ウンタクは店の外で死神の手をサニーが掴んだ時のことを思い出した。「そうよ！2人が手を繋ぐとこ見たわ！スゴイ！」
シンは死神の部屋にやって来て、サニーが妹に間違いないか、他に見えるものはないのかと聞く。死神は自分ももう一度試そうと思ったが「私が振られるから」と言われて失敗したと言い、サニーは前世を覚えていないのだからあまり寂しがることはないとシンに言う。
「あの女性が前世のソンだったとしても彼女に対して俺はただ"伝説の故郷"なだけだ。彼女には現世の生活があるし、過ぎ去った事としなければと思うんだが。妹と同じ時を過ごした時にもっといろいろしてやれたら良かったのに…。優雅で品位のある子だったのに…どうしてあんな風に…チッ」「サニーさんの品位が何だって言うんだ！いきなり行って"ソンや…"って言ったのに今になって違うって？違ったら良かったのか？」「別れたんじゃなかったのか？もしかしてまた会おうとか思ってるならやめろ。死神のくせに人間の妹をたぶらかそうと？」「さっきの考えいいと思うぞ。過ぎ去った事は過ぎ去った事としろ」
「俺の目の黒いうちは絶対にダメだ！妹から離れろ！水があればぶっかけてやるのに…」そう言ってシンは部屋を飛び出す。「こういうドラマ知ってるぞ…朝よく見てたやつだ…」
「前世とかいうの信じる？」
「はい…」と言ってウンタクは続ける。「人間には４度の"生"があるそうです。種を蒔く生、蒔いた種に水を与える生、その種を収穫する生、収穫した物を使う生。４度あるなら前世も後世もあるんじゃないでしょうか。社長や私が今何番目の生なのかはわからないけれど…」そう言う話…他にももっと聞かせてと言うサニーに、ウンタクはシンがキッチンで死神に話していた話を思い出した。『その場が俺の最後の戦場で、俺はそこで死ななければならなかった…何より妹が自らの死によってあの愚か者を守っていたから』
「キムソンという人は、愛を前にしてとても勇敢だったらしいですよ」ウンタクのその言葉にサニーは「前世で私の兄だと言ってるあの男の人の家に連れて行って」と言うのだった。
珍しくドアの呼び鈴が鳴り、驚くシンと死神。
「ただいま…」と帰って来たウンタクと入って来たのはサニー。「２人一緒に住んでるの？」「こうして３人で…」
サニーに会えて嬉しい死神に対して相変わらず冷たい態度を取って、シンに「品位が…」と言わせてしまう。
シンから巻物を渡されても「これが根拠？どこで買ったの？仁寺洞？」などと言うが見るうちにその姿に惹きこまれるサニー。
「この人が王妃？あなたの妹の？」「なんだか不思議…社長はいつも王様待ってましたよね…」とウンタク。「何か思い浮かぶことはないか？」と聞くシンに「ただ、幼くて…美しい…私がこの歳の頃はダメな子だったけど…。それでこの王妃はどうなったの？末長く幸せに暮らしたの？」
ウンタクが死神と席を外し、サニーとシンは改めて向かい合った。「不幸だったの？この王妃…」「顔を見るよりも手紙の方が多かった。妹が送ってくれた手紙を読む時だけが、生き残るのに大変だった日々の唯一の支えだった」
【シンの回想】
黎が弓を射ている。次々と射る矢は的の中心を射抜くほど素晴らしい腕前だ。
「辺境のキムシンが勝ちの報せを伝えて来ました」「国境のキムシンが勝ちの報せを伝えて来ました」
奸臣パクジュンホンが黎に進言する。
「キムシンの勝利の報せが市場通りに伝わり、愚かな民は乗せられて、文臣たちの恨みは極みに達しています。天晴とお褒めにならず皇室の体面が市場通りに居座ることのないよう、おまえの妹の安否を心配しろとの一報をなさいますように…」
黎の矢は的を大きく外れ柱に刺さった。
心配して見ているソンの方に一瞥をくれる奸臣。黎の弓弦は切れてしまう。
一刻も同じところばかり読んでいて、きっと心に何か悩みを持っているのではとソンは心配している。
訪ねて来ずに寂しく思っていた所に、黎が来たという知らせを受けて走って迎えに出るソン。 しかし２人の穏やかな時間は長く続かなかった。
「卑賤なものを握った手には適度な力を込めるもの。大切にし、握りしめるとその大切で卑賤なものは必ず死ぬのです…」 「王命だ！どのような煎じ薬も誰が送ったものでも飲んではならない！」ソンを心配しての黎の行動だったが、ソンは不安だった。
「お前の兄がまた凱旋して来たな。我々２人のうちどちらが生きていて欲しいのだ。」「陛下…」「答えろ！もう算段は立ったのか？どちらが死んでも失うものはないな」「愚かでいらっしゃいます」
「死にたいのか！もうお前の心は葬式を出したのだな…もうわからない…辺境のならず者が敵なのかお前の兄が敵なのか…」
「パクジュンホンが敵でございます」
선택해야할 것이다 내 여인으로 살 건지 대역죄인의 누이로 죽을 것인지…
「選ばなければならぬ。私の女人として生きるか、大逆罪人の妹として死ぬか…」
ソンの目から涙が流れ落ちた。
キムシンは前に進み、ソンの胸には矢が刺さった…
玄関の外に座って考えごとをしている死神。
「末長くではなかったが、幸せだった瞬間はあったと思う。目を閉じる最期の瞬間にもあの愚か者を見ていたのだから…」
急に胸に痛みを感じるサニー。
「それで王は？王も生まれ変わったの？どんな顔をしてたのか見てみたいわ…イケメンだった？」
「あなたが私の妹なら、同じようなところもあるものだな…」「それにしても、どうして全部覚えてるかのように切なく切実に話すの？まるでずっと生き続けている人のように…」
「信じられないかもしれないが、その記憶をそのまま抱いて来たのだから…」「信じないのをわかってて言うけど、前世を信じているわけでなく熟柿、花の靴、絹のために来たの。それを渡せなくて恨みが残ってると思ったし、おかしな人なのは確かだけど美しくおかしいと…。それが少し残念だわ」「こうして見るとソンのような気がするな…」「前世で兄だったとか、そんな風にいきなり言わないで。地方に住む兄弟に久しぶりに会ってもぎこちないのに、生を超えて来た兄と言い張る人をどうして歓迎できると？だからあまり残念がらないでね。失礼しました。では…」そう言ってサニーは立ち上がった。
「あの人出ても来ないのね…」
外に出ると死神が後ろからついて来ているのを感じて、一度は振り返るサニーだったが、そのまま歩き始める。しかしやはり気になって振り返った。「掴みもしないのにどうして見てるの？」「掴んでもいいんですか？」
잡으면요. 그 다음에는？우리 어떻게 되는데요?
「掴んだら…次は？私たちどうなるって言うの？」応えられずに俯く死神にため息をつく「ダメね…ほんと…」サニーの後ろ姿を見送るしかない死神だった…
奸臣パクジュンホンが黎に進言する。
急に胸に痛みを感じるサニー。
